プレスリリース - 2015-10-15
国際環境NGOグリーンピースは本日10月15日、米軍新基地移設先の沖縄県名護市辺野古の海域に、グリーンピースの船「虹の戦士号」(オランダ船籍、855トン)を11月上旬に派遣し、海洋環境調査や地元市民団体へ賛同を示す活動を展開することを発表しました。今回の派遣は、地元の市民団体や議員から招へいを受け、それに応じるものです。「虹の戦士号」は現在韓国沖を航行中です。グリーンピースは2005年、2007年にも名護市辺野古沖へ船を派遣しており、今回が3度目の訪問です。
グリーンピース・ジャパン海洋生態系担当の小松原和恵は「沖縄県知事の埋め立て承認取り消しに対し、政府が不服審査請求を申し立てることで承認取り消しを無効にしようとすることや、埋め立てに関して適切な環境アセスメントが行われていないことなど、同基地建設のプロセスは明らかに非民主主義的です。ジュゴンやウミガメを含む絶滅危惧種262種のすみかでもある辺野古・大浦湾は、基地ではなく、海洋保護区として未来に残すことを強く求めます」と訴えました。
沖縄・生物多様性市民ネットワークの吉川秀樹共同代表は、グリーンピースの船を招へいしたことに関して、「2005年、2007年と辺野古にグリーンピースの船がきたとき、基地建設に対して抗議を行ってきた地元の私たちは、非常に勇気付けられました。地元沖縄の圧倒的な基地建設反対の民意がある中、基地建設を強行する政府には憤りを感じます。今回も『虹の戦士号』の訪問が、埋め立てに反対する人々への声援となり、地元の民意を国内外に伝えるきっかけになればと思います」と述べました。
グリーンピースは、世界の海の40%を海洋保護区に制定することで、多様なすべての生物の命を育み続けることのできる豊饒の海を守り、将来世代にまで繋げることを目標の一つとしています。
グリーンピースの船「虹の戦士号」について
北米先住民族の伝説「虹の戦士」
「いまに、地球は病み、海は黒ずみ、川の水は毒となり、動物たち植物も姿を消しはじめるとき、まさにそのとき、人々を救うために世界中から虹の戦士が現れる」
この北米先住民族の伝説にちなんで名付けられたグリーンピースの船、「虹の戦士号(Rainbow Warrior)」は、環境保護を願う世界中の人々に支えられ、一般の人が近づくことが難しい環境破壊の現場へも赴いてその現状を世界へ発信するという、グリーンピースの活動の中で重要な役割を果たしている船です。現在の「虹の戦士号」は3代目として、2011年より運転を開始しました。
2015年は、「虹の戦士号爆破事件」(1985年7月10日)から30周年という特別な年です。フランス政府は、フランスの核実験への抗議活動に向かうためニュージーランドのオークランド港に停泊していた「虹の戦士号」を阻止するため工作員を送り込み、「虹の戦士号」を爆破・沈没させました。フランスの当時のファビウス首相がテレビに出演し、「フランスの諜報機関DGSE(対外治安総局)がやった。彼らは命令に従っていた」と発表して世界を驚かせ、国防大臣の辞任にまで発展しました。
その後もフランスの核実験に対し、グリーンピースは抗議活動を継続。
1989年に新たに2代目虹の戦士号を就航させ、1995年に再び平和船団を組み、南太平洋での反対行動に参加します。この航海によって世界中へと広まった実験に反対する人々の声は、翌年のフランスの核実験停止へとつながりました。
そして30年後の2015年9月6日、機雷を取り付けたフランス情報機関の元工作員が、仏ネット新聞「メディアパート(Mediapart)」に掲載されたインタビューで初めて謝罪しました。
[船の基本情報]
船名:虹の戦士号
船籍:オランダ、アムステルダム
全長:57.92メートル
重さ:855トン
乗船可能人数:30名
参考資料(日本語) URL: www.greenpeace.org/japan/ja/info/ships/
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国際環境NGOグリーンピース・ジャパン