問題点と解決策
問題点:
放射能汚染
©DigitalGlobe
豊富な海洋生態系が形成されている世界三大漁場の一つであり、ワカメ、カツオ、サンマなど日本の食滝に欠かせない魚介類の大産地である東日本太平洋沖。
2011年3月11日に起きた地震および津波により、福島第一原子力発電所から大量の放射性物質が、この海の豊富な生態系を汚染しています。
既に広い海域で採取された多くの魚介類サンプルから、日本政府の定める暫定気規制値を超えた放射性物質が検出されており、その影響は何十年も続いてしまうことが懸念されています。
放射性物質は海洋生態系を汚染するだけでなく、海からの生態系サービスの恩恵を受ける水産関係者や、私たち消費者の生活や健康にも、長期にわたり影響を及ぼします。
小売や飲食店の情報提供不足
今、私たち消費者が小売や飲食店などで手に取る魚介類には、重要な情報が提供されていない事にお気づきですか?
- どの海域で獲られた魚なのか
- 放射能汚染されていないのか
- どのような漁法で獲られた魚なのか
- 違法に獲られたものではないか
- 絶滅危惧種に指定されていないか
魚介類消費大国である、日本の大手小売や飲食店の多くは、十分な情報提供をしないまま、魚介類を店頭に並べています。
このため、消費者が知らないうちに内部被ばくをしてしまったり、過剰漁業に手を貸すことになっていたりしています。
グリーンピースは、みんなが安心して魚介類を口にできるよう、そして子どもたちの世代の海と食卓に、さかなを残してあげられるよう、消費者が水産業をサポートできる体制作りを提案しています。
漁業問題
© Jeremy Sutton-Hibbert / Greenpeace
いま世界の海から魚がいなくなっています。
それは、生物が自然に増えるスピードを超えるレベルでの漁業が続けられているのが主な原因です。
このままのペースでは、マグロやタラなどの大型魚から次々と海から姿を消し、最後には世界の海はクラゲとプランクトンしかいなくなってしまうかもしれません。
この問題は、世界最大規模の魚介類消費国である日本にとって、真剣に取り組むべきものです。
すでに世界の主な水産資源の80%は限界まで漁獲されていて、特にマグロ・カジキ・タラなどの大型魚は、漁業が産業化した最近の60年で90%が世界の海から姿を消してしまいました。
また、世界の漁獲総量に占めるIUU(違法、無報告、 無規制)漁業の割合は30%にものぼります。
さらに、商品とならないため漁獲してその場で海に捨てられてしまう生物は、世界の漁獲量の4分の1(年間約2000万トン)にのぼり、エビの底引き網漁では、網の中の 80%~90%もがエビ以外の生物で占められて、捨てられる場合もあります。
気候変動
海水温度、海水面の上昇や、海流の大幅な変化の影響で、熱帯に生息する種が東京湾で発見されるように、海中の生息環境は急激に変化しています。
サンゴの大規模な白化現象のように、その変化に適応できないものは死滅してしまいます。
に気候変動の引き金となっている二酸化炭素量の上昇は海水を酸性化させ、これがサンゴ礁の基礎や貝殻やエビやカニの殻などの成長を遅らせるなど、生物多様性にきわめて大きな影響を与えています。
海水は200年前と比べて、30%も酸化が進んでいます。
さらに下水、工場排水、家庭排水、農業用肥料および薬品などの流出や、廃棄物の海洋投棄などによる海洋汚染が、海の生物多様性にとっての更なる脅威となっています。
(数値は、国連食糧農業機関(FAO)、カナダ・ダルハウジー大学のランサム・メイヤーズ教授らの研究チーム 、国際自然保護連合(IUCN)の資料を参考にしています。)
解決策:
放射能汚染による海洋生態系破壊を止める
©Jeremy Sutton-Hibbert / Greenpeace
グリーンピースは、東日本大震災の被害を受けた被災者の方々の生活を一刻も早く取り戻すことが何よりも大切だと考えます。
地域の漁業復興のためにも、消費者の安全性を確保するためにも、海洋生態系への放射能汚染をすぐに止めることが大切です。
日本政府に対しては、この海洋生態系における放射性物質調査の強化、結果の公平かつ速やかな発表、そして消費者や水産業関係者へのわかりやすい説明の実施を求めています。
流通・消費をかえる
© Kazuya Hokari/Greenpeace / Greenpeace
スーパーの鮮魚コーナーでは、世界中から集められた魚介類であふれ、回転ずし屋でも、旬に左右されない豊富な種類の魚介類が低価格でコンベヤーの上を回っています。
消費者の需要を満たそうと4定(定時、定質、定量、定価)を追及する画一的な流通・販売形態が、海の生物多様性を破壊する大規模な漁業を後押ししています。
グリーンピースは、水産業や魚食の持続可能性を未来の子どもたちに残すため、過剰に漁獲されている海の生物の中で特に象徴的な魚介類をリストアップし公開することで、消費のあり方の見直しを提案しています。
また、流通・小売の大手企業に対して、持続可能な魚介類の調達方針を作成するよう働きかけています。
さらにいま問題となっている魚介売りの放射能汚染に関しても、行政の検査をきちんと通った魚介類だけが市場にでているとは考えにくい状況です。
グリーンピースは大手小売に対して、放射能汚染の度合いを自社で測定すること、その数値を消費者に公表すること、水揚げ港ではなく漁獲海域を表示すること、そしてこれらの方針を明文化することなどを求めています。
海洋保護区の設立
© Kazuya Hokari / Greenpeace
海の生物や生態系をまもるには、産卵・生育・回遊などのため生態系にとって、特に重要な海域に海洋保護区(Marine Reserves)を設置し、グローバルネットワークでつなぐことが最も効果的です。
海洋保護区とは、漁業や開発などあらゆる人為的関与を禁止する保護海域のことで、陸上の国立公園のようなものと考えればわかりやすいでしょう。
グリーンピースは世界の海の40%を海洋保護区にすることで、地球規模での生物多様性と水産業の持続可能性を追及しています。
持続可能な漁業の確立
マグロやカツオなどをはじめ、私たちの食卓に並ぶ多くの魚は国境を越えて回遊します。
そのため、漁業は国際的な枠組みの中で管理していくことが、海の生態系を守る上でも、未来の食卓を守る上でも、とても重要です。
グリーンピースは太平洋や大西洋など世界の海で、乱獲や混獲を止め、違法漁業や破壊的な漁法を取り締まり、国際的に合意された枠内で漁業を行う体制を作ることで、水産業や魚食の持続可能性を追求しています。
海洋保護区に指定されていない海域において、各国政府および各漁業管理機関に対し、漁業管理へのエコシステム・アプローチと予防原則の導入、その国際的合意の遵守、そしてIUU漁業の厳格な監視・管理の徹底を求めています。