こんにちは。海洋生態系担当の小松原です。

太平洋クロマグロが絶滅危惧種II類に指定されたことは、ニュースなどでも大きく取り上げられていますね。 グリーンピースは、適切な資源管理や持続可能な調達方針の導入を急がなければ、太平洋クロマグロを絶滅の危機から救うことはできないと訴えかけてきました。

行政も小売り等も少しずつ重い腰は上げ始めたものの、残念ながらそのペースは激減のペースに全く追いついていないもの。 絶滅危惧種指定は、とっても悲しいお知らせですが、太平洋クロマグロにとっては、これをきっかけに保護措置が大きく前進するきっかけになればと願うばかりです。

 

 

本当にマズいんです….

太平洋クロマグロの絶滅太平洋クロマグロだけでなく、今回更新されたIUCNレッドリストでは、評価対象となった76,199種のうち、なんと 22,413種もが絶滅の危機にあると発表されました (3分の1以上!)。

IUCN(国際自然保護連合)レッドリストの絶滅危惧種のカテゴリーは3段階あり、絶滅の危険性が高いものから順にIA類(絶滅寸前)、IB類(絶滅危惧)、II類(危急)に分類されます。 私たちに身近なものとしては、太平洋クロマグロの他に、アメリカウナギも今回、絶滅危惧IB類に指定されました。

ちなみに、おなじマグロの一種である、ミナミマグロ(インドマグロとも呼ばれています)はIA類(絶滅寸前)に指定されていますが、その資源量は太平洋クロマグロと同等程度なことを考えると、今回はII類への分類にとどまったものの、今なんとかしないと本当に絶滅しちゃいますよ、というわけです。

IUCNの専門家も、未成魚の漁獲量削減を含む管理措置を実施しない限り、太平洋クロマグロの資源改善は望めないとしており、これはグリーンピースも長らく訴えてきたことです。さらに、既存の海洋保護区では、本種の保護には不十分であるとし、200海里と繁殖地を含んだ海洋保護区の拡大が本種を保全し得ると述べています。 

12月1日からマグロ類の西部太平洋における国際管理機関である、WCPFCの第11回年次会合がサモアで開かれます。 そこでは、同機関の北小委員会で日本のリードにより同意された、太平洋クロマグロの30kg未満の漁獲量半減(2002₋2004年平均比)が採択される見込みです。 しかし、上記のことを考慮すると、この規制は小さな一歩に過ぎないことが分かりますね。

 

では、どうしたらいいのでしょう?

今日、私がどうしてもお伝えしたいのは、「国際機関による管理は必須」ですが、それだけに頼っていては手遅れになってしまうということです。太平洋クロマグロの一番の消費国は日本です。全世界で獲れる太平洋クロマグロの実に80%を消費しているんですね。つまり、「私には関係ないもん」とは言えないということ。

勘違いしないでほしいのですが、「一切れたりとも食べるな」と言っているわけではないのです。 急激に個体数が減ってしまった大きな原因のひとつに、高級魚だったはずの本マグロに安さを求めてしまったばかりに、未成魚を過剰に獲ってしまっていることが挙げられます。 確かに、美味しい本マグロが安く買えたら嬉しいですよね。 でも、今のまま続ければ近いうちに、誰も食べることができなくなってしまうかもしれません。

 

問題は非常に複雑ですが、まずはできることから始めてみませんか? 例えば、なるべく未成魚を買わない、成魚も晴れの日のご馳走にしか食べない、というのはいかがでしょう? 太平洋クロマグロは本マグロ、その未成魚はヨコワやメジと表記されたりします。 消費者が欲しがらないものは販売者は売りません。

では、もう一歩進んで、販売者にきちんとした調達方針を取り入れてもらうのはどうでしょう? 私たちグリーンピースは、本マグロだけでなく、全てのシーフードが持続可能な方法で調達された市場になることを目指し、まずは家庭で消費されるシーフードの約70%が流通するスーパーマーケットに働きかけています。 あなたの声をスーパーマーケットに届ける「おさかな貯金」に参加して下さい。あなたの力が必要です!⇒やってみよう

年末には毎年恒例のスーパーマーケットランキングをリリース予定。どのスーパーがより素敵なのか一目瞭然です!

 
参考記事
■IUCN: Global appetite for resources pushing new species to the brink – IUCN Red List
http://www.iucn.org/media/news_releases/?18621/Global-appetite-for-resources-pushing-new-species-to-the-brink--IUCN-Red-List