2014/11/26 ブリーフィングペーパー『司法判断への期待:川内原発再稼働をめぐる2つの訴訟』発表 ~命と環境を守る判決を、11/28川内原発再稼働差止仮処分 第4回審尋開催予定~

プレスリリース - 2014-11-26
国際環境NGOグリーンピースは、本日26日、九州電力の川内原発(鹿児島県)1,2号機の再稼働差止仮処分裁判の第4回目の審尋が11月28日に開催されることを受けて、ブリーフィングペーパー『司法判断への期待:川内原発再稼働をめぐる2つの訴訟』を発表しました(注1)。

川内原発の再稼働をめぐっては、2012年5月に「原発なくそう!九州川内訴訟原告団」(注2)が操業差止を求めて国と九州電力を相手に鹿児島地方裁判所に提訴しましたが、結論が出ないまま再稼働手続きが進んでいるため、2014年5月に原告らの一部が、迅速な判断を求めて再稼働差止仮処分の裁判を起こしています。

グリーンピース・ジャパン核/エネルギー担当の鈴木かずえは、「住民の不安の声を無視した鹿児島県知事の再稼働合意は、民主主義を踏みにじる暴挙です。いま、市民は、真実と論理によって判断される裁判に大きな期待を寄せています。県や国が放棄し続けてきた『命を守る』責務を、司法には果たしてほしい」と述べました。 

本ブリーフィングペーパーは、「川内原発操業差止」と「川内原発再稼働差止仮処分」それぞれの裁判の経緯、訴えのポイント、日程、期待などを示すもので、ジャーナリストのまさのあつこ氏にグリーンピースが委託して作成しました。両裁判の訴えの対象、主体、ポイントは下記の通りです。

 

誰に対しての訴訟か

訴えの主体

訴えのポイント

川内原発操業差止訴訟

被告:九電・国

原告:日本国内に居住する住民

原発事故の被害の甚大性、危険性、原発の反公共性と反倫理性および必要性

川内原発再稼働差止仮処分

債務者:九電

債権者:川内原発操業差止訴訟原告

基準地震動評価の欠陥、避難計画の不備、巨大噴火のリスク


11月28日の審尋は最終回と見込まれていますが、これまで3回にわたる審尋において、活断層など地震の問題、火砕流など火山の問題、そして住民が安全に避難できるかどうかなどについて、原告側と九州電力との間で議論が行われてきました。これらの問題点は、10月に開催された住民説明会でも住民から提起されましたが十分な説明のないまま、11月7日に鹿児島県の伊藤裕一郎知事は川内原発の再稼働への合意を発表しています。 

なお、本日、グリーンピースは、鹿児島の市民団体を含む全国のNGO(合計57団体)と「川内原発差し止め仮処分裁判に期待する」声明を共同で発表しています(注3)。

注1) ブリーフィングペーパー『司法判断への期待:川内原発再稼働をめぐる2つの訴訟』
まさのあつこ氏略歴:河川、環境、住民参加、東京電力福島第一原発事故などを切り口に取材するジャーナリスト2011年東京工業大学大学院総合理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。専門は河川行政、公衆参加、情報公開。著書に『四大公害病—水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市公害』(中公公論新社、2013年)など。
注2) 原告団の団長は森永明子氏、弁護団長は森雅美弁護士、事務局長は白鳥努弁護士。
注3) NGO57団体による共同声明


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国際環境NGOグリーンピース

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