今、東京神宮外苑の銀杏並木や、横浜の上瀬谷の桜並木などを伐採する計画など、全国で再開発に伴う街路樹伐採計画があります。
街路樹は、気候変動が引き起こす熱波をやわらげてくれる貴重な存在。
今、必要なのは伐採ではなくて、気候対策のために、みどりをまもるグリーンインフラをとりいれる再開発です。

灼熱の日差しを和らげてくれる街路樹をまもろう

今年の夏も、熱波が日本を襲い、街路樹がつくってくれる木陰に救われた人も多かったはず。
とくに、植えてから何年もたっている木は枝葉が大きく広がり、車道全体を木陰で覆ってくれる場所もあります。

グリーンピースのインスタグラムより。
木陰があると温度が大幅に下がります。
(写真提供:中野環境市民の会 須藤悦子さん)

この写真は、中野環境市民の会が赤外線サーモグラフィ(FLIR)で撮影したものです。

気温が27度くらいのとき、地面は30度以上になりますが、街路樹の木陰の中は20度以下とひんやりしています。


街路樹は、気候変動の適応(避けられない影響を軽減すること)に大事な役割を果たしています。

街路樹伐採計画が日本全国で

そんな大事な街路樹ですが、いま、日本のあちこちで、再開発による伐採計画があります。

東京では、神宮外苑再開発に伴う伐採。

神宮外苑の再開発は、神宮球場と秩父宮ラグビー場を建て替え、超高層ビルを建築するものです。( 開発事業主体は「三井不動産」「伊藤忠商事」「明治神宮」「日本スポーツ振興センター(JSC)」)

東京都によると、再開発エリアの約1900本の樹木のうち約971本を伐採する計画になっていました。これに対して、多くの住民や学者が声をあげたのち、三井不動産が伐採本数を556本に減らす考えを示しました。各紙がこれを「4割減」と報道しましたが、実は、もともと枯れると予想されている木と移植する木を差し引いただけのもので、貴重な樹木が大量に伐採される予定は変わりません。

東京都知事は「4列の象徴的なイチョウ並木は保全をする」としていますが、イチョウ並木に隣接して野球場が建設されます。中央大研究開発機構の石川幹子教授は、新宿御苑で地下トンネルの影響とみられる樹木の枯死について調査結果を公表し、この調査結果との比較から、神宮外苑でも、建設予定の野球場がイチョウに与える影響について警告しています。

環境への影響の評価(環境アセスメント)はこれからです。樹木伐採に反対して、オンライン署名サイト「change.org」で反対署名を展開したり、専門家による解説をおこなうウェビナーをたびたび開いていたりしているロッシェル・カップさんは、「自治体の議員をはじめ政治家、マスコミ、影響力、拡散力のある組織や個人(ラグビーや野球関係、ラグビーファン、スワローズファン、神宮外苑の利用者、環境保護関連の組織、著名人など)にコンタクトし、はたらきかけることが大事です。手紙やメール、あるいは要望書を出したり、面会を申し込んで話を聞いてもらうアクションをしましょう」と呼びかけています。

また、横浜市の瀬谷区の桜並木や、兵庫県明石公園の樹木伐採など、全国で再開発に伴う樹木の伐採問題がおこっています。

写真:神宮外苑イチョウ並木 

現存する気候をまもる「みどりのインフラ」を守ろう

樹木だけでなく、芝生の公園や、河川、湖沼など自然が有する多様な機能を利用するグリーンインフラは、気候変動の緩和や、適応に大きく役立ちます。国もグリーンインフラを推進しています。

しかし、現存のみどりを壊す方法では本末転倒です。現存する「みどりのインフラ」の価値を再評価し、保全していきましょう。

グリーンピース・ジャパンで運営する”自分の住んでいる自治体から脱炭素をめざす市民のプラットフォーム”「ゼロエミッションを実現する会」では、各地のみどりを保全する市民の取り組みを応援しています。

自分の住んでいる自治体へのはたらきかけや、議会への陳情・請願をお考えの方は、ぜひ、「ゼロエミッションを実現する会」にご相談ください。

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