みなさん、こんにちは。

ついに12月1日からヨーロッパで3種類のネオニコチノイド系農薬の使用規制が始まりました。


今回の規制は、ネオニコチノイドが農作物の受粉を助けるミツバチに対して有害性があると明らかになったことから、今年5月に欧州委員会が決定したもので、在庫農薬の使用は11月30日まで許されていましたが、12月1日から規制が実施されました。

■EUの規制対象

2013年12月1日から、EUにおいてネオニコチノイド農薬3種(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)について次のような使用が禁止されました。

● ミツバチの来る作物(大豆、ナタネ、トウモロコシ)と穀物は使用禁止
- 種子処理
- 土壌への散粒
- 葉面散布(冬穀物を除く)
● 上記以外の用途も、農業者以外は使用禁止これらの農薬で処理をした種子の販売も禁止

一方、下記の条件での使用は例外として認められています。

● 温室の中であればミツバチの来る作物への使用可能
● 開花時期以外は圃場での葉面散布の使用可能

これらの規制は、受粉を支えるミツバチへの有害性に対応したという点で重要な一歩ですが、環境や農業の持続性という観点からは課題が残るところもあります。

欧州委員会は今後2年以内にこれらの農薬に関する新たな科学情報の見直しを開始し、それに基づいて禁止を取りやめるか、暫定的継続するか、それとも恒久的に禁止とするかを決定していきます。


■世界の基準とは逆行していく日本

 ヨーロッパでは被害拡大を防止するために、予防原則に基づいて今夏の措置がとられました。ヨーロッパの規制と比べて日本は、全く遅れています。ネオニコチノイド系農薬を大量に使用しており、農作物へのネオニコチノイドの使用規制がまったくありません。それどころか厚生労働省は、来年2月にもネオニコチノイド農産物へ残留基準を引き上げようとさえしています。


グリーンピースは、毒性が問題視されながらなお農薬の大量使用が続く原因のひとつに、一握りの多国籍企業の影響力が、食糧の生産を種子や農地から流通、食卓にまで及び、生産者と消費者が分断されている現状があると考えています。そして日本政府に対してネオニコチノイド系農薬の残留基準の引き上げをただちに凍結することを求めています。


・詳しくは本日発表した資料をご覧ください↓。
>>2013年12月6日発表「EUで開始されたネオニコチノイド系農薬の規制に関して」 

 

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<ネオニコチノイド系農薬について過去の記事はこちらです>
「日本は農薬大国!?  農薬を使う理由は?」 (2013年11月22日)

「残留農薬が現在の2000倍に?! パブコメ」(2013年11月1日)

「ヨーロッパのハチに朗報!「ハチ大量死」農薬の追加規制が決まる」(2013年7月17日)

「ハチ大量死の原因はネオニコチノイド系農薬―住友化学は否定するけれど…」 (2013年6月19日)