こんにちは、海洋生態系担当の田中です。
お魚好きに一歩前進のいいニュース!
西友がこの度、販売する魚介類調達方針やトレーサビリティ体制の強化を約束しました!これからは、確実に原料魚の種の特定ができて、流通経路を追跡できる魚介類を原料とした商品のみを取り扱うということです。
これは、グリーンピースがトレーサビリティの確認をするために8月から9月にかけて実施した二度のアンケート調査と第三者機関によるDNA検査により、西友が一時期店舗で販売していた商品の1つが原材料であるウナギの種を特定できていない状態にあった事実が明らかになったことをうけ、グリーンピースと西友の話し合いの場で同意されたもの。
なぜ、西友は調達方針強化を決定したのでしょうか。
調達方針があったとしても、実際に方針通りの調達ができているのかを確認する手段がなければそれは「机上の空論」でしかありません。そこで、調達方針の実行性を確認するための手段としてグリーンピースが重要視しているのが、「トレーサビリティ体制」。
トレーサビリティ(traceability)とは、生産から消費まで商品の流通経路が追跡可能な状態を指し、それを可能にするシステムがトレーサビリティ体制です。トレーサビリティ体制がしっかりしていれば、誰がいつどこで生産した、何という種のウナギが、どのような経路をたどって店舗に並べられているのか、生産から流通の過程で違法漁業や環境破壊などが行われていないのかを確認することができます。
そこで、グリーンピースは①トレーサビリティ体制がどのようになっているのかを把握するためのアンケート調査、②実際にその体制が機能しているのかを確認するため、店舗で実際に商品を購入、その商品の原材料となるウナギ種を各社に問い合わせると共に、第三者機関に種を特定するためのDNA検査を依頼しました。
これらの調査の結果、西友の取り扱い商品から、一時期種が判別できないまま店舗で売られていたものがあったことが明らかになりました。
西友はこの商品について、「該当商品の販売期間は2013年6月から10月1日であり、種の特定が困難であることが判明した9月中旬に、即日で終売を決定した」とコメントしています。
一時期とはいえ、種の特定ができていない商品が店頭に並んでいたことで、トレーサビリティ体制が実際には十分にシステムとしての機能していなかったことが疑われます。
(詳しくはレポートへ)
今回の調査結果について問い合わせたところ、西友は10月7日、「改善すべき点がまだある」として、グリーンピースと共に検討した結果、「種の特定ができて流通経路を追跡できる魚介類を原料とした商品のみを取り扱うとする、調達方針及びトレーサビリティ体制の強化」を約束しました。
食卓に並ぶ魚介類の70%の購入先であり、生産にも消費にも大きな影響力のあるスーパーマーケットは消費者の声に耳を澄ませ、ニーズを取り入れていきます。
スーパーマーケットは、消費者の声で変わります。
西友の調達方針が持続可能な方向へ一歩前進したのは、絶滅が危惧されるウナギ種を薄利多売することを危険視する世論の高まりです。
グリーンピースでは、放射能汚染、乱獲、違法漁業された魚の販売を中止し、十分な情報公開を求める消費者の声をスーパーマーケットに届けるためにオンライン署名「1週間、魚食べずに過ごせる?」を実施し、10月現在8000筆を超える署名が集まっています。
今回、西友の調達方針が改善されたのは、数多くの消費者が「食文化、漁業、豊かな海を次世代に残していきたい」と思っていることが西友に伝わった成果です。
資源減少が問題になっているのはウナギ種だけではありません。世界の海洋漁業資源のうち「まだ開発の余地があるもの」は全体の13%しかないといわれています。1
もっともっと持続可能な方向に調達方針が改善されていくように、ぜひ、あなたの声をスーパーマーケットに届けてください。
署名に参加はこちら
ウナギまとめページはこちら
ブログ続編はこちら:
国内スーパーマーケット大手、相次いで調達方針を改善② -ダイエー、ユニーがヨーロッパウナギの取り扱い中止を発表-