東京電力福島第一原発敷地内にたまり続ける放射能汚染水。

海に流す、というのが国の有力な選択肢でしたが、排出基準値を上回っていることが明らかになり、2018年8月に開かれた公聴会では、海洋放出に反対し、長期保管(継続貯蔵)を求める声がたくさんあがりました。

8月9日の国の小委員会で、公聴会で出された「継続貯蔵」について議論されたので、傍聴してきました。

大事なポイントは、「タンクの置き場がなくなる」という議論に対して、敷地内のさらなる利用や、敷地外利用も不可能ではないことが明らかになったことです。これはよかったと思いました。

「貯蔵継続」を選択肢にするかどうかについては、委員により意見が別れましたが、次回以降今日の意見を事務局で整理して、さらに継続貯蔵などについて議論がおこなわれることとなりました。

「廃炉の大切な話2019」より

「廃炉の大切な話2019」より

タンクの置き場所はある

継続貯蔵についての議論の前に、東京電力より「2022年夏ごろにタンクの容量は満杯になるが、敷地内に増設の余裕がない、敷地外への増設も困難」という説明がありました。

(参考: 多核種除去設備等処理水の貯留の見通し/東京電力の小委員会提出資料)

これに対し、委員から「全体の地図を見れば空いている場所がある」「全体の地図を出すべき」「土などを置いているところにタンクがおける」という意見や、「隣接地(敷地外)を利用できないのか」という質問がありました。

これに対し東電は、全体図を出さなかったことについては謝罪しました。
しかし、「土などを置いているところにタンクをおけるのでは」という質問については「土の置き場は必要」としました。委員からは「タンクより土の優先順位が高いのか」という声がでました。また、東電は、敷地外に置くことは困難ながらも「できないことはない」と答えました。

(参考:貯蔵継続及び処分方法について/小委員会事務局資料)

国際的な広報について

この他、韓国による福島など8県産の水産物輸入規制は不当として世界貿易機関(WTO)に日本が提訴した結果や、汚染水対策についてどのように対外的に広報しているかなどについて、また、今後の対応などが説明されました(以下の資料参照)

韓国による日本産水産物等輸入規制/小委員会事務局資料
~WTO上級委員会報告書の結果を踏まえて~/小委員会事務局資料
廃炉・汚染水対策に関する国際広報について/小委員会事務局資料
廃炉に関わる海外広報の取組について/東京電力の小委員会提出資料

次回以降、さらに継続貯蔵などについて議論

次回以降は、今日の意見を事務局で整理して、さらに継続貯蔵などについて議論がおこなわれることとなりました。

この小委員会は正式名称を「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」(略称:ALPS小委員会)といいます。この小委員会で風評被害など社会的な観点なども含めて、汚染水の取扱について提言をまとめることになっています。

(参考:多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会の位置づけについて/小委員会事務局資料)

上記の資料以外に、トリチウム水タスクフォースについて (小委員会事務局資料)、処理水ポータルサイトのデータ更新等について(東京電力の小委員会提出資料)が配布されました。

放射能汚染水を海洋放出しないで–署名で声を

置き場所ないから海に流す、というのは本末転倒です。
汚染水対策委員会委員長に以下を求めています。

・放射能汚染水の意図的な放出はおこなわないこと。

・放射能汚染水は長期保管とし、並行してトリチウム分離技術を開発適用すること。

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