こんにちは。エネルギーチームの鈴木かずえです。

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4月25日、九州、関西の市民団体*とともに、原子力規制庁への質問をしました。佐賀、鹿児島、京都、大阪などから主催の脱原発グループの仲間がかけつけたほか、呼びかけを見てくれた市民など50人が集まりました。

そして、聞きました。

なぜ、川内原発を止めないの? と。

原子力規制庁のお答えは、「川内原発で想定されている最大の揺れを大きく下回っている。止める必要はない」というもの。

しかし、今回のような揺れが繰り返されるものについて「想定」されていないのではないか、というのが私たちの問題意識でした。

というのも、4月18日の原子力規制委員長の記者会見で原子力規制庁の小林勝さんが、繰り返し来る揺れについて考えているのかと聞かれて、「その辺十分評価していくということでございます」と未来形で答えていたからです。つまり、現状では考えてしていない。

ここで言う揺れについて「評価」とは、繰り返し揺れても、安全が確保されているかどうかをデータできちんと検討する、ということだと思うのですが、それなら、いったん、止めて、検討すべきではないかと思うのです。

繰り返しの揺れは想定外 いったん止めて点検を

しかし、この日の市民への説明で原子力規制庁の中桐さんは、「評価をしていない(考えていない)」とは認めませんでした。

「耐震設計の考え方としては、重要な機器に対し、弾性設計範囲に収まることを確認している。何度揺れても元に戻る」との説明を繰り返すのみでした。

弾性設計範囲に収まるとは、揺れても元に戻る範囲であるということです。

設計上、そのように設計されていることはわかります。

しかし、私たちが聞いているのは、実際、重要な機器一つ一つだけでなく、プラント全体が安全なのか、繰り返し地震で揺れているが、今、大丈夫なのか、を考えているのか、ということです。

記者会見での原子力規制庁の発言を見れば、考えていないことは明らかです。

しかし、そのことすら、認めないのです。

  

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老朽化川内原発、揺れに耐えられる?

また、この件で、もう一つ大きな懸念点は、「老朽化」です。

川内原発1号機は1984年、2号機は1985年運転開始の30年超の老朽原発。

弾性範囲に収まっている=揺れがあっても大丈夫、という設計になっていても、機器の素材は40年という長い年月で老朽化し、疲労してきます。疲労しているところに揺れが繰り返しくる、それでも大丈夫なのか。

これに対し、原子力規制庁の関さんは「疲労亀裂(疲労してヒビなどがはいるなど)の有無については検査プログラムがある」と回答します。

しかし、関西で原発を止める活動をしている「美浜の会」の小山さんが「検査しているのは溶接部だけでしょう」と質すと、原子力規制庁の関さんは「溶接部とその近傍です」と認めます。つまり、検査など一部しかできていません。

「美浜の会」の小山さんは、玄海原発の配管に、厚みの80%以上のヒビが入っていたことを話されました(あとで小山さんに教えていただいた資料)。

今、大事なのは、わからないことはわからないと認め、安全を守る側に立って、まず原発を止め、検査をすることではないでしょうか。

予防の観点からも原発の停止を

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 (図:http://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0043/6078/data_02.pdf)

 

また、熊本地震では地震の活動域が拡大・移動しています。

南西には九州電力の川内原発、北東には四国電力の伊方原発があります。

「予防措置」として停止するという考え方もあります。

すでに全国的に大きな声となっており、国会でも議論されています。

脱原発訴訟に取り組んでいる弁護士でつくっている脱原発弁護団全国連絡会は、4月19日「突然の震災で大変な苦境にある被災者に対して、原発事故による放射能の追い打ちをかけるようなことは、万が一にもあってはならない」として、「自然からの警告を謙虚に受け止め、川内原発を停止し、伊方原発の再稼働を認めないことを求める声明」を発表、原子力規制委員会、九州電力、四国電力に申し入れを行っています。

グリーンピースでも、地元の方の声を伺いながら、やはり、川内原発は止めるべきだと原子力規制委員会に要請しています。

冒頭、熊本の方のメッセージが紹介されました。

 「今、熊本の人は原発が怖い。しかし、反原発運動はできません。どうぞ、まわりから声をあげてください」

わたしも、声をあげます。


 

*主催団体:川内原発30キロ圏住民ネットワーク/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/グリーン・アクション/美浜の会/FoE Japan/福島老朽原発を考える会/原子力規制を監視する市民の会/グリーンピース・ジャパン

原子力規制を監視する市民の会による速報もご参照ください。


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