こんにちは。海洋生態系担当の小松原です。

明日は今夏2回目の土用の丑ですね。というわけで、ただいま「マグロの赤ちゃんを守って〜Save my Baby〜」キャンペーンをウナギでジャック中です。連続3日でお届けするオーシャンブログ、今日は絶滅危惧種に指定されたのにいっぱい出回っている蒲焼の秘密に迫ります。

 

え、誰も知らないの?

ウナギはまだまだ分からないことが多い、謎に満ちた生きものです。日本から遠く離れたマリアナ諸島近海で生まれ、姿形を変えながら日本に泳ぎ着くことがようやく分かりましたが、私たちが知っていることはまだほんの少しだけ。

IUCNによると、ニホンウナギは過去30年に亘って個体数が減少、また産卵親魚の個体数はその間に少なくとも半分に減ったため、「近い将来に野生での絶滅の危険性が高い」とされるランク(絶滅危惧IB類)に指定されました。

しかも、本来ならばIUCNの評価基準は、産卵海域における親魚のデータ、もしくはそれがない場合には産卵のために回遊をはじめるウナギのデータが必要ですが、そんなものはほぼないので、ウナギ漁やモニタリングのデータを代替として使っているとのこと。

つまり、ちゃんとした産卵親魚のデータはまだ誰も知らないってことですね。

また、 今年からシラスウナギの池入れ量(天然ものを獲って養殖池に入れる量)を2割減らしているそうですが、そもそも謎に満ちたウナギ。

ちゃんとしたデータがないので、果たして2割で十分かどうかさえ定かではない。そんな努力では全く及ばない可能性もあるということですよね?大変不安ですが。

しかもこの2割、またまた「努力しているようにみせている」数字なんです。下のグラフを見てみると.......

(※水産庁「うなぎをめぐる状況と対策について」を元に作成)

あれ?豊漁って言われた昨年を除くここ数年はそもそも2割減の21.6トンを下回っていますよねぇ。これを見るだけでも行政の本気度が見て取れますね。 

 

ウナギは養殖しているから大丈夫?その常識間違ってます!

過去30年で少なくとも半分に減ったとされるニホンウナギ。まだ正確な個体数データはないし、乱獲のほかにも生息環境の悪化など他の要因も懸念されてるうえに、既存の漁獲制限は意味を成さない。

うなぎを売っている側は、「消費者ニーズに応えるため」「然るべき機関が規制管理しているから大丈夫」と、絶滅危惧種であることは知りつつも売っているわけですね。

いっぱい売っているから大丈夫と思っているあなた、まだ本当にそうだと思いますか?

 養殖ウナギは自然界から捕ってきた赤ちゃんウナギを、食べごろサイズまで人工的に育てたもの(詳しくは昨日のブログへ)。100%自然に依存しています。世の中に出回らなくなった時にはもう手遅れ、なんてことも。

捕る人も、育てる人も、売る人も、買う人も、みんなが変わらないといけない所にまで来てしまっていることに、気づかなくてはいけません。

 

ちゃんとやれば回復するのに.....

ちなみに、私たちはニホンウナギの前にヨーロッパウナギという種をすでに絶滅の瀬戸際まで追い込んでしまっていたの知っていますか?

この種は、「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い」とされるランク(絶滅危惧種IA類)に指定されており、輸出入を規制するワシントン条約の対象種にもなっています。これを深刻視したEUは輸出許可書を出さないという決断をしたことも手伝って、ヨーロッパウナギの資源量は回復の兆しを見せています。でもまだまだ油断は禁物です。

ものすごく恥ずかしいことだと思うんです。

ニホンウナギだけで足りなかったウナギ食べたい欲求を満たすために、よそ様の国に生息するウナギをも絶滅に追い込んで、終いには輸出を規制されちゃってるんですよ、私たち。

それで学ばなかったから、ニホンウナギのすぐ後には、アメリカウナギまでもが絶滅危惧種の指定を受けています。さらには、次の替わりのウナギとしてインドネシアのビカーラウナギが狙われています。かわいそうにこの子達もすでに準絶滅危惧種に指定されてしまっています。

 

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決戦の土用丑の明日は、スーパー各社がこの状況をどう見ているのか、お伝えします。

以上、牛丼チェーンやコンビニで大量に売られるウナギちゃん達がとっても気になっている小松原がお送りしました。では、また明日!