こんにちは。気候変動・エネルギー担当の高田です。
7月3日、驚きのニュースがグリーンピース・オーストリアから飛び込んできました。
原発で発電された電力を輸入しないようにする法律が成立したというのです。
オーストリアは水力が6割、火力が3割、水力以外の自然エネルギーで3%程度の発電を賄っており、その他を隣国から輸入しています。商用原発は国内にありません。
「電源証明書」つき電気
今回の決定によって、販売する電力1キロワット時ごとに、何によって発電されたものか「電源証明書」を用意することが義務付けられました。
発電方法がわからない電力の販売は禁止され、電力会社は原発でつくられた電力の販売を見合わせることに。
法律は、2015年1月1日発効の予定です。
すでにEUでは、電力供給の透明化を求める法案がありますが、オーストリアが先陣を切ることになりました。
(詳しくはこちら。グリーンピース・オーストリアのウェブサイト)
NGOのはたらきかけで実現!
ちなみに、上の写真でバナーを掲げている中央の方は、オーストリアの現首相です。
オーストリア政府に、「電源証明書」導入をはたらきかけ続けていたのが、グリーンピース・オーストリアとグローバル2000を始めとするNGOでした。
写真:東電福島原発事故から10か月めに行われた抗議行動
なおオーストリアには、現在、稼働中の商用原発はありません。
「稼動中の」と書いたのは、建設された後、いちども運転されていない原発はあるからです。
その名は、ツヴェンテンドルフ原発。
1978年11月5日、ツヴェンテンドルフ原発の運転と、他の原発の建設の是非を問う国民投票が行われました。
結果は、「運転・建設反対」が全体の50.47%。
辛くも「反対」が過半数となり、この決定を機にツヴェンテンドルフ原発は一度も運転されることなく現在に至ります。
(ツヴェンテンドルフ原発について、詳しくはこちら:英語・ドイツ語。 内部の写真ツアーもあり。ここをクリックし、左側の「forward」を押すと次に進みます)
ちなみに、ツヴェンテンドルフ原発は現在、ドイツの原発技術者のトレーニング施設、および予備パーツ供給所として活用されているそうです。
市民の声をきちんと受け止め、脱原発の道を歩んだオーストリア。
今回、原発電力の輸入も止める決定をしたことで、世界的にもこの分野の先駆者となりました。
げんぱつにNO!せんきょにGO!
日本の政府もきちんと市民の声を受け止めてほしい――私たちに今できることは?
それは7月21日の参議院選挙に投票にいくことです。
市民の声を受け止めてくれる、国会議員をひとりひとりの選挙権でえらびませんか。
各政党の原発についての公約を以下にまとめました。(クリックすると、詳細に移動します)