こんにちは、海洋生態系を担当しています、花岡和佳男です。

皆さん、海から魚が次々と消えていってしまっていること、ご存知ですか?新聞やテレビなどでは「マグロが食べられなくなる?」「ウナギもいなくなる?」「ハマグリが絶滅危惧に指定」などの話題も報道されてはいますが、その一方で普段食材を買うスーパーでは年中豊富な魚介類が当たり前のように商品棚を覆い尽くしていますし、回転寿司チェーン店でもバラエティー豊かなお寿司が注文したらすぐに運ばれてくる状態。これでは海から魚が消えていっていることなんて、なかなか実感がわかないですよね。

でも実は逆で、同じような種類の魚がどのお店に行ってもいつでも売られていることこそが、海から魚が消えていることの表れです。海の中を泳いでいた魚が次々と陸の上に運ばれているため、海の中にこれまであったストックが底をつきそうだということです。

年中いつも同じような種類の魚を同じ値段で大量に調達したいお店の需要に応えようと、海で魚を獲る船は次々と漁獲能力を上げ、一つの海域で魚を獲り尽くすと次の海域に移動してまた同じ行為を繰り返す…という焼畑的な漁業を世界中の海で行なっています。FAO(国際連合食糧農業機関)は、世界の海洋漁業資源の約32%は乱獲状態にあり、約53%は持続的生産を超えた開発が進んでいるとしています。もう合わせて85%がピンチな状態です。

 

台湾で「Overfishing Starts Here(過剰漁業はここから始まる)」

中でも注目すべきはマグロ・カツオ類で、その世界需要の約60%が獲られている西部・中部太平洋に最も多くの漁船を送り出しているのが、お隣の台湾です。台湾は国際的漁業管理に従わないことがこれまでも度々問題視されていますが、いまでも減船をするどころか、次々と大型漁船を新造しています。グリーンピースは今朝、 台湾最大の造船所で「Overfishing Starts Here(過剰漁業はここから始まる)」と書かれた巨大バナーを掲げ、台湾政府に対して大型漁船の新造を中止し、乱獲をやめ、科学的勧告に従うよう求めました。

 

海の向こうの話ではない。台湾マグロの消費地は日本。

「台湾ね…海を越えた先での話でしょ」。残念ながらそんなことはありません。台湾は日本にとって最大のマグロ輸入元で、約1,600隻もの台湾はえ縄漁船によって獲られたマグロは、そのほとんどが日本で寿司や刺身として消費されています。私たちが普段スーパーで買ったり回転寿司店で食べたりする魚は、果たしてきちんと管理をされた持続可能な漁業によって獲られたものなのでしょうか。それとも規制の網を潜り抜けてきた”乱獲モノ”なのでしょうか。もちろんスーパーで売られる鮮魚商品のラベルや回転寿司のメニューなどに、そんな情報は書かれてありません。

消費者として、それを見分ける術が欲しいと思いませんか?知らないうちに消費を通じて乱獲に加担してしまわないように、十分な情報を基に魚を安心して選択購入したいと思いませんか?グリーンピースはいま、日本の大手スーパーや回転寿司チェーンに対して、十分な情報を消費者に提供するために、魚介類のトレーサビリティーを作るよう求めています。トレーサビリティーとは、お店で売られている魚が、いつどこで誰がとったものなのか、どのような流通経路にのってきたものなのか、その履歴を遡ることができるシステムで、既に牛肉では確立されているものです。

自社が販売している魚介類について各社はどれほど把握している?

私たちはその活動の一環として、小さなお子様をお持ちの消費者が中心となる「ママうみ実行委員会」のメンバーと共に、大手スーパーや回転寿司チェーンがトレーサビリティーや食品の放射能汚染問題などについてどのような取り組みをしているのかを問合せ、その回答リストを発表しています。自社が販売している魚介類がいつどこの海で誰によって獲られたものなのか、各社はいったいどれほど把握しているのでしょうか。みなさん、ぜひリストを見てお買い物や外食の参考にしてください。

大手スーパーや回転寿司チェーンなど各社の取り組み:詳しくはこちら

 

お客様の要望が、スーパーや回転寿司店を動かす!

そしてみなさんも、次の世代に安全でおいしい豊富な魚介類を残せるように、普段利用するスーパーや回転寿司チェーンに問い合わせをしてみませんか?要望を出してみませんか?お客様からの声で企業は動きます。「ママうみ実行委員会」メンバー募集中です。

「ママうみ実行委員会」メンバー募集中:詳しくはこちら