海洋生態系問題担当の花岡です。

 

私たちグリーンピースによる持続可能な漁業・漁食を推進する「SUSEA(Sustainable SEAfood)」キャンペーンチームは、今年に入ってから日本の消費者を対象とした「漁業問題や魚食に関する世論調査」を進めてきました。3月2日はその調査結果を東京事務所で発表し、大手マスメディアの記者さんらを対象に、SUSEAキャンペーンについての勉強会を開催しました。

 

漁業問題や魚食に関する街頭インタビュー

漁業問題や魚食に関する世論調査結果

 

欧米の消費者は、例えばレストランで魚の調達元を聞くなど、海洋環境への意識が高い方が多く、その傾向は年々高まってきているように感じます。同時に、「おさかな大好き日本の消費者だって、何が何でも食べ尽くしたいわけではない。おいしくいただいて、次の世代にもちゃんと残したいに違いない!」という強い願いが、私の心の中にありました。

 

今回の調査結果からは、私と思いを同じくする人々が大勢いることが分かり、3歳の魚好きな息子を持つ父親でもある私を、勇気づけてくれる結果になりました!それは、日本の消費者も環境に対する意識が高く、スーパーマーケットやレストランに対して、漁業の持続可能性へ向けた取り組みを望んでいることです。

 

いくつかの調査結果を挙げてみます。

 

  • 日本の消費者の3人に2人が、魚介類の資源状態や環境負荷に関する情報を、消費・購入の場面で「もっと得たい」。


  • 日本の消費者の半分が、普段利用する小売店やレストランに、「まずはどの商品が持続可能な漁業で獲られたものなのか表示してほしい」。さらに全体の3人に1人が、「持続可能な漁業で獲られたものを積極的に取り扱ってほしい」。


  • 消費者の68%が、普段利用する小売店やレストランに、「購入を避ける選択ができるように、まずはどの商品が絶滅危惧種なのか表示してほしい」。17.9%が、「絶滅危惧種や危急種の取り扱いを中止してほしい」。

 

スーパーやレストランが取り扱う魚介類商品は、世界の海で進む過剰漁業により、ものすごい勢いで激減しています。現在の商業漁業の漁業能力は持続可能なレベルの2.5倍にもなると言われ、世界の主要な漁業資源の80%が、持続可能なレベルぎりぎりあるいはそれを超えて漁獲されていると発表されています。このままでは2048年にも、世界の海で漁業が産業として成り立たなくなる可能性があるとの警鐘すら鳴らされています。このままいってしまえば、次の世代の食卓には、いったいどのような海の恵みが残されているでしょうか…。

 

世界最大規模のシーフード市場である日本の消費者は、今回の世論調査から見て取れるように、漁業問題を懸念し、魚介類に直接触れ合う大手スーパーやレストランに対して、環境情報の提示と持続可能性へ向けた活動を求めています。息子や孫の世代にも、海の恵みを味わってもらいたいと願っています。

 

消費者に魚介類を提供するスーパーやレストラン、特に総合スーパー、食品スーパー、居酒屋、そして回転寿司業界の大手企業は、自身のシーフードビジネスを続けるためにも、消費者の声に耳を傾け、持続可能な魚介類の調達・提供へ向けて、舵を大きく切る時期にきています。

 

グリーンピースは現在、上記各業界の大手5社、合計20社の、日本の水産業と魚食の行く先を変えることのできる影響力を持つ企業と対話を行い、調達方針について話し合いを進めています。

 

この問題、みなさんはどのようにお考えですか?