アーカイブページのためリンクや表示の不具合などがあります。

2010/12/01 南極海の調査捕鯨規模大幅縮小か

プレスリリース - 2010-12-02
南極海の調査捕鯨 規模大幅縮小か ―グリーンピース、さらなる内部告発情報を募集―

2010年12月2日

(c)Jeremy Sutton-Hibbert / Greenpeace
©Jeremy Sutton-Hibbert / Greenpeace

グリーンピースは本日午前10時52分、南極海へ向かう調査捕鯨母船の日新丸が母港の因島(広島県尾道市)を出港したのを確認しました。今年は例年になく遅い出港となりましたが、クジラ肉の需要低下、そしてそれに伴う資金繰りの悪化などによる経費削減の影響とみられ、帰港も例年より早まる可能性が高いとみられます。

クジラ肉の在庫量は9月末で5670トンとなっており、前月に引き続き同月比で過去最高となりました(注1)。また、捕鯨船団は2009年のマルポール条約による高価な燃料への切り替え(注2)などで費用がかさんでいるとみられ、もともと赤字である調査捕鯨事業の継続がさらに困難になっていると予想されます。

南極海での調査捕鯨の規模縮小は顕著であり、昨年からは目視船1隻が船団から抜けたことに加え、キャッチャーボート1隻も護衛船となり捕鯨を行いませんでした。また今年9月には捕鯨船団の給油船・飛洋丸(ヒヨウマル・旧オリエンタル・ブルーバード号)が解体、廃棄されています。クジラ肉を南極海から日本に持ち帰る運搬船としての役割も果たしてきたこの船の解体は、南極海の調査捕鯨期間の短縮と、捕鯨頭数の半減を裏付けるものです。これらのことから、今年度は出港が遅いだけでなく、日新丸の帰港も早まる可能性も高く、それに伴い捕獲数の大幅な減少も予想されます。

日新丸の出港を前に、11月30日、12月1日には、日本政府の主催により捕鯨推進国が集う会議が山口県下関市にて完全非公開で行われました(注3)。この会議に参加した国々には水産ODA(政府開発援助)をはじめ日本政府から多額の資金が流れています。実際に今年6月の国際捕鯨委員会(IWC)でも、捕鯨推進諸国政府の関係者が、IWC出席に関わる 移動費、滞在費、お小遣い、女性などを日本政府に用立ててもらうことを条件に、IWCで日本の投票に同調する“票買い”工作を受けたことをビデオカメラの前で証言したことが報道されています(注4)。

グリーンピースの海洋生態系問題担当・花岡和佳男は「調査捕鯨の規模縮小は日本政府の賢い選択だ。採算も取れず、いい加減な調査結果しか報告されない当事業がこのまま廃止となることは極めて自然なこと。ODAによる票買い工作も日新丸の出港も今年を最後とし、生物多様性条約の議長国としての役割を果たして欲しい」と訴えました。

2008年に元捕鯨船の乗組員からの内部告発を受けクジラ肉の横流しを公表したグリーンピースには、いまなお、ずさんな調査捕鯨の実態、クジラ肉の不透明な流通など捕鯨関係者から内部告発情報が寄せられています。グリーンピースは今後も、このような内部告発者の声に耳を傾け、南極海調査捕鯨の中止をもとめていきます。

<お問い合わせ>
国際環境NGOグリーンピース