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私たちに身近なコーヒー、紅茶、チョコレートなどの食品や、紙コップなどの紙製品。商品がサステナブルな方法で作られているかを消費者が知るためのツールとして導入されたのがエコラベルです。

でもこのエコラベルの認証制度に欠陥があり、本来の意味を成さないとしたら? 

グリーンピース・インターナショナルが行った調査結果をお伝えします。

そもそも「認証」とは?

認証とは、農場や森林の所有者が、社会的・環境的基準を遵守した管理や生産をしていることを第三者の審査によって示し、その製品を認証製品として販売する権利を得るための検証プロセスです。

多くの場合、こうした認証をうけた製品には、消費者向けのエコラベルが付いています。森林・生態系にとってリスクのある商品を生産・取引している企業は、消費者が情報に基づいて商品を選べるようにするために認証制度を利用しています。

企業は自社や関連企業が、生産に伴う環境や社会への悪影響を最小限に抑えるための行動をとっていることを示すことで、その製品が「持続可能」であるとみなされること期待してラベルをつけます

認証が発展した背景の一つには、2010年に世界の主要なメーカーや卸売などの企業が参加するネットワーク(コンシューマーグッズフォーラム)が、2020年までに製造過程から森林破壊をなくす、という目標を掲げたことがあります。同時期に、生物多様性条約愛知目標や国連による持続可能な開発目標など、さまざまな国際会議で同様の目標が設定されました。そこで、多くの企業や行政が同目標達成のために、認証制度を含めた自主的な取り組みを採用したのです。

森林破壊ゼロから遠い実態

グリーンピースは今回、農産物のカカオ、コーヒー、パーム油、大豆、バイオ燃料、そして木材の認証ラベルについて調査をしました。調査の目的は、農業・林業に関連して起きている、世界の森林破壊や人権侵害の問題解決に、認証制度がどのように貢献しているかを調べるためです。

対象とした認証は、日本でも馴染みのあるFSC(木材)、レインフォレスト・アライアンス、フェアトレード(ココアとコーヒー)、RSPO(パーム油)などの認証です。これらの認証を、同ラベルを使用している企業が、実際に森林破壊、森林劣化、生態系の転換、先住民や労働者の権利の侵害を含む人権問題にどのように対処しているかという実態と比較しました。

その結果、認証そのものは、企業が2020年までに製造過程から森林破壊をなくす、という目標達成に寄与していないことが分かりました。これらの認証制度の多くは、破壊的なビジネスをこれまでどおり継続させることを可能にしています。

カリマンタン島で起きている森林火災の中を歩くオランウータンの親子。(2019年9月)

中には、より厳しい基準を設けている認証もありますが、基準の遵守が不十分であることに加え、透明性が低かったり、産地から製品までの過程を追跡できないなど、認証制度にも大きな欠陥があることも分かりました。

多くの認証企業が、森林や生態系の破壊、土地紛争、人権侵害に関連している可能性が払拭できていません。それでも認証を取得することで、企業は通常通りにビジネスを継続することができるのです。

むしろ認証制度は、森林・生態系にとってリスクのある製品のイメージを向上させ、需要を喚起することで、生産の拡大による弊害を増大させる危険性があります。世界的に進む森林破壊や生態系の破壊を止めるには、残念ながら充分な解決方法とはいえません。

チョコレートや紙の消費の裏で世界の森に起きていること

ブラジルのアマゾン、コンゴ盆地、インドネシア、欧米など世界中の森林で、企業による土地と資源の搾取が進み、森林の破壊が進んでいます。

世界の森林破壊の80%は、農業生産によるものです。 特に肉製品、乳製品、飼料用大豆、パーム油、紙パルプ、カカオなどを生産する農地の需要が高まっているのです。

直接的にも間接的にも、多くの家庭でこれらの製品が消費されています。消費者は、自分が買っている「認証済み」のものが、本当に持続可能な方法で調達されているかどうかを知りたいものです。そこで、企業は自社製品を「持続可能」と認証することで消費者の需要を高め、結果的に生産が環境や人権にもたらす影響を増大させています

つまり、消費者は正しい選択をしているつもりでも、実際には森林破壊や人権侵害につながる製品を買っている可能性があるということです。

スマトラ島の泥炭地が破壊された様子。野生のトラの生息地だった。(2013年5月)

では、認証製品は買わない方がいい?

森林破壊の問題を解決していくために認証製品を買うのをやめることは、効果的な解決策ではありません。中には、地域に良い影響を与えている認証もあるからです。しかし、どのような認証制度であっても、個々のラベルの約束事項と実際の運用方法を確認するには、多くの調査を必要とすることは事実です。

森林や生態系にリスクのある製品の消費を拡大する、今の仕組みを変える必要があります。より大きな変化を生むには、政府や企業に働きかけていくことが大切です。

使い捨てではない、新しいリユースの仕組みで森林を守る

森林破壊や人権侵害に関わっているかもしれない製品を、私たちの身近なお店でゼロにするためには、これまで通りのビジネスモデルから脱却するための、発想の転換が必要です。

プラスチック汚染の対策として、レジ袋や使い捨てのプラスチックカップを紙製品に切り替えた企業も少なくありません。その紙製品が「持続可能」であることを証明するために、木材のエコラベルであるFSCの認証を使用している場合もあります。しかし、ここで忘れてはいけないのは、エコラベルのついた紙コップであっても、「使い捨て」をし続けるビジネスモデルは、森林保全につながらないという点です。

スターバックスは、日本国内全店舗でプラスチックカップの提供を紙カップ(FSCミックス認証)に切り替えました。プラスチックは減ることになりますが、紙カップを使い捨てることで、年間で約6,100万個の紙ごみを出すことになります。これ以上森林への負担をかけないためには、繰り返し使える返却式カップのような、リユースの解決策が必要です。

韓国のスターバックスでは、使い捨てではない、返却式のリユースカップを導入して、使い捨てのカップを2025年までに脱却することを目指すと発表しました。素材に関わらず、使い捨て自体から脱却する流れが起きているのです。

日本のスターバックスでも、そんな新しいリユースの仕組みを導入してくれるよう、あなたも一緒にお願いしませんか?

認証制度の調査内容について、より詳しくは下記をご覧ください。

参考資料:グリーンピース・インターナショナル発行『Destruction Certified』(英語)