2015/3/20 農林水産省に署名9,235筆を提出--ネオニコチノイド系農薬の使用禁止と食品残留基準規制緩和の取消し求め

プレスリリース - 2015-03-20
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは20日、農林水産省がネオニコチノイド系農薬クロチアニジンの食品中における残留基準の更なる緩和を検討している事に対して、即時取消しと更なる農薬使用の禁止を求める署名9,235筆を集め、林芳正農林水産大臣宛てに提出しました。

ミツバチなど生態系への悪影響をはじめ、子どもの脳への影響が懸念されているクロチアニジンの残留基準の緩和を検討している事から、グリーンピースのウェブサイトで2014年10月1日から2015年3月15日まで署名を集め、9,235筆が集まりました。農林水産省で消費安全局農産安全管理課農薬対策室長に署名を手渡しました。

署名を受け取った室長は、「ネオニコチノイドの使用制限については、現在調査中であるミツバチ農薬事故の結果をみて考えていきたい」としたものの、「今の段階では使用制限をすることは考えておらず、当面の対策としては、散布する農家と養蜂家の間でミツバチの農薬への暴露を避けるように連携することだ」と述べました。EUのように環境への影響が問題視されている農薬の暫定的取り消しは法律上できるかという質問に対し、「法律上は存在しないが、存在しないから行わないというわけではない。」と回答しました。

署名を提出したグリーンピース・ジャパンで食と農業問題を担当している関根彩子は、「基準緩和を推し進めようとする農林水産省の姿勢は、健康への被害や生態系への影響を懸念する市民の声を無視し、農薬メーカーの利益を偏重していると言わざるを得ません。規制緩和が進むことでリスクが拡大するのは消費者です。グリーンピースに集まった9,235筆の消費者による署名やメッセージを農林水産省は重く受け止めるべきです。」と述べました。

また、「世界をみれば、EUや韓国や米国(シアトル市、ハワイ州、アイダホ州、オレゴン州、ワシントン州)などでミツバチや生物多様性保護の観点からネオニコチノイド系農薬の使用や登録の制限が始まっており、日本が世界の流れに逆行していることは明らかです。ネオニコチノイドを始めとする農薬によりミツバチに被害が起きていることはすでに農林水産省の昨年までの調査で認められています。予防原則にもとづき、暫定的な取り消しなどの措置も視野にいれ、一刻も早く使用の制限を実施するべきです。」と訴えました。

グリーンピースは来月4月にも、ネオニコチノイド系農薬からミツバチと子どもの健康を守る趣旨の署名を開始し、学校給食などへの有機食材の導入を促すなどより有機農業の推進を訴え続けていきます。

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国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

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