太平洋クロマグロ(本マグロ)がピンチ!シリーズ
残り4%!
太平洋クロマグロ漁、赤ちゃんの大量虐殺??
■ 「妊婦さんマグロ」も一網打尽
「養殖」表示に隠された真実
ルールを作ろうとしない韓国
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こんにちは。海洋生態系担当の花岡和佳男です。

寿司の主役、太平洋クロマグロ(本マグロ)も大ピンチです!

ニホンウナギが絶滅危惧種に指定されたことといい、なんで和食の代表格が次々と危機に直面していくの?

そこでブログシリーズ緊急企画!太平洋クロマグロについて、まずは一緒に問題点を知って、どのように子供たちに残していけるのか、その方法を見つけていきましょう。

第三回目の今日は、「妊婦さんマグロ」も一網打尽にされている問題についてです。

 

流線型をした太平洋クロマグロ、普段はすごいスピードで北太平洋をぐるりと回遊しています。そして、その旅の過程でお腹を卵でいっぱいにした若い親魚は、群れをなしてゆっくりと産卵場に向かいます。なんと、日本の南西諸島周辺や日本海は、このマグロの現在知られている唯一の産卵海域。なんだかすごいですね!

 

お腹に卵を抱えた「妊婦さんマグロ」も一網打尽に!

ところがこれについても大きな問題が起きてしまっています。この海域に集まる若い親魚の群れが、大きな網で次々と一網打尽にされているのです。

当たり前のことですが、卵が海で孵らなければ、海で魚が増えるはずがありませんよね。

こうやって卵を産む前のお母さんマグロや赤ちゃんマグロの大規模な乱獲が続けられてきた結果、いま太平洋クロマグロの数は初期資源の4%にまで落ちてしまいました。残りあと4%しかいないというのです!

 

なんで「妊婦さんマグロ」が大量に獲られるの?

初夏、大量の「妊婦さんマグロ」が鳥取県の堺港を中心に水揚げされています。漁港では、次々とこのマグロのお腹が割かれ卵が取り出されていきます。

このマグロ、エネルギーが卵に行っているので、食材として見ると身質が悪いと、築地のマグロ仲卸さん等は口を揃えます。それなのになぜこんなに獲られ続けてきたのでしょうか?せめて卵を海に産んた後の魚を獲ったり、もっと大きく成長したものを獲ればいいのに…。

 

その理由の一つは、身質ではなく「安い天然の国産の本マグロ」という肩書きでクロマグロを販売する量販店や回転寿司店などの調達にあります。「妊婦さんマグロ」はゆっくり群れで泳ぐので効率よく獲ることができるし、そもそも身質が悪いので、安価で調達することができるのです。

例えば国内スーパーマーケット業界最大手のイオンは、堺港で大量に水揚げされるこの「妊婦さんマグロ」の販売を続けてきました。イオンのような大規模な調達を行うところが買うわけですから、漁業会社も次々とこのマグロを獲り続けてきたのです。

 

 

「お客様」「消費者」である私たちにできること

スーパーや回転寿司店などは、このような情報を消費者に提供していません。私たち消費者は、知らないうちに太平洋クロマグロ激減に加担されられているのです。そんなの嫌ですよね。

スーパーは「お客様の声」にとても敏感で、一通の「お客様の声」に10から100の需要があると考え動きます。なので皆さん、ぜひ一緒にスーパーマーケットに「絶滅危惧種や乱獲された魚を売らないでください」「持続性が担保された魚を積極的に売ってください」などの声を届けましょう。その声を国内大手スーパー15社に届けるオンライン署名「おさかな貯金」に、ご参加ください!

 

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