こんにちは。海洋生態系担当の花岡和佳男です。フィリピン・マニラで、第9回WCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)年次会合に参加しています。

海中を泳ぐジンベエサメやマンボウなどの大型魚や、洋上に何十万個も浮かべられたFAD(人口集魚装置)に集まる魚の群れを一網打尽にするまき網漁は、大きなマグロだけでなく、手のひらサイズの子マグロもサメもカジキもウミガメも何でも巨大な網で囲んで一網打尽にしてしまう、乱獲の代表的な漁法です。成長して海で産卵をする前の幼魚がこれからも大量に獲られ続ければ、マグロも他の魚も、海からいなくなってしまいます。太平洋の生態系と漁業と海の恵みを次の世代に残すために、グリーンピースはジンベエザメにつく魚を対象とするまき網や、FADを用いたまき網に反対しています。

この会合に参加している国内外の漁業関係者も、「ながれものにつく魚をまくのはよくない。魚が海から消えて困っているのは漁業者自身だ。まき網は規制しないといけない」と、ジンベエザメなどにつく魚を対象とするまき網の禁止を求めています。

BAN THE FAD

グリーンピースは、昨日3日目は会場内のロビーでFAD禁止を求めるアクティビティーを、今日4日目は会場の外壁で「BAN THE FAD」と書かれた巨大プロジェクションを行い、会合に出席している意思決定者にその緊急性を訴えました。第9回WCPFC年次会合は明日で閉幕。限られた時間の中でどれだけ前進さることができるでしょうか。

マグロの世界最大の消費国である日本に住む消費者だからこそできること

各国政府やグリーンピースなどは、このWCPFC等の場で、マグロ漁業を持続可能なものにするための国際的枠組みを作ろうとしていますが、その枠組みができるのをただ待っているだけでは、その間、乱獲はますます進み、マグロは減っていくばかりです。この会合に参加して、ますます強くそれを感じます。いま国際的な漁業管理の枠組み作りと並行して進めていくべきは、消費者が明確な需要を作り市場をシフトさせていくこと。消費者が「持続的に獲られた魚を選んで購入したい」「未来の魚まで私たちに売らないでほしい」という需要を、普段行く大手量販店や回転寿司チェーン等にきちんと伝わるまで伝え続け、違法や過剰に獲られた魚を市場から排除することです。世界最大のマグロ消費国である日本に住む私たちだからこそできる、太平洋の生態系と漁業、そしてマグロ料理を次の世代に残すためのとても影響力のある活動です。小売や外食産業は需要によって大きく動きますし、ビジネス存続・発展のために最新の需要が何なのかを知りたがっています。美味しく魚を食べ続けられるために、ぜひ店頭にある「お客様の声」フォームにリクエストを書いて、設置されている箱に投函してください。何を売ればビジネスになるかを伝え続け、お気に入りのお店を応援してください。

 

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遠のく漁場、小さくなるマグロ :寿司や刺身に欠かせない太平洋のマグロを持続的に利用するために (3)
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