記事 - 2012-11-22
食品流通の中で広がる放射能汚染を調査するため、スーパーマーケットで抜き打ち調査を行いました。
この調査で検査した食品の購入は、ボランティアの市民調査員の方がご協力下さいました。みなさまありがとうございました。
放射能測定室 シルベク 食品放射能調査
9回目:魚介類
調査結果
10月14日から20日にかけて、愛知県、神奈川県、東京都の店舗で購入した北海道~太平洋産の魚介類25サンプル中3サンプルから、1キログラムあたり最大16.9ベクレルの放射性セシウム(セシウム134+137)が検出されました。
検出された3サンプルは以下の通りです。
- イオン(愛知県)、西友(愛知県)、ユニー(アピタ)(神奈川県)でそれぞれ購入しました。
- 検出されたサンプルはすべて、お鍋の季節にあわせて広く流通しているマダラです。
- 3サンプルは、すべて「岩手県」とラベルに記載されていました。
日本で獲れるマダラは複数の系群に分かれていますが、太平洋北系群のマダラは東日本太平洋沖を南北に移動しています。
今回相次いで放射性物質が検出された岩手県を産地とするマダラは、汚染海域から北上した太平洋北系群のマダラが岩手県で水揚げされたものだと考えられます。
なお、ユニー(アピタ)(愛知県)で購入した「北海道」とラベルに記載されていたマダラは、検出限界値未満(検出なし)でした。
商品およびサンプル購入先店舗などの情報は、PDFでご確認ください。
調査内容
- 調査期間: 2012年10月14日〜31日
- 対象: 合計 25サンプルの鮮魚
東海地方で購入した魚、15サンプル
関東地方で購入した魚、10サンプル
太平洋側で漁獲された天然魚、マダラ、カツオ、サンマなど季節の魚を中心に購入
- 購入場所: 大手スーパーマーケット5社(イオン、イトーヨーカドー、ユニー(アピタ)、ダイエー、西友)
- 検査方法: 第三者機関で、ゲルマニウム半導体検出器を用いてヨウ素131、セシウム134、セシウム137について検査
第三者機関からの検査結果報告書>>
<ストロンチウムの測定について>
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グリーンピースは、食品検査の結果をより多く、より早く消費者の皆さまへ伝えたいと考えています。
測定方法の違いにより放射性ストロンチウムの測定には、数週間の時間がかかり、費用も高額であることなどから、グリーンピースは放射性セシウムの測定を優先して行っています。
同時に、放射性ストロンチウムの調査規模が拡大されるよう、日本政府に要請しています。 引き続き、皆さまが自らの健康を守るため自衛の対策を取れるよう、そして皆さまと一緒に企業の方針や政府の政策を変えていくために、グリーンピースは調査を続けます。
グリーンピースの提案
現在、政府や自治体によるスクリーニング検査は「主要漁港で週に一度」程度でしか行われておらず、政府の定める「食品に含まれる放射性セシウムの基準値(一般食品では1キログラムあたり100ベクレル)」を流通基準としています。
これでは汚染された魚の流通を完全に防ぐことは困難です。
一方、自主検査を行っているスーパーマーケットや回転寿し店もありますが、政府の検査や基準に頼っている企業も多くあります
さらに、牛肉では実現しているトレーサビリティー体制(いつ、だれが、どこで生産し、どのような経路で流通したかを追跡することができる仕組み)が魚介類で確立されていないことが、消費者の不安を払しょくできないことに拍車をかけています。
© Jeremy Sutton-Hibbert/Greenpeace
消費者の不安を解消することが、漁業復興の実現に必要不可欠です。そこで、グリーンピースは下記3つの取り組みを提案します。
- 汚染された魚介類の流通を防ぐ
魚介類が水揚げされる漁港は流通のスタートです。
すべての漁港でより多くの検査が実施されることが必要です。
- 魚介類のトレーサビリティー体制をつくる
スーパーや回転寿司などに並ぶ魚介類が、いつ、どこで、誰によって獲られたか、そしていつ、誰が、どのように流通したかを追跡できる流通システムをつくる必要があります。
- 安心して買い物ができるような情報を提供し、風評被害も防ぐ
「1キログラムあたり○○ベクレル」という具体的な数値に加え、実際にその魚が獲られた海がどこなのかが表示されることで、消費者は自身の基準と照らし合わせて魚を選ぶことができます。
もちろん、二度と同じ被害を生まないよう、一刻も早く原発依存から脱却し、自然エネルギーへとシフトする政策が必要とされています。
グリーンピースの取り組み
- 消費者と一緒に、大手スーパーで販売される魚介類の抜き打ち検査を継続します。
- 地元の漁業者と協力し、魚介類に含まれる放射性物質の調査を計画的に継続します。
- すべての調査結果を、消費者に分かりやすく発表します。
- 消費者と一緒に、安心して買い物ができる情報が提供されるよう、大手スーパーに交渉します。
- 日本政府に対して、検査の強化やトレーサビリティーの体制づくりを急ぐよう交渉します。
私たち消費者ができること1
寄付で調査を支えましょう!
グリーンピースが行う調査やその他の活動は、全て市民のみなさまの寄付で行っています。
一人一人のご寄付が、安心な食へとつながります。
ぜひ、ご寄付でご参加ください。
寄付はこちらから
私たち消費者ができること2
2012年9月、魚と海と私たちをつないでくれる漁業・水産業をサステイナブル(持続可能)にするための新しいプロジェクト『ママうみ』がスタートしてから、消費者である『ママうみ実行委員会』の皆さんが積極的にスーパーなどへ問い合わせをしています。
企業からの放射能検査や産地表示に関する回答 >>
企業が消費者の声を真摯に受け止め、一日も早く対策をとってくれるよう、あなたも『ママうみ実行委員会』にメンバー登録して、いつも魚介類を購入するスーパーマーケットやさかな屋さん、そして子どもたちが大好きな回転寿司店に、魚介類の安全性や漁獲海域に関する取り組みについて質問してみませんか?
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