干ばつの頻度と期間は、2000年以降、世界全体で29%増加しています。* 2050年までに干ばつが世界人口の75%以上に影響を与える可能性があることや、その他の気候変動が原因で、2億1,500万人以上が家を追われる可能性があることが指摘されています。

日本を含め世界中で猛暑が続いており、山火事、干ばつ、水害や土砂災害が世界各地で起きています。連日ニュースでは、「記録的」「過去最高」「いままで経験したことのない」といったフレーズを、頻繁に聞くようになりました。

国連砂漠化防止条約(UNCCD)の新しい報告書によると、人類は干ばつの影響により「岐路に立っている。早急に、あらゆる手段を用いて緩和を加速する必要がある」と発表されました。

アフリカ

ナイジェリアでは長期にわたる干ばつにより、作物や家畜を育てるための土地が不足し、砂漠化が進んでいる

アフリカでは、エチオピア、ソマリア、ケニアで1,800万人以上が深刻な飢餓に直面*しており、過去40年で最悪の干ばつを経験しているとFAO(国際連合食糧農業機関)は警告しています。

国連 (UN) は、最近のレポート「Drowning by Numbers」で、干ばつは他のどの大陸よりもアフリカに影響を与え*ており、世界全体の44%を占めていると述べています。

これらの国々では、4年連続で降水量が平均を下回り、農業や食料生産に壊滅的な影響を与えています。

アメリカ

カリフォルニア州イサベラ湖付近

米国の43%以上が7月末に干ばつに陥っていたことが、*米国政府の全米統合干ばつ情報システムによって明らかになりました。2022年8月時点で1億3,000万人以上の人々が干ばつの影響を受けており、2億2,900万エーカー分(北海道14個分以上の面積)の作物に被害が生じています。

国連によると、米国経済は、干ばつと関連する作物の不作により、推定 2億4,900万ポンド(406億3,300万円)を失っています。*

中国

中国南部で深刻な干ばつが発生

中国でも記録的猛暑が続いています。電力不足や干ばつが深刻な状況になったため、政府が対策を打ち出しました。対策の影響で一部製造業が生産停止になり、経済活動にも影響が出ています。

また、長江流域の干ばつにより農村部の人々や家畜の飲料水確保、作物の成長に悪影響を及ぼしています。

フランス

フランス、ブルゴーニュ地方の熱波と干ばつ

フランス政府は、100以上の自治体で飲料水が不足するほどの歴史的な干ばつに対処するため、危機管理チームを立ち上げました。AFP通信によると、国営エネルギー会社EDFは、川の水温が高すぎて十分な冷却ができないため、一部の原子力発電所の出力を下げなければなりませんでした。

フランス本土のほぼ全域を襲っているこの干ばつは、作物の収量を減らし、ウクライナ戦争による食糧危機を悪化させるのではないかと懸念されています。

世界各地で深刻化する熱波、干ばつ、豪雨災害など異常気象の原因

3カ月間雨が降っていないイタリア北部のポー川やティチーノ川を干ばつが襲う(2022年8月)

さまざまな要因のなかでもっとも大きな原因の一つが、人間活動による温室効果ガスの排出が影響し「地球温暖化」で地球の平均気温が上昇していることが原因です。

石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を燃やすと、大量のCO2を含む温室効果ガスが排出され、地球の熱が逃げずに、地球温暖化が起こります。気温が上がることで、熱波、山火事、干ばつ、大雨などが通常よりも頻繁に、そして大規模に発生しやすくなり、気候パターンが変化します。

国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、私たちが安全に暮らせる環境を維持するには、平均気温の上昇を産業革命以前より1.5度以内に抑えることが必要だと強調しています。

そのためには、日本は2030年までに温室効果ガスの排出量を62%削減しなければなりません。

干ばつによる日本への影響

気候変動による水不足や干ばつは、どこか遠い国の問題と思う方も多いかもしれません。しかし、海外に食料を依存している日本にとっては深刻な問題です。

ヨーロッパでは、オリーブオイルや小麦、南米では大豆、鶏肉、とうもろこし、コーヒー豆、オーストラリアでは、牛肉などが生産されており、これらを日本は輸入しています。

各国でさらに、干ばつや水不足が悪化していくとこれらの農畜産物の生産が困難になってしまい、価格上昇などでわたしたちの生活に悪影響を及ぼしてしまいます。

深刻化する気候危機に対して私たちができること

グリーンピースは、政府や企業に意欲的な脱炭素対策を求める働きかけも行っています。ぜひ、私たちと一緒に行動してください。

  • エネルギー転換を加速させ、石炭火力を早期に廃止し、化石燃料依存からの脱却に向けた道筋を示す
  • より​野心的な温室効果ガス削減目標と行動計画の策定と早急な実現
  • 「2050年CO2実質ゼロ」を目指した自然エネルギーを主力電源とするエネルギーシステムの構築
  • 使い捨てプラスチック製品の廃止を加速し、リユースを主要なビジネスモデルとする
  • 環境負荷の高い工業型畜産に依存した食料供給システムを見直すことで、食品の温室効果ガス排出量を減らし、廃棄物を出さないようにする
  • 2030年までに、少なくとも30%の海洋と陸地を人間の干渉や破壊から守ることを推進する

これらはすべて、温室効果ガスの排出を削減し、気候と生態系のバランスを維持し、環境をより安全にすることで、社会の発展と生活の安定のために必要なステップです。

これから先の世代に、安心して暮らせる地球を残していくために、今日からできることをしてみませんか。

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