こんにちは。海洋生態系担当の花岡和佳男です。

土用の丑の日までいよいよあと一週間です。

今年は二ホンウナギが国際的に絶滅危惧種に指定されたり、国際貿易が規制されているヨーロッパウナギがワシントン条約の網の目を抜けて日本市場に流れたりと、「うなぎのぼり」ならぬ「うなぎくだり」な現状が次々と報じられていますね。

でも、絶滅危惧種に指定されるほど自然界からいなくなっているはずなのに、少し高価になったとはいえ今でもスーパーマーケット等に行けば手軽にウナギが手に入る現状。消費者としては戸惑ってしまいますよね。

 

ウナギ、絶滅危惧種でしょ?今年もスーパーで買って食べてもいいの?

スーパーやコンビニや牛丼屋等による薄利多売が絶滅危惧種の乱獲を後押ししていて、危機の度合いを一層高めています。絶滅してしまったら、自然界にいなくなるということですから、もちろん食べることもできなくなってしまいますよね。つまり、絶滅「危惧」の状態である今が、ウナギを残すラストチャンス。絶滅危惧種の薄利多売なんてすぐに止めるべきですし、そのために私たち消費者は、少なくともスーパーやコンビニや牛丼チェーン店等での購入は控えたいですね。

 

 

絶滅危惧種の漁業や流通、なんで管理しない?

ごもっとも。でもヨーロッパウナギに関してはようやく少し、動きが見られてきましたよ。

私達グリーンピースのSUSEA(SUstainable SEAfood)プロジェクトが対象としている国内大手スーパーマーケット15社のうち少なくとも11社はヨーロッパウナギの取扱いの中止を約束していますし、水産庁も輸出国である中国当局に対して「グリーンピースもこういうレポートや要請書を出しているが、ヨーロッパウナギの養殖や貿易の実態はどうなっているんだ」と情報収集をし対策を急いでいます。

 

気になる!「代替ウナギ」って何よ?

スーパー等は今、絶滅危惧ウナギの薄利多売を続けながら、そうはいっても調達が困難になってきているので、商品棚をこれまで通り埋めるために世界各地から「代替ウナギ」を探しています。

世界には19の種・亜種が確認されていますが、中でも今特に業界の注目を集めているのが、東南アジアに生息する「ビカーラウナギ」。

スーパー国内業界最大手のイオンが販売している「一の字うなぎ 蒲焼」、これ、インドネシア産のビカーラウナギです。

 

 

じゃあさ、ビカーラウナギはいま食べても大丈夫なの?

うーん、残念なのですがYESとは言えないのです。

と言うのもビカーラウナギは資源管理や漁業規制がほぼ皆無。インドネシアでは、信ぴょう性のある漁獲量データもないし資源量すらわかっていない中で、世界のウナギ生産量の70%を消費する日本市場を目指してウナギ漁業者が増える一方です。「獲り放題」な中で「獲り合い競争」が激化していて、まさにヨーロッパウナギや二ホンウナギと同じ道を辿っているのです。

実際に2014年6月、国際自然保護連合(IUCN)は同種を準絶滅危惧種に指定し、「このままだと絶滅危惧種になってしまうよ」と、赤信号を灯しています。

私達グリーンピースのSUSEA(SUstainable SEAfood)プロジェクト・メンバーはこの度、ビカーラウナギの生産現場インドネシアのジャワ島を横断し、その実態を調査し、レポートやビデオにまとめました。

 

 

持続可能なウナギはいないってこと?

残念ですがこの質問への回答はYES。

もしこのまま日本市場がヨーロッパウナギや二ホンウナギ同様にビカーラウナギまで絶滅危惧種にしてしまい、それでまた次の「代替ウナギ」をまた探す…なんていう焼畑的な調達を繰り返すようでは、世界中のウナギが次々と滅んでしまいます。。

スーパー等は、種が絶滅危惧種になったりワシントン条約の対象種となってから調達をどうするか考えるという後手の対応を改め、まずは資源管理がされて持続性が担保されていることを確認してから、その種の商品を消費者に提供していくサイクルを作ることが必要ですね。もし資源管理がされていなければ、スーパーがその実施を漁業関係者や行政等に積極的に働きかけることも、これからは大切です。

 

それはまずい。子どもたちの自然界や食卓にも、ウナギを残したい!

私たち消費者は、スーパー等による絶滅危惧種の薄利多売を止めることができます。土用の丑の日は、国内のウナギ年間消費の約40%が一日で消費される日。みなさんはどのようにこの日を過ごしますか?少しウナギを我慢して、どうやって未来に残していけるかを考える活動に参加してみませんか?

詳しくはこちらから。