こんにちは。子どもたちの海と食卓に魚を残す「SUSTAINABLE SEAFOOD PROJECT」プロジェクト・リーダーの花岡和佳男です。これまで私たちは、海や魚を愛する多くの方々と共に、国内スーパー大手5社(イオン、イトーヨーカ堂、ユニー、ダイエー、西友)に対して、持続可能で安全な魚介類の調達を求めてきました

今回、その成果が出ました!スーパー業界最大手のイオンが「持続可能な調達原則」を発表しましたよ!みなさんの力です、やりましたね!!

 

 

イオンの「持続可能な調達原則」とは?

この度、業界最大手のイオンが、自然資源の持続可能性と事業活動の継続的発展の両立をめざして策定・発表した「持続可能な調達原則」、もちろん完璧にはまだ遠いですし、不明確な点も多々ありますが、それでも「違法漁業の排除」、「漁業資源枯渇の防止」、「トレーサビリティの確立」等、グリーンピースが求めてきた要素も多く明記されており、最大手が業界を先導するステップとして、高く評価できるものです。 

 

イオン株式会社「イオン持続可能な調達方針」
1.  自然資源の違法な取引・採取・漁獲を排除します。
2.  生物多様性保全、自然資源枯渇防止の観点で、イオン基準を策定・運用します。
3.  再生不可能な資源の利用については、最小限にとどめます。
4.  農産物や漁業資源の産地、漁獲方法などのトレーサビリティを確立します。
5.  林産物において、保護価値の高い森林の破壊を防止します。
 

この調達原則の策定・発表は、イオンから消費者の皆さんへの「持続可能性を大切にした調達をしていきます」という約束です。消費者にとっては、このような約束をお客様にしていないスーパーと比較して、イオンではより安心して食品や日用品を購入することができますね。

また業界最大手による今回のこの動きは、同業他社に「あ、これ、できるんだ。こうすればいいんだ!」を伝える効果もあります。大手スーパー各社はこれを受けてどのように対応するのでしょうか、今後の動きに注目です。

 

 

「持続可能な調達原則」を作り上げたのは8,000件の消費者の声

2013年10月、グリーンピースはウェブサイト上に寄せられた持続可能で安全な魚を求める約8,000件の「費者の声」を冊子に束ねて、イオンなど業界大手5社の担当者に手渡しました。その際にイオンの担当者は「持続可能性の追及に向け様々な努力をしているが、関連企業が多いこともあり、なかなか発表に至れないものもある」旨仰っていました。

それから約4か月間をかけて策定され今回発表されたこの「イオン持続可能な調達原則」は、そのたくさんの「消費者の声」にイオンが後押しされた結果と言っていいでしょう。みなさんの声があったから、イオンが動くことができたのです。オンライン署名に参加してくださったみなさん、やりましたね!

イオンは2011年11月にグリーンピースとの話し合いの過程で「放射能ゼロ目標宣言」を発表した際にも、自社のプレスリリースで「寄せられた6,500件のご意見に真摯に向き合った結果…」という内容で宣言理由を説明していました(この時もグリーンピースはイオンに数千件の「消費者の声」を届けました)。一般的にスーパー業界では、一通の「消費者の声」に10~100の需要があると捉えるそうです。一人ひとりの声が、企業や業界を動かす大きな力なのです。

 

イオンが投げたボール、私たち消費者はどのように受けて投げ返す?

さて、イオンは消費者の声に耳を傾け、調達原則や方針を策定し、消費者に公開しました。それをどのように受けるのか、今度は私たち消費者に、その対応が求められています。

  • 「私たち消費者は、子どもたちの海と食卓に魚を残すために頑張るスーパーを、消費を通じて応援します。イオンはもっと基準を高めてください。他社はイオンを見習い追随してください」と望む消費者が増えれば、国内のスーパー業界全体のボトムアップにつながります。実際に欧米の多くの市場では、意識の高い消費者の需要によって、小売りの調達が次々と変わってきています。
  • 一方で、もし多くの消費者が「いま安くて美味しいものが食べられれば先のことなんてどうでもいい。とにかく安さ最優先で頼みますよ、スーパーさん」としてしまえば、日本のスーパー各社は魚を海に残す努力をする動機をなくします。実際、例えばマクドナルドは欧米市場ではMSC認証の魚を使っているのに、日本市場では使っていません。

スーパーマーケット業界を育て、子どもたちの海と食卓に魚を残すことができるのは、私たち消費者です。その大きな力を使いましょう。やり方は簡単です。

 

子どもたちの海と食卓に魚を残すために、私たち消費者にできること。

  • 私たちは、海洋生態系と一緒に、漁業や魚食も次の世代に残していきたい。そのためには「魚を一切食べないこと」が解決策とは思いません。いま私たち消費者にできることは、価格、鮮度、安全性等に加えて、「絶滅危惧種や乱獲された魚は買わない」「十分な資源管理がされた魚を買う」等の項目を、ご自身の魚の選択基準に加えること。スーパーで魚を選ぶときに悩んだら、日本初の、持続可能性や環境負荷を考慮したお魚選びができる「グリーンお買い物ガイド・お魚編」を使ってお買い物をしてください。もちろん無料でダウンロードいただけます。
  • みなさんが普段使うスーパーや変わってほしいスーパーに、需要を伝え、企業の成長を応援してください。グリーンピースは大手スーパーや業界団体に「持続可能で安全な魚を売ってほしい」という「消費者の声」を届けるプロジェクトを展開中。今回イオンを変えた「消費者の声」の力をもっと大きなものにしていきましょう。ぜひご参加ください!