記事 - 2013-05-28
2013年5月8〜10日に宮城県・福島県・茨城県・千葉県の8つの港で採取した海産物のサンプリング調査の報告です。
第19回目調査
宮城県・福島県・茨城県・千葉県で行った海洋調査
調査の背景
福島第一原発事故で放射能汚染水が海洋に放出されて2年が経過しました。
今もなお様々な海の生物から放射能が検出されており、汚染された魚介類が広く流通しています。
福島県の漁業は休業(一部試験操業を除く)を強いられているにも関わらず、東京電力は同原発施設内にたまり増え続ける放射能汚染水をさらに海に放出することを計画しています。
そこで、現在の海の状況を知るため、地域の漁業や流通に携わる方々と共に福島県を中心とした漁港でサンプリング調査を行いました。
調査結果まとめ
24サンプル中、富岡港の3サンプル、久之浜港の2サンプル、小名浜港の3サンプル の計8サンプルより放射性セシウムを検出しました。
3港はすべて福島県です。
福島第一原子力発電所から南へおよそ10kmの富岡港で採取したフクロフノリからは、1キログラムあたり109.9±4.8ベクレルのセシウム137と、同57.1±2.3ベクレルのセシウム134が検出され、依然として海洋生態系が放射性物質によって汚染されていることが確認されました。
調査内容
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期間:2013年5月8〜10日
対象:18種の魚と海藻、合計24サンプル
調査場所 :
宮城県 気仙沼港
福島県 富岡港、久之浜港、豊間港、小名浜港
茨城県 大津港
千葉県 鴨川港, 千倉港
検査方法:第三者機関(株式会社エコプロ・リサーチ )で、ゲルマニウム半導体検出器を用いてヨウ素131、セシウム134、セシウム137について検査
検査報告書PDF >>
調査結果詳細
漁港名・採取日 福島第一原発からのおおよその方角と距離 |
魚・海藻名 |
セシウム 134 |
セシウム 137 |
備考 |
気仙沼港 (宮城県 気仙沼) 2013年5月8日 北 170km |
マコンブ |
1.9未満 |
1.8未満 |
気仙沼の代表的な魚です。 |
メバチマグロ |
1.5未満 |
1.7未満 |
ネズミザメの心臓 |
2.1未満 |
1.7未満 |
マンボウ |
3.6未満 |
4.3未満 |
富岡港 (福島県 富岡町) 2013年5月9日 南 10km |
マコンブ |
6.3±0.9 |
13.3±1.4 |
食用だけでなく、ウニやアワビなどの餌になります。
フクロフノリ |
ワカメ |
12±1.3 |
16.2±1.6 |
フクロフノリ |
57.1±2.3 |
109.9±4.8 |
久之浜港 (福島県 いわき市) 2013年5月9日 南 30km |
ワカメ |
2.0未満 |
8.8±1.1 |
食用だけでなく、ウニやアワビなどの餌になります。 |
アカモク |
2.4未満 |
8.1±1.3 |
マコンブ |
1.9未満 |
1.4未満 |
豊間港 (福島県 いわき市) 2013年5月9日 南 45km |
アカモク |
2.0未満 |
2.9未満 |
|
マコンブ |
1.8未満 |
1.9未満 |
小名浜港 (福島県 いわき市) 2013年5月7日 南 55km |
クロダイ |
3.9未満 |
8.7±1.3 |
アイナメ、ヒラメは海の底に棲む魚です。 |
エゾイソアイナメ (ドンコ) |
3.9未満 |
3.6未満 |
ヒラメ |
3.6±0.5 |
7.5±0.7 |
アイナメ |
13.8±0.9 |
26.7±1.8 |
大津港 (茨城県 北茨城市) 2013年5月9日 南 70km |
サワラ |
1.5未満 |
1.6未満 |
|
鴨川港 (千葉県 鴨川市) 2013年5月9日 南 270km |
メダイ |
1.9未満 |
1.8未満 |
|
マダイ |
1.4未満 |
1.6未満 |
ヒラマサ |
1.3未満 |
1.3未満 |
千倉港 (千葉県 南房総市) 2013年5月9日、10日 南 290km |
ブリ(ワラサ) |
1.1未満 |
1.4未満 |
大型魚に捕食されるカタクチイワシは親潮に乗って南下してきたと思われます。 |
アコウダイ |
2未満 |
1.6未満 |
ヒラメ |
1.8未満 |
1.5未満 |
カタクチイワシ (セグロイワシ) |
0.75未満 |
1.1未満 |
単位:ベクレル/キログラム
(数値)未満は検出限界値未満であったことを意味します。
調査結果(PDF)ダウンロード >>
地元の漁業や流通に携わる方々の声
今回の調査では、地元の漁業や流通に携わる方々にお会いし、サンプルを提供して頂いたり、お話を伺ったりしています。 「第19回 海洋調査 - 地元の漁業や流通に携わる方の声を聞いて -」 >>
グリーンピースの取り組みと提案
- 今後も地域の漁業者と協力し、魚介類に含まれる放射性物質の調査を計画的に継続します。
- 東京電力と日本政府に、これ以上の放射能汚染水の海洋放出(投棄)をしないよう働きかけています。
- 日本政府に対して、検査の強化やトレーサビリティーの体制づくりを急ぐよう交渉します。
- 消費者と一緒に、安心して買い物ができる情報が提供されるよう、大手スーパーに交渉します。
- 消費者と一緒に、大手スーパーで販売される魚介類の抜き打ち検査を継続します。
大切なご支援ありがとうございます。
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