こんにちは。海洋生態系担当で、グリーンピースのスシ(SU-SEA = SUSTAINABLE SEAFOOD)プロジェクト・チームリーダーの花岡和佳男です。

SU-SEAプロジェクトは、子どもたちの海と食卓に魚を残すため、日本の食卓に並ぶ魚介類の約7割を販売するスーパーマーケット業界の調達方針をサステナブルなものにシフトする活動です。日本初の、持続可能性や環境負荷を考慮したお魚選びができる、目からウロコな「グリーンお買い物ガイド・お魚編」を作成しました、まだの方はぜひダウンロードして使ってください!

 

イオンと交渉

最大手イオンが「持続可能な調達原則」を発表して1週間。私たちは先週イオン本社で、水産物調達の責任者などと話し合いを行いました。

イオンの「持続可能な調達原則」は、前のブログでもお伝えした通り、他の大手スーパーやサプライチェーンを動かす大きな一歩です。しかし、現在イオンで売られている商品のすべて がこの原則に則っているというわけではなく、むしろこれは、これから達成を目指す大目標。その目標達成のための具体的ステップはまだまだこれからで、そのステップについて、話し合いを行ってきました。

国内のスーパー大手の中では先進的とは言え、持続可能性の確立には遠い状態。スーパー各社やそのサプライチェーンの動きを早めなくては、このままでは乱獲により海は空っぽになってしまいます。子どもたちの和食からも、そのエッセンスである魚が消えてしまいます。

 

スーパーの水産物コーナーが陥る負のスパイラル

スーパーマーケット業界は、飽和状態にある国内市場でパイが減少していく中、水産物コーナーはどこも赤字続き。しかし日本の食卓に魚が欠かせない以上、「魚を扱わない」という選択肢はありません、そんなことをして客が他のスーパーに移ってしまうリスクを恐れるからです。

それに加えて、販売する魚が乱獲によりことごとく海から姿を消しているのですから、やがて売る商品すらなくなっていくという、大きな問題を抱えています。

ライバルのスーパーや、コンビニなど多業態との差別化をはかりビジネスを継続するための、問題の根本的打開策は、他社に先駆けて魚介類商品の持続可能性を追求することしか実質ない状態ですが、多くのスーパーは未だに及び腰。それどころか、売れるものを売れるうちに売ってしまおうというスタイルから抜け出せないところが多く、持続可能性よりも価格で他社と競争し、薄利多売を続け、海での乱獲を加速させてしまっています。

 

 

 「持続可能な調達原則」を可能にする力

前述の通り、イオンが発表した調達原則は目標であり、実際に販売されている商品にはまだ完全には反映されていません。他社においてはその目標を消費者に「約束」することすらしていません。スーパーを日常的に利用する側としては、それでは困ってしまいますね。

ではどうしたら、スーパーに持続可能性の追求を優先させることができるのか。交渉の度に感じるのですが、その最大の力は、消費者である私たち一人ひとりの手の中にあります。客に商品やサービスを売って収入を得るスーパーは、客が何を求めているのか、何を売ればお金になるのか、その情報収集に必死です。店舗に「お客様の声」を記入する用紙があり投函箱が備え付けられているのも、そのためです。

スーパーは、客が求めるものを提供しようと努めます、けっこう単純です。つまり、持続可能な漁業によって獲られた魚を私たち消費者の多くが望み、その望みの大きさをスーパーが理解すれば、スーパーは積極的に動くのです。実際に、消費者の声が大きい欧米では、大手スーパーやレストランやマグロ缶詰メーカー等が、次々とサステナブル・シーフード・ポリシーを打ち出したり、サステナブル・シーフード商品を販売したりしています。魚が日々の生活や文化に欠かせない日本でこそ、いま消費者の声が必要です。

普段食べる魚を「持続可能性」で選ぶ

  • 価格、鮮度、安全性等に加えて、「絶滅危惧種や乱獲された魚は買わない」「十分に資源管理された魚を買う」等の項目を、ご自身の魚の選択基準に加えましょう。スーパーで魚を選ぶときに「どの魚ならいま食べても大丈夫?」と悩んだら、日本初の、持続可能性や環境負荷を考慮したお魚選びができる、目からウロコな「グリーンお買い物ガイド・お魚編」を使ってお買い物をしてください。乱獲された魚は売れない、持続可能性を考慮した魚介類商品は売れる、ということをスーパーに理解してもらいましょう。

変わってほしい、応援したいスーパーに、声を届ける

  • みなさんが普段使うスーパーや変わってほしいお店に、客が何を求めていて何を求めていないのかを伝え、企業の成長を応援しましょう。グリーンピースは大手スーパーや業界団体に「持続可能で安全な魚を売ってほしい」という「消費者の声」を届けるプロジェクトを展開中。ぜひご参加ください!

 

 

一緒に子どもたちの海と食卓に魚を残しましょう!

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 Blog posted by: 花岡和佳男