注目された「ストレステスト聴取会」



1月16日、「再稼働コースター、止めるなら今」というブログを書いて再稼働のプロセスに注目を呼びかけた。

その2日後の1月18日に行われる原子力安全・保安院(以下、保安院)による「ストレステストに係わる意見聴取会」で、事実上再稼働への動きが始まってしまうにも関わらず、メディアや市民の関心が低いままだったからだ。

しかし、1月18日、それまでほとんど注目されなかったこの「聴取会」にスポットライトが当てられることになる。

それは、俳優の山本太郎さんや千葉麗子さん、そして多くの市民が経産省前に駆けつけて抗議活動を展開したり、傍聴予定だった市民らが聴取会の会場に入り「同室での傍聴」、「利益相反する委員(三菱重工関連からの寄付を受けていた)の交代」を求めたからだ。

グリーンピースも経産省前のパフォーマンスを行ったあと、聴取会の会議室に入って抗議した。

聴取会が「市民の抗議により時間通りに開催できず」というニュースは瞬く間に広がり、保安院が密室会議で再稼働を決めようとしていたことを多くの人に気づかせるきっかけとなった。

そして、枝野経産大臣が緊急記者会見をしなければならなくなったことで、さらにニュースは広がる。

 

3月末に解体される保安院に判断を下す資格があるか?

もちろん、「聴取会を妨害した」として市民側を取り締まるように主張したメディアもあった。

ただ少し冷静に考えれば市民側の主張に理があるのは明らかだ。

「密室会議」や「利益相反の委員が進行役」ということは、福島第一原発事故の責任を負うべき保安院がすべきことではない。

そもそも保安院に原発再稼働に向けた審査資格があることもおかしい。

保安院は、福島第一原発事故におけるさまざまな過ちの責任を負うにもかかわらず、未だに事故原因もあやふやのままだ。

ましてや、保安院は3月末に解体されることが決まっており、4月からは環境省に移管される。

下す判断に責任をもたなくても良い構造のままで、重要な結論を導こうとしているのだ。

 

割れるメディアの論調

この聴取会の後、「ストレステスト」自体やその評価プロセスに対する意見が当日の出来事とともにマスコミに報じられるようになった。


下記に一部の新聞社説を紹介したい。(リンクは2012年1月23日現在)

社説:原発テスト 「結論ありき」と疑う (毎日新聞 1月20日)

原発テスト 疑問には答えていない (中日新聞 1月20日)

原発安全評価 国民の理解を得られるか (西日本新聞 1月20日)

保安院に資格はあるか 原発安全評価 (信濃毎日新聞 1月20日)

原発の再稼働問題 真の安全 保証できるか (中国新聞 1月20日)

原発安全評価「妥当」/これでは「見切り発車」だ (河北新報社 1月20日)

福井県、再稼働認めぬ姿勢 大飯3、4号耐性評価 (福井新聞、1月19日)

[原発安全評価] 「見切り発車」では困る (南日本新聞 1月20日)

大飯原発の安全評価 こんな手続きで理解は得られぬ (愛媛新聞 1月21日)


また、新聞だけではなく、テレビ朝日の「報道ステーションSUNDAY」では、1月22日の放送でこの聴取会に参加していた山本太郎さんをスタジオに招き、生放送で彼の主張を報じた。

このようなメディアの姿勢に賛同する場合には、ぜひ記事や番組への感想をそれぞれのマスコミに送ってほしい。

これらは、多くの市民がストレステストに待ったをかけ、行動に移したことから生まれてきた論調だ。これを育てていくことが再稼働を止めるために必要だ。

1月18日に市民が動かなかったら、保安院はいまごろ何食わぬ顔をして再稼働へと着々と手続きを進めていただろう。

1回の行動では、すべては変わらない。

市民の力で少しずつ軌道を変え、方向を修正していくしかない。

 

次の焦点は?

今日IAEAの専門家が来日した。大飯原発のストレステストを評価し、26日には現地を訪れると報道されている。

そして、次の「ストレステスト聴取会」は2月8日に開催予定だ。枝野経済産業大臣はこの聴取会も「同室での傍聴」を認めない方針だという。

その後は、現地での住民説明会が開催され、再稼働の可能性が一気に高まる。

 

「ストレステスト」へのストレスを発散する方法:国会議員に電話を!

いよいよ明日から通常国会が開会する。

消費税の話題に隠れがちだが、ぜひ再稼働の問題に焦点を当ててもらおう。

そのためには、わたしたちがそれぞれの選挙区の議員に電話して、「ストレステストの聴取会」の問題点を指摘してほしい。

議員の原発再稼働についての姿勢を質問するだけでも効果がある。

福島第一原発の事故から何も学ばない状況を変えられるのは今しかない。

 

<議員への電話方法>


ステップ1: 自治体名を検索し、自分がどの選挙区の有権者かチェック。 こちらから

ステップ2: つぎに下記サイトの「衆議員小選挙区と参議員選挙区から検索」で都道府県を選んで、検索ボタンを押す。 こちらから

ステップ3: 自分の選挙区の議員名をクリックすると、真ん中付近に地元事務所や国会議員会館事務所の電話番号が出てくるので、自分の選挙区の議員に電話して直接意見を伝える。自分が選挙区の人間であることを忘れずに伝える。

 

このブログは、事務局長の佐藤潤一が書いています。

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