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グリーンピース・ジャパン、Ocean Lovers沖縄プロジェクトリーダーの石井祐介です。

いま、辺野古で起きていること。

少しずつですが、全国紙やテレビでも扱われているな、と感じます。

「どうやら基地がつくられようとしている」

「住民や沖縄の人が反対している」

「知事が国にうったえられているらしい…」

まだまだ報道が少ないなか、このようなざっくりしたイメージの方も多いのではないでしょうか。

実は明日、大きなニュースがあります。

国が沖縄県の翁長知事を訴えたことに始まる裁判の結論となる判決が、明日午後2時ごろに言い渡される予定なのです。

国が勝てば、いま一時中断されている辺野古の埋め立て工事計画が前に進む。沖縄県が勝てば、工事再開はさらに先延ばしになる。

これからの辺野古を大きく左右する、判決となります。

というわけで、判決が出る明日を前に知っておきたい、「結局のところ、辺野古では何が起きているのか?」です。

翁長知事、国に訴えられる

写真:2015年沖縄県民大会での翁長知事 (C)Kayo Sawaguchi/Greenpeace

「このような違法な国の関与により、すべてが国の意向で決められるようになれば、地方自治は死ぬ。地方自治と民主主義の根幹が問われている裁判だ」

これは、翁長知事の、先月8月初旬に行われた、第一回口頭弁論のときのことば。

この裁判は、国が、翁長知事の辺野古大浦湾の埋め立て承認取り消しは違法だ、と訴えた裁判です。

一方、知事側は、前知事の埋め立て承認は「埋め立ての必要性」が立証されていないことに加え、環境影響評価がずさんであるなど、重大な法的欠陥があるため取り消したことを主張しています。

翁長知事のいう「このような違法な国の関与」とは、埋め立てを承認しない知事の意向と権限を無視して、辺野古での基地建設が強行されようとしていることを意味しています。 

まさに泥沼…裁判合戦の結論

翁長知事が埋め立て承認を取り消したことをめぐって、2015年11月に国が沖縄県を訴えたことを機に、国と沖縄県は、3つの訴訟で争っていました。

訴え合いの、泥沼状態。それがいったん、今年の3月に、和解します。

和解とは、

・裁判を一本化して、その判決に国も県もしたがう

・それまで、工事は一旦中止する

という内容でした。

明日16日にでる判決は、この一本化された裁判の第一審の判決ということになります。 

いま辺野古大浦湾では、工事のためのボーリング調査の段階で、工事が中断しています。

もし国が勝訴して、埋め立てが承認されることになれば、「普天間基地の恒久化を防ぐ」という名目のもと、急ピッチで工事が進められることになるかもしれません。

写真:2015年11月。基地建設予定地を示す赤いブイも現在は撤去されています。

辺野古が「唯一の道」なのか?

「辺野古移設に反対している人は、普天間で暮らす人々を苦しめ続けていいと思っているの?

という人がいます。

写真:宜野湾市普天間の住宅地。奥に見える芝生のあたりは普天間飛行場。 

でも、それは違うんじゃないか、と私はと思います。

そういった意見を聞くたびに感じるのが、問題がすり替えられてしまっているということです。

辺野古は軍事力増強のための「新基地」 

辺野古への基地建設は、「普天間の移設」と言われることが多いですが、米軍の軍事力増強のための「新基地建設」であるという専門家の見解があることをご存知でしょうか?

辺野古の基地には、滑走路が建設されるだけではないと指摘があります。 

米軍関連資料からは、護岸強化という名目で、オスプレイの離発着ができる巨大な軍艦(強襲揚陸艦)が停泊できる軍港をつくろうとしているのではないか、と考えられる資料が見つかっています。

もともと辺野古にあるキャンプ・シュワブは、海兵隊が駐留し、弾薬庫がありましたが、この指摘の通りであれば、滑走路だけでなく、さらに軍港の機能が追加されます。つまり、辺野古1つで陸・海・空の出撃体制が整う、ということになります。

この見解について、2015年3月17日放送の『報道ステーション』(テレビ朝日)「辺野古移設の裏で…米軍強化の巨大構想に迫る」特集で詳しく説明されました。

自然豊かな暮らしを守りたいだけ

日本政府はこのような指摘を認めず、「辺野古”移設”が、普天間問題の唯一の解決策」と強調します。

みんなが、安全で、自然豊かな沖縄での暮らしを守りたいだけなのに、「普天間か、辺野古か」と対立しなければいけないことほど、悲しいことはありません。

辺野古・大浦湾は、美しい海です。

ジュゴンやウミガメ、5300種のさまざまな生き物のすみかで、子どもたちや釣り人の遊び場で、訪れる人々の癒しで、辺野古の人々の日常です。

一度埋め立ててしまえば、大浦湾の美しい海は、二度と戻ってきません。

辺野古では、12年以上、反対活動を続けています。基地建設反対の座り込みは、もう800日を超えました。

この海を、軍事基地で埋め立てたくはない。辺野古の人々はみんな、その一心で、今日も声を上げているんじゃないでしょうか。

少なくとも、私が辺野古で出会ったみなさんは、そうおっしゃいました。


1960年代、キャンプ・シュワブに駐留していた経験を持つ元軍人で、米国の平和団体「平和を求める退役軍人の会」(VFP)のメンバーでもあるKennethさんはこう言っています。

「キャンプ・シュワブから、大浦湾の海が見えます。本当に美しいのです。この海を埋めてて米軍基地ができると知って、ぞっとしました」

美しい海を、守りたい。

しがらみもあると思います。立場もあると思います。でも、「美しい海を守りたい」。そこだけは、きっとみんな同じ思いなんじゃないかと思います。

だから、私は、別の道に希望を託して、「辺野古・大浦湾を守って」と言います。

たくさんの人の希望から、別の道が見えてくると信じています。あなたも、一緒に別の道をつくってください

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