緑の党国会議員シーワート氏と鈴木徹 © Greenpeace / Greg McNevin

緑の党国会議員シーワート氏と鈴木徹
© Greenpeace / Greg McNevin
私は1990~92年の間、半年ごとにシドニーで暮らす仕事をしていたことから、今回のクジラ肉事件の当事者(海外ではTOKYO TWOまたはT2と呼ばれる)として訪れた17年ぶりのなつかしいオーストラリア訪問は特別な意味を持っていました。

首都キャンベラで影の環境大臣、議員、外務省の捕鯨チーム、環境大臣のチーフアドバイザー(環境相ご本人は急きょ海外に出られたため、チーフアドバイザーが代わりに対応)を訪れ、日本の調査捕鯨の問題や私たちのクジラ肉裁判についてプレゼンやミーティングを行いました。

それぞれの皆さんが、TOKYO TWOのクジラ肉事件と、調査捕鯨の政府補助金や内部腐敗についての理解が深いことには驚かされました。日本の新政権と調査捕鯨廃止に関する対話を首相レベルで早急にはじめること、そして国際人権条約にもとづき、私たちのクジラ肉裁判にオーストラリアからオブザーバーを送ることについて提案・要請しました。皆さん熱心に耳を傾けていただき、私たちの提案もかなり前向きにとらえていただきました。

こちらの政府関係者や政治家は実直かつ柔軟で、問題解決に真剣に取り組んでいる姿勢に大きく学ぶものがありました。

緑の党国会議員との会見を皮切りに、ラジオ・オーストラリアのロングインタビューや新聞の取材が立て続けに飛び込んできて、より多くの方々に調査捕鯨の驚愕の実態を知らせることができました。



▼インタビューの様子
政府の官僚や議員、報道関係者、NGO、そしてオーストラリアの一般の方々はもちろん、シドニー在住の日本人の方々まで、本当に多くの人たちと対話することができました。オーストラリア全体が真剣に捕鯨問題に向かい合っていることがひしひしと伝わりましたし、だれもが私たちのメッセージに耳を真剣に傾けてくれました。

日本人の方の「調査捕鯨には、ここの日本人はみんな迷惑している」という声や、あるメディアの方からは「日本の外務省の人たちもすごく迷惑しているって言っていますよ」という話を聞き、違うアングルからも調査捕鯨を即刻廃止すべきであるのは間違いないと思いました。

また、いままでオーストラリア側からはなかなか見えなかった調査捕鯨の実態、天下りなどの構造、そして一般の人たちは真実を知らされていないし、鯨肉のまともな需要などどこにもないという事実を知ったとたんに、これまでのスタンスをきちんと切り替えていく姿勢は、なかなか日本人には想像がつかないレベルの柔軟性と現実性にあふれていました。

もし、この冬までに調査捕鯨が廃止されず、また南極海に出かけて日本国民の税金を撒き散らし、多くのクジラを意味なく殺し続けるようであれば、日本は政権が変わったとしても国際社会での信頼回復に逆行することでしょう。