『原発事故の写像ー浪江町と飯舘村における放射線調査』

出版物 - 2018-03-01
本報告書は、グリーンピース・ジャパンが2017年9月から10月にかけて、飯舘村、浪江町の避難指示が解除された地域、および浪江町の帰還困難区域で行った放射線調査結果をまとめたものです。民家や森、道路などで、合計数万カ所もの地点を測定しました。

飯舘村の民家6軒は、2015年からの3カ年の経年調査です。浪江町の帰還困難区域では、2023年に人の居住をめざす「特定復興再生拠点区域(復興拠点)」に認定された津島地区や大堀地区を含み、民家3軒や道路などを調査しました。

グリーンピースは、飯舘村や浪江町の避難指示が解除された地域では、いまなお国際基準と政府の長期目標の年間1ミリシーベルトをはるかに超える高い放射線量が続いている地点があること、除染の効果が限定的であることを明らかにし、政府がこれらの地域の人々への賠償を打ち切る形で帰還を進めることは、人権侵害であると訴えています。

 

<調査結果概要>

●飯舘村(避難指示解除区域)

  • 民家6軒のうち4軒では、除染完了後も、政府の除染基準(毎時0.23マイクロシーベルト)の3倍の放射線レベルが計測された。いくつかのエリアでは、放射線量が2016年より増加しており、周囲の森に蓄えられた放射性物質の移動など再汚染の可能性が考えられる。
  • 南部の民家で、政府の除染基準(毎時0.23マイクロシーベルト)を達成するのは、今世紀半ばごろと推定される。

●浪江町(避難指示解除区域)

  • 2011年から2012年大規模なモデル除染の対象となった津島地区の民家では、最大値毎時5.8マイクロシーベルト、平均値毎時1.3マイクロシーベルトだった。これは除染の効果が非常に限定的であったことを示している。
  • これらの地域で、毎時0.23マイクロシーベルトを達成するのは、来世紀に入ってからと推定される。

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