2014/2/3 ネオニコチノイド系農薬の残留基準値の規制緩和の即時凍結を求め ――NGO5団体と厚生労働省に申し入れ

プレスリリース - 2014-02-03
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは3日、ミツバチなどへの悪影響が懸念されているネオニコチノイド系農薬クロチアニジンの使用について適用拡大・残留基準の緩和しようとしている厚生労働省に対し、NGO団体(ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議、ネオニコチノイド系農薬中止を求めるネットワーク、反農薬東京グループ、日本有機農業研究会)と共に、残留基準の引き上げの即時凍結を求め、要請書を提出し、申し入れを行いました。(注1)

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは3日、ミツバチなどへの悪影響が懸念されているネオニコチノイド系農薬クロチアニジンの使用について適用拡大・残留基準の緩和しようとしている厚生労働省に対し、NGO団体(ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議、反農薬東京グループ、日本有機農業研究会、ネオニコチノイド系農薬中止を求めるネットワーク)と共に、残留基準の引き上げの即時凍結を求め、要請書を提出し、申し入れを行いました。(注1)

2013年10月から11月に実施されたパブリックコメントでも、異例の1000件を超える意見が寄せられ、また、グリーンピース・ジャパンのウェブサイトで展開している基準緩和に反対するオンライン署名(注3)も開始からおよそ2週間で8164筆(2月3日午前8時現在)を超えるなど消費者の関心は今までになく高まっています。グリーンピースでも急きょ2月13日まで延期して集めることを決定しました。

今回の規制緩和の対象となっているネオニコチノイド系農薬クロチアニジンは、欧州では、2013年12月から暫定的な使用禁止が始まった農薬です。また同月17日には欧州食品安全機関(EFSA)が一部のネオニコチノイド系農薬に子どもの脳や神経などへの発達神経毒性があるとの科学的見解を発表しました。(注2)

交渉では、残留基準引き上げと適用拡大の理由として、厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課の担当者は、「メーカー側から農水省に引き上げの申請が来て、農水省からの基準値の再設定依頼と残留データに元づき科学的に検討している。基準はADI(一日許容摂取量)の80%を超えないことを確認して設定する」と答えています。

さらに担当者は、現行の引き上げ基準案だと、体重約16kgの子どもが、ホウレンソウ40グラム食べたら急性中毒を起こす可能性もあることについて、「認識はある」と答えたものの、科学的知見に基づき精査するとの答えにとどまり、農薬メーカーの申請によって基準緩和が検討され、子どもや消費者は一方的に残留農薬の摂取の増加を強いられる実態があきらかになりました。

グリーンピース・ジャパンの食と農業問題を担当する関根彩子は、「そもそも農薬使用を増やすことの是非を問うことなく基準引き上げが検討されるというしくみ自体に問題があります。子どもや妊婦が危険にさらされることのないよう、十分な検討を行うまで、基準の改定は凍結すべきです」と訴えました。

厚生労働省の基準引き上げの検討根拠の基礎となっている食品安全委員会の農薬評価書では、発達神経毒性の評価は、農薬メーカーから提出された2000年付けの未公表の論文1本を引用するのみで、信頼性、透明性に疑問があります。「厚生労働省は安易な基準引き上げをやめ、最近の研究結果を視野に入れた毒性評価とADIの見直し、ARfD(急性参照用量)の設定をまず行うべきです」と、規制緩和の即時凍結を訴えました。

グリーンピースは毒性の高い農薬の使用中止を呼び掛けるとともに、有機農業への転換を訴えています。


注1) 要請書 (2014年2月3日提出)
注2) EFSA assesses potential link between two neonicotinoids and developmental  neurotoxicity
Press Release 17 December 2013    http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/131217.htm
注3) オンライン署名「ネオニコチノイド系農薬の基準緩和に反対します」(2014年1月17日開始)

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国際環境NGO グリーンピース・ジャパン

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