2018/10/10 グリーンピース声明:IPCC特別報告書は、眼前の厳しい選択肢とともに、希望を持って行動することの根拠を提示

プレスリリース - 2018-10-10
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、10月8日、地球温暖化を防ぐために、私たちがすぐに取り掛かる必要がある非常に大きな喫緊の課題と、それを達成するための明確で詳細な計画書であるIPCC特別報告書を発表しました。それを受けて、国際環境NGOグリーンピースは、以下の声明を発表しました。
IPCCの記者会見会場となった建物で、会見当日に掲げられたバナー(2018年10月8日韓国・仁川)
IPCCの記者会見会場となった建物で、会見当日に掲げられたバナー(2018年10月8日韓国・仁川)

本報告書によれば、世界の平均気温を産業革命前と比べて1.5度未満に抑えるためには、2030年までに世界のCO2排出量を半分にして、遅くとも今世紀半ばには2010年比でゼロにまで下げる必要があります。地球温暖化は現在のスピードで進めば、2030年から2052年の間に1.5度を超えることが予想され、排出削減の緊急性が再確認されています。

1.5度未満に抑える目標を達成するためには、2030年までに石炭消費量の少なくとも3分の2を削減し、2050年までに石炭火力発電をほぼゼロにする必要があります。自然エネルギーは2050年に電力の70-85%を供給すると見込まれ、さらに高い供給率になる可能性もあります。この報告書では、現在世界中で起きている太陽光、風力および蓄電技術の大幅な改善は、システムの移行がすでに始まっている兆候かもしれないと述べています。

石油と天然ガスの使用も急速に減少させる必要があります。CO2除去技術に依存しない方法では、2030年までに石油が2010年比で37%減少すると見込まれます。

森林保護や植林などの気候変動対策は、世界の平均気温を産業革命前と比べて2度未満に抑えるという目標に対して、2030年までに必要とされる費用対効果の高いCO2緩和策の3分の1以上を提供する可能性があり、1.5度目標に対しても高い効果の可能性を示しています。

グリーンピース・インターナショナル事務局長のジェニファー・モーガン
「世界は深刻な事態に陥っています。悲劇的な火災、深刻な暴風雨、人命の喪失を避けるために、今後10年間で世界はCO2 排出量を半分にする必要があります。 大きな挑戦ですが、それは実行可能であり、正しい道を辿らない場合の犠牲は世界中の何百万もの人々、特に脆弱な人々の生死にかかわります。

このIPCC報告書は、これまでで最も独自性があり、かつ重要な気候変動に関する科学的な報告書です。 政府や企業の指導者は、もう逃げも隠れもできません。彼らは、科学が要求している緊急性に即して行動を起こすことによって、科学をきちんと理解していると示さなければいけません。私たち全員がそれぞれの役割を担っています。 皆が、気候変動を避けるための道筋を選択し、IPCC報告書に含まれる計画に則って行動し、自分たちの力でできることはすべてやる必要があります」

グリーンピース・ノルディック シニア政策顧問のカイザ・コソネン
「間に合うでしょうか? それは誰にもわかりません。私たちが目指す未知の領域です。 いま重要なのは、私たちが挑戦することを決意し、それを絶対に優先することです。その場合にのみ、1.5度を超えると加速が始まると科学的に言われている深刻な影響から身を守ることができる可能性が生まれます。

このような提言は現実的ではないと言う人たちは、人間に見切りをつけ、種の保存をあきらめ、私たちのこのすばらしい惑星をあきらめるようにと言っているようなものです。 私たちはそのようなことは受け入れません。 私たちは、政治的無関心や企業の欲望に負けて、人間の創意工夫、勇気、希望を諦めることはありません。 私たちは決して私たち自身であることをあきらめることはありません。 私たちは成功を確信しています。」

IPCC特別報告書は、今年12月の年次国連気候変動枠組条約(COP24)で締結し、政府が気候行動計画を立てる際に指針となるタラノア対話に直接活用される予定です。

【参考】
・グリーンピースによるIPCC報告書についての詳細な説明資料は、こちらからダウンロードできます(英語)
・関連する動画・写真はこちら
【注】・2018年10月8日発表した英語版プレスリリースの日本語版です。 

 

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