原発メーカーへの手紙

記事 - 2013-04-12
東日本大震災と福島第一原発事故から2年が経ちました。
いまも16万人以上の方が避難を強いられ、たくさんの人生を変えてしまった原発事故。
東京電力と政府に責任があるのはもちろんですが、他の当事者はどうでしょうか。

東日本大震災と福島第一原発事故から2年が経ちました。
いまも16万人以上の方が避難を強いられ、たくさんの人生を変えてしまった原発事故。
東京電力と政府に責任があるのはもちろんですが、他の当事者はどうでしょうか。

福島第一原発の原子炉をつくったのは?

日本企業で原子炉をつくっているのは、日立、東芝、三菱重工の3社です。
炊飯器やエアコンでおなじみのメーカーですが、原発の原子炉もつくっているのです。
福島第一原発の場合、発電所を運転していたのは東京電力、原子炉をつくったのは日立、東芝、そしてアメリカに本社があるGE(ゼネラル・エレクトリック)*でした。(GEと日立は現在、原発事業を経営統合しています。また、三菱重工は関西電力の大飯原発などの原子炉メーカーです)

つくった原子炉が大事故を起こした責任は?

新しい家電を発売するときには、あんなにいろいろ宣伝をするメーカー。
ところが、大事故を起こした自社の商品=原子炉について、事故の責任をどう考えているか、公式見解の発表はありません。
そこで、グリーンピースは原子炉メーカー3社に直接聞いてみました。
以下、グリーンピースから3社に送付した手紙(質問付き)と各社からの回答を紹介します。

第1回 お手紙(質問状)


グリーンピースが3社に送付した手紙(2013年1月22日付)

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3社からの回答(2013年2月8日付)

日立 日立は、例えば「今後も原子炉の製造を続けるお考えですか?」との質問に、「地球環境保護の観点からも重要なエネルギー源の一つと認識して」いるので、原子炉の製造を今後も続けるつもりだとお答えになっています。
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東芝 東芝は、例えば「原子炉メーカーとして、貴社に福島第一原発事故の責任があるとお考えですか?」との質問に、
「当社は福島第一原子力発電所事故につき法的に責任を負担するものではありません」としています。
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三菱重工 三菱重工は、例えば「今後も原子炉の製造を続けますか」との質問に、「続ける」としたうえで、「政府のエネルギー政策の下、電力の安定供給と地球温暖化防止等に貢献することが、メーカーとしての社会的責任であり、また使命である」と理由を述べています。
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各社回答について、グリーンピースのコメント

つくった原子炉が大惨事を起こしたのに、法的に責任を負担するものではないと表明する原子炉メーカー。
法律*1によって特別に守られているので、事故が起きても一切の賠償責任を問われません。
詳しくは下記のブリーフィングペーパーをご覧下さい。
 >>『日本の原子力損害賠償制度の問題点――福島原発事故被害を直視した改正へ』

それどころか、これからも原発ビジネスで売り上げ拡大を目指す*2としています。
自社製品(原子炉)が引き起こした大事故について、原子炉メーカーは社会的な責任をどのように考えているのか、次の手紙で公式見解を発表するよう求めました。

*1.「原子力損害の賠償に関する法律」(原賠法)で原発はメーカーの製造物責任を問わないとされています
*2. 日立の2012年6月14日発表の中期経営計画、東芝の同年5月17日発表の中期経営計画より

グリーンピースは、メーカー責任を問えるように原賠法を改正するよう求めています。
>>詳しくはこちら

 

第2回 お手紙(要請書)


グリーンピースが3社に送付した手紙(2013年2月17日付)

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3社からの回答(2013年3月5日付)

日立 日立は、「見解はすでに『日立グループ サステナビリティーレポート2012』にWEB掲載しております」とのお答えで、同レポートの8ページ参照としています。
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レポートの8ページには、「安心・安全な社会を支えるエネルギーの『ベストミックス』実現に向けて(中略)日立は、原子力、火力、再生可能エネルギーも含めてさまざまな選択肢を提案」を続ける、とする中西社長のコメントが掲載。
 
東芝 東芝は、「当社のスタンスに関しましては、『トップコミットメント』、『東日本大震災への対応と復興支援活動』などの形で昨年6月から下記ホームページに掲載しております」とのお答え。
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『トップコミットメント』では、「福島第一原子力発電所の安全確保については、原子力事業に携わる企業として重く受け止め、政府や東京電力(株)の要請を受けてさまざまな活動に全力で取り組んできました」とする、佐々木社長のコメントを掲載。
『東日本大震災への対応と復興支援活動』では、福島第一原発の安全確保のための取り組みを紹介。
 
三菱重工 三菱重工は、2月8日付の第1回お手紙への返信と「『CSRレポート2012』をご参照いただきたく存じます」とし、「原子力事業に関する考え方や取り組みについて、今後も広報活動などを通じてご説明していく」とのお答え。
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CSRレポート内の参照先として挙げられている社長による対談、 継続した震災復興支援、環境ビジョン2030、製品安全に向けた取り組みには、「ものづくり企業として最も重要な社会的責任が『製品安全の確保』であることはいうまでもありません」とする大宮社長のコメントが掲載され、同社が福島第一原発事故の収束に技術協力していることを紹介。


各社回答について、グリーンピースのコメント


第2回お手紙への回答は、すでにあるCSRページやレポート参照させるもので、3社とも非常に似通った内容でした。
CSRページやレポートをみると、環境や人権について各社の取り組みが多数紹介されています。
しかし、東日本大震災の地震や津波で被災した地域への支援活動を大きく取り上げる一方、つくった原子炉が大事故を起こしたメーカーとして、原発事故の被害者へは言及はまったくありません。
また、原発がもつ社会や環境へのリスクや、自社製造の原子炉で今後事故が起きたときの責任についても触れられていません。
このような姿勢は、CSR(企業の社会的責任)を果たしていると言えるのでしょうか。


メーカーのみなさま、締め切りまでにご回答いただき、どうもありがとうございました。
グリーンピースでは、これからも3社とのやり取りを続けていきます。

事故をくりかえさないために、原発にもメーカー責任を。
いっしょに、原発のない明日をつくりましょう!

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