スーパーマーケットは、世界的な脱使い捨てプラスチックのプレッシャーを強く感じています。しかし、イギリスでは、去年1年間にスーパーから出たプラスチックの包装容器は、過去最大量を記録しました。どうしたらスーパーが2025年までにプラスチック包装を半減させることができるか、提案します!

プラスチックを減らそうという声が高まってるにも関わらず、2019年にイギリスのスーパーからのプラスチック包装の量は過去最大となりました。つまり、川にプラスチックが流れ出し、海がプラスチックで埋まっていき、私たちの自然環境は、さらにプラスチックで汚染されているということです。食物連鎖にもプラスチックが入り込んできています。すでに人間は、毎週、クレジットカード一枚分くらいのプラスチックを食物と一緒に摂取しているともいわれます。

スーパーのプラスチックの削減に向けた取り組みは十分ではありません。リサイクルだけで、使い捨てプラスチックの問題を解決することはできません。世界でこれまで製造されてきたプラスチックでリサイクルされたのはたった9%しかありません。本当の解決策は、プラスチックの製造量自体を減らすことです。

海外から輸入されたプラスチックごみが山のように積み上がるマレーシアのごみ処理施設。© Nandakumar S. Haridas / Greenpeace

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スーパーが脱プラスチックに貢献できるよう、グリーンピースはプラスチック包装を最低でも50%減らすにはどうしたらよいのか、報告書をまとめました。

使い捨てプラスチックを減らすために、本当に効果がある方法をご紹介します。もし「使い捨てプラスチックを減らすなんて無理!」と言う人がいたら、この記事をシェアして、削減するための具体的な方法を共有してください!

リユースできる包装

現在は、包装は一度使って捨てる、つまり使い捨てする、というのが一般的な考え方です。この考え方が今の汚染問題を引き起こしています。この状況を変えるには、リフィル(詰め替え)やリユース(再利用)できる容器にするのが最も良い方法です。

そうするには、システムそのものをガラッと変えなければいけません。しかし、リユースできる容器は大きなビジネスを生み出すことも、研究でわかっています!

つい最近、イギリスのスーパーのアルディ(Aldi)セインズバリーズ(Sainsbury’s)は、2025年までに自社で使うプラスチックを50%削減すると約束しました。しかし、現時点でリユースできる容器の利用について具体的な目標を掲げているのは、イギリスのスーパーではモリソンズ(Morrisons)だけです。

リユースに関してとても楽しみな最近のニュースは、テスコ(Tesco)が自社ブランドかどうかに関係なく、色々な商品をリユースできる容器で提供する、Loopという新プロジェクトとパートナーシップを結んだことです。このシステムでは、利用客は、オンラインで注文後、デポジットを支払います。商品はトートバッグに入った状態で玄関先に届きます。商品を使って空っぽになった容器をまたトートバッグに入れると、次回の配達時に回収されます。Loopは容器を洗浄、乾燥し、また商品を詰めて販売します。

Tescoはこの仕組みをいずれ自社の店舗で導入する予定で、そうなれば何千トンものプラスチックの削減につながります。多くの利用客がこれまで求めてきたのはまさにこのような仕組みで、リユースできる容器を活用したこのような大規模な仕組みは需要があります。

店頭でのリフィル

プラスチック容器はどこにでも転がっています。川やビーチ、道端にもポイ捨てされています。2019年には炭酸飲料だけで、9万トンものプラスチックが使用されました。

でも、この状況を変えることができます。今では、新世代の自動販売機が存在するからです!利用客は、再利用可能な容器に詰め替える(リフィルする)ことで、何トンものプラスチックの廃棄を減らすとができるようになりました。例えばイギリスでは、The Milk Station Companyが、地元の酪農家と連携して、牛乳を詰め替えで購入できるミルクステーションを、イギリス中の80カ所で展開しています。利用客はガラス瓶を購入し、店頭で直接詰め替えてから、自宅で洗って繰り返し使用できます。

飲料水に関しても、店頭でのリフィルがプラスチックの削減に有効です。しかし、そもそも考えるべきことがあります。水の販売をやめてしまえばいいので?日本には、世界でも最高基準のきれいな飲料水があります。同じく水道水の質が高いイギリスでは、2020年4月、オンラインスーパーのOcadoは、コロナ禍において配送車の積み荷スペースを確保するためボトルウォーターの販売を中止しました。意志あるところに道はあり、とはまさにこのことです。

グリーンピースの調査では、イギリスのスーパーで、飲料水、発泡性飲料、牛乳の3つが、重量比で圧倒的に多くのプラスチックを排出していることが明らかになりました。この3つは、工夫次第で使い捨てプラスチックを削減できる可能性が非常に高いです。もしスーパーが必要な対策を講じれば、私たちは「プラスチックは使いたくないのに…」と思いながらも、使い捨てプラスチックでいっぱいの店内を歩く必要はなくなります。すでに、解決策は用意されています。

© Isabelle Rose Povey / Greenpeace

店内でのリフィルのシステムが使えるは、飲料だけではありません。イギリスの多くの食料品店で、米やパスタ、ナッツから洗剤やシャンプーといったあらゆる商品の詰め替えコーナーを設置しています。買い物客は自分の容器や袋を持っていき、ディスペンサーで詰め替え、詰め替えた重量に応じて料金を支払います。2019年、イギリスのスーパーのWaitroseは、この仕組みをイギリスの4支店で試みました。結果は大成功で、オックスフォード店では90%以上の客が継続を望んでいます。リフィルステーションは、すでに何度も試験的に行われているものですが、スーパーはまだ大規模には展開していません。

少しだけ欲しいけどちょうどいいサイズがなく、不要に多くの量を買わなければならなかった…。こんな経験はありませんか?チリには、Algramoという画期的なサービスがあります!グラム単位で商品を購入できるのです。ユニリーバやネスレと提携し、非接触式のディスペンサーを店頭に設置しています。

自分たちで水を足すだけ

洗剤といっても、使い捨てプラスチックのごみを出すなら、クリーンとは言えません。2019年、洗浄剤から出たプラスチックの廃棄量は3万トン以上もありました。ほとんどの洗剤は多くの水を含んでいます。水分を取り除き、濃縮した液体やタブレットとして販売してしまえば、包装ごみも減るし、輸送費も抑えられ、メリットが2つもあります。

Sploshは洗濯機や食洗器用に濃縮した洗剤を販売しています。洗剤はまず再利用可能な容器に詰められて運ばれます。利用客はその濃縮された洗剤を小さな袋で買い、水とともに容器にいれて洗剤を薄めます。パウチはその後、他の製品に再利用されます。このような製品が普及すれば、シンクの下に溜まった色んな掃除用スプレーをリサイクル用に分別し、きちんとリサイクルされることを祈る…なんてことはしなくて済むようになりますね。

包装されていない果物や野菜だけを売る

© Patrick Cho / Greenpeace

グリーンピースのデータによると、イギリスのスーパーで出ているプラスチックの5分の1は、果物や野菜の包装でした。この個包装をやめるだけで、スーパーは3万トンものプラスチックを削減することができます。

果物や野菜のプラスチック包装は、不要なプラスチックの中でも特にイライラさせられるものです。いやいや、バナナをプラスチックで包装する必要なんてないだろ!なんてつっこみたくなってしまいます。古くからある八百屋さんでは、プラスチック包装は必要ありませんでした。果物や野菜をそのまま販売し、客に自分の袋に詰めてもらうのはとても合理的なことです。2019年末、イギリスのスーパーのモリソンズ(Morrisons)は、果物や野菜を個包装せずに店頭に並べるトライアルを10カ月間実施し、その後プラスチックフリーの果物や野菜を60店舗で販売し始めました。この活動をもっと広めて欲しいですよね!

そして、食品ロス問題の解決策にもなる、素晴らしい取り組みの一つに、 Apeelがあります。Appelはプラスチック包装の削減に貢献するというワクワクさせられるイノベーションです。植物の廃棄物を活用しており、果物や野菜にスプレーすることで乾燥と酸化を防ぐ層を作り、鮮度をより長く保つことができます。

無意味なプラスチックをやめる

© John Cobb / Greenpeace

スーパーで必要以上のプラスチック包装にうんざりした経験は誰しもあると思います。1枚1枚がプラスチックで個包装されたビスケットが、プラスチックのトレーにきれいに並べられ、そしてそれがプラスチック製の外装に入っている…まるでロシアのマトリョーシカを開けている気分になります。スーパーがプラスチックを減らす簡単な方法のひとつは、販売しているすべての商品を見直し、不要なプラスチックを減らしていくことです。

例えば、すぐできることの1つは複数パックの包装を外して、個包装にその分の割引を適用すること。ヨーグルトなどに念のためについているようなプラスチック製の蓋をやめることも、プラスチックを減らす第一歩につながります。この方法はシンプルですが、効果的です。

日本では?

日本で行った最近のアンケートによると、81.2%の人が、「不要な使い捨てプラスチック製品や過剰包装のサービスが多い」と感じています。そして、74.8%は、「このような使い捨てプラスチックを使わないための選択肢がもっと身近にあるならば、利用してみたい」と思っているようです。スーパーは、プラスチック汚染の解決策の重要な一端を担うこともできるし、問題を生み出し続ける側にいることもできます。スーパーが前者になるには、私たちの声が欠かせません。

詳しく読む:使い捨てプラスチックのこと、みんなどう思ってる?聞いてみました。

みなさんもスーパーやお店に声を届けて、私たち生活者が、たくさんのプラスチックを捨てる生活から、ごみをなるべく出さないリユースの暮らしに進む準備ができていることを、伝えませんか?

スーパーマーケットが、プラスチックごみを2050年までに半分にするためにできることをまとめたレポート全文は、こちらからお読みいただけます(英語のみ)。

【協力 翻訳ボランティアChizu&Miku】

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