2017/11/22 ノルウェーの新たな石油採掘権をめぐる、歴史的な気候変動裁判が終了

プレスリリース - 2017-11-22
国際環境NGOグリーンピース・ノルディックら3つの環境保護団体が、ノルウェー政府に対して北極圏での油田採掘権の許可をめぐって起こした裁判(注1)は、11月22日(ノルウェー現地時間)に最終日を迎えました。本裁判は、北極圏における新たな石油採掘がノルウェー憲法とパリ協定に違反していることを訴えたものです。原告側が勝訴すれば、今後世界各地で起こりうる気候変動をめぐる裁判の先行事例となります。評決は4~12週間の内に下される見込みです。

世界中で50万以上もの人たちが、オンライン署名「石油よりいのちを選ぼう」(注2)を通して北極圏での石油採掘に反対の意思を表明し、ノルウェー政府に対して北極圏での新たな石油採掘権の許可を取り下げるように求めています。日本からは2297筆が集まりました。今回の裁判費用をサポートするため、これまでに2500人のノルウェー国民がクラウドファンディングに参加し、被告側の裁判費用の半分近くを補える額に達しています。

グリーンピース・ノルウェーの担当者、Truls Gulowsenは「ノルウェー憲法は、健康的な環境を享受する国民の権利を認めています。今回の裁判に私たちが勝訴し、北極圏における新たな石油採掘権の許可が無効とされれば、何百万バレルもの石油を地中に留めておくことができます。今回の裁判で私たちは、新たな油田開発がノルウェー憲法とパリ協定の双方に違反することを明確にできたと確信しています。同時に、この油田開発への投資は実際にノルウェーに莫大な額の損失をもたらす危険性があることも示しました」と話しました。

法廷において、グリーンピース、ネイチャーアンドユース、そしてグランドペアレンツ気候キャンペーンの3団体は、ノルウェー政府は同国憲法112条が保障する将来の世代が健康で安全な環境を享受する権利を侵害していると訴えました。この権利に関する憲法の条項に照らした合憲性が法廷で審議されるのは、今回が初となります。全世界でおよそ90カ国が健康的な環境を享受する権利を保障する憲法を保有しています。市民が政府をより責任ある行動を促すような評決となるかどうか、世界が注視しています。

今回のオスロでの気候変動裁判の第1週目には、世界最大の政府系ファンドであるノルウェー石油基金とノルウェー中央銀行が、国家資産の損失リスクを軽減するために、石油とガスへの投資から、350億米ドル以上を引き上げる許可を政府に要請しました(注3)。今回の評決の影響を受けるのは、バレンツ海の新たな石油採掘権を付与された以下の13の石油会社です。

スタトイル(ノルウェー)、カプリコン、タロー、セントリカ(英国)、シェブロンとコノコフィリップス(米国)、DEA(ドイツ)、エイカーBP(ノルウェー)、出光興産(日本)、ルクオイル(ロシア)、ルンディン・ペトロリウム(スウェーデン)、OMV(オーストリア)、PGNiG(ノルウェー/ポーランド)
関連動画と写真はこちらからダウンロードできます。 http://act.gp/2hviZp6

注1)気候変動裁判の背景についてのブリーフィング資料(英語)
   オスロ地方裁判所に提出した令状(英語): 
注2)オンライン署名「石油よりいのちを選ぼう」
注3)ノルウェー中央銀行ウェブサイト関連資料 

トピックス