はじめまして。新しくグリーンピース・ジャパンの海洋生態系担当となりました吉野良子です。どうぞよろしくお願いいたします。

今日は、グリーンピース・インターナショナル事務局長 クミ・ナイドゥ(Kumi Naidoo)のブログをご紹介したいと思います(原文でご覧になりたい方はこちらをどうぞ)。

少し長いですが、マグロ漁が抱える問題がわかりやすくまとめられています。その上で、私たち一人一人の力は小さいかもしれないけど、小さな力が集まれば、大きな変化をもたらすことができる、ということを訴えています。ぜひ、あなたも私たちと一緒にチェンジメーカーになりませんか?

 

制御不能な太平洋マグロ漁

 

太平洋上で操業する無数の漁船は、マグロをできるだけ早く海から引き上げるべく昼夜分かたず作業をしています。

マグロ産業はまさに、グローバルで巨大なビジネスです。1年間で何千億円もの取引がなされ、何百万人もの人々がマグロを獲るために雇われ、さらに何百万人もの人たちが最低限の生活と生存を依存しているのです。

残念ながらこのビジネスのやり方はシステム全体を危機にさらしています。彼らは制御不能な状態に陥っています。過剰に漁獲したり、法律や国際協定を破り、沿岸小国の海を襲撃したりして、太平洋でさまざまな略奪を繰り広げています。

強制労働や不当な扱い、奴隷、人身売買といった人権侵害は、グローバルな水産業がもつ深刻な問題を露呈しています。同様のことが、その多くは無視されていますが、マグロ漁船でも見られます。

西洋のツナ缶市場向けにビンナガマグロを漁獲している延縄漁業は、さながら海に浮かぶブラック企業のよう。職に困っている若者を家族から引き離し、数年にもおよぶ契約で拘束します。もしも契約を早期解約しようものなら、借金を背負わせることまでします。

公海上で逃げる手段を持たない若い漁師たちは、まるで牢に囚われているかのよう。中西部太平洋の延縄漁船では、独立したオブザーバーが乗船し立ち会いのもと行われる漁業活動は、全体の1%に止まります。多くの漁師たちには救いを求める相手もなく、他に行き場所もありません。

先週グリーンピースは、不当な扱いや強制労働に関する太平洋マグロ漁船の映像を公開しました。マグロ漁師たちから聞いた暴力と搾取の話は悲痛なものです。

(※上の映像は、ビデオシリーズの一部です。英語ですが、ご紹介いたします)

この荒涼とした映像に加えて、多くの延縄漁業者たちは釣ったマグロを洋上で冷凍運搬船に積み替えます。そうすることで陸に戻る必要なく、漁船は遠洋を何年も航海を続けられるのです。

この洋上で漁獲した魚を運搬船に積み移す行為(洋上転載)は人権侵害と過剰漁業による環境破壊の隠れ蓑となっています。それは漁業のマネーロンダリングと 同様で、違法に漁獲された「汚れた」魚をサプライチェーンに紛れ込ませ、「クリーン」な魚と区別するのを不可能にします。

それはまた、太平洋諸国が陸上で魚を加工しパックする作業に伴う収入と、仕事の機会を失うことも意味しています。太平洋で操業する巻き網漁船に関してこの洋上転載は禁止されています。マグロ延縄漁船に対しても非合法化されるべきです。

人権侵害と環境破壊の代償を比較することはできませんが、ともに私利私欲により制御不能に陥った産業につき動かされています。一方の解決は、いずれをも解決することにつながります。

マグロもまたその他の多くの産業と同様に、タダ同然で労働力を使い、私達全員のものであるべき公海で魚を獲る、ごく限られた企業の利益のための巨大ビジネスによって支配されているのです。もし私達が今行動を起こさなければ、マグロの資源量をさらに悪化させ、海の自然を脅かす産業によって、漁師たちは搾取され続けることでしょう。

暗いニュースばかりではありません。クロマグロとメバチマグロの資源量は深刻な状態にありますが、ビンナガマグロとカツオは、もしも今日の漁業活動を変えられるなら、明日のために十分な量を確保できます。持続可能な方法で漁獲すれば、マグロは全世界で人々のお腹を満たし、雇用を生み出すことで、マグロが生存手段となっている沿岸部のコミュニティを保護することもできるのです。

これは不可能な展望ではありません。マグロを食べる人々が最も望まないことは、ツナサラダやマグロの刺身から強制労働や環境破壊の苦い味がすることです。それは、グリーンピースの活動のなかで、持続可能な方法で獲られたマグロを紹介するガイドが非常に人気のあることから分かります。人々の驚くような海や人間に対する破壊が、ツナ缶に入り込んでいます。

消費者として私たちは、変化を嫌がる大企業を正しい方向へと後押しすることができます。持続可能なマグロを選び購入することによって、私たちの海を破壊し、労働者を搾取することを支持するつもりはないと、産業界に伝えることができるのです。

誰にでもできるシンプルなアクションがあります。それは買い物の際、スーパーの棚で持続可能な方法で獲られたツナ缶にいつも手を伸ばすこと。そういった消費者が増えれば、漁業界に今こそ変化の時だというメッセージを送ることになります。

マグロ漁業はグローバルな水産業です。もし私たちがマグロ漁業を正しくできるなら、海を守るひとつのモデルを生み出すことができます。つまり、人々を養い雇用しながら地球の健康を守ることができるのです。

ちょうど今、グリーンピースの調査船「虹の戦士号」が太平洋上を航海しています。乗組員たちはブラックなマグロ産業に光を当てるべく奮闘しています。陸で暮らす私たちにも、この産業に変化をもたらすためのアクションができるはずです。

次にスーパーマーケットや寿司屋に行った時は、あなたのお財布が持つ力を使ってください。地球上のどこにも、そして私たちのお弁当箱のどこにも、海を破壊し人権を侵害するための場所はないと、マグロ産業に伝えることを考えてみてください。

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現在、グリーンピース・ジャパンでは、産卵期のマグロを守る活動の一環としてSave My Babyキャンペーンを展開しています。お母さんマグロを守りたいという気持ちをお客様の声としてスーパーマーケットに届けてみませんか。以下のバナーからご参加いただけます。

このような活動をすることができるのも、個人のみなさんのご寄附のおかげです。1日も早く持続可能な漁業で海も人もハッピーな日本に変えていくために、一人でも多くの方のお力が必要です。

ぜひご寄附でも、この活動を応援してください。