遅まきながら謹賀新年、今年もよろしくお願いします。

 グリーンピース・ジャパンは2008年、気候変動/エネルギー・キャンペーンを新装開店し、遺伝子組み換え(GM)、捕鯨問題を含む海洋生態系保護と合わせて3本柱になる。憲法9条キャンペーンpeace9.orgも、5月の「9条世界会議」に私がパネル参加する形で継続する。その準備として、年末にはピースボートの川崎哲さんと共著で『イマジン9』(合同出版)を刊行した。ついでに、昨年の「海洋環境映像展」ですばらしい演奏を披露してくれたSUGIZOさん監修の『ロッカショ――2万4000年後の地球へのメッセージ』(講談社)にも私のメッセージを寄せている。

 年末年始は屋久島の自宅でゆっくりすごすことができた。といっても、“半農半著”に戻ってポンカン(屋久島特産の柑橘類の一種)の収穫をしたり、お歳暮代わりにそれを発送したり、暮れの大掃除もいちおうすませたり、年明けには久しぶりに月刊誌用の原稿を書いたり、風化の進むウッドデッキを塗り直したりで、いつもどおり「休み」なのかもう一つの「日常」なのかは疑問。とにかく、漁師の息子が差し入れてくれる新鮮なシマアジやムロアジ、そしてバショウカジキのトロを堪能したのは確かだ。

 屋久島のわが家は難視聴地域で衛星放送のテレビしか見られないが、新聞もテレビも地球温暖化特集の多さと充実ぶりには時代の変化を実感した。ひと昔前なら環境派だけが訴えていたような内容をだれもが口にするのは、ある意味では大きな前進だし、別な意味ではそれほど温暖化の進行が顕在化していることを示す末期症状なのだろう。集落の共同浴場で会う地元の顔役が、グリーンピースで働く私に期待を込めて、「星川さん、なんとかしなくちゃ!」と励ましてくれるのがありがたかった。

 しかし、マスコミの温暖化特集がほとんど政府の御用報道になっている点はあいかわらずだ。「たいへんだ、たいへんだ」と騒ぎはするものの、対策となると結局、「みんなでできることをやりましょう」とか「切り札は原子力」でお茶を濁す。日本が原子力を国策としているために、本当に温暖化と取り組む政治的意志も制度設計も出てこない病状を伝えようとしない。国内に55基も原発がありながら世界一の石炭輸入国で、しかも京都議定書の1990年比6%という甘い削減目標も達成できない国が、「環境大国」だの「環境技術で世界をリード」だのとよく言える。捕鯨と原子力という二つの国策をタブー視し、政府のプロパガンダを受け売りしてしまうメディアの腰抜けぶりは、戦前戦中とまったく変わらない。

 ちょうど、南極海遠征中のエスペランサ号が日本の捕鯨船団を発見して、事態が緊迫しはじめた。今回は英国BBCのレポーターも乗り込み、例年になく世界のメディアが注目するなか、「グリーンピースは船をぶつけるテロリストだ」などという水産庁のウソは通用しない。みなさんも、エスペランサ号からの24時間ウェブカメラで確認を!
http://www.greenpeace.org/international/photosvideos/live-webcam


エスペランサ号船上の二人のグリーンピース・ジャパン乗組員と、東京の佐藤潤一による「くじラブ・ブログ」もどうぞ。http://www.greenpeace.or.jp/campaign/oceans/whale/sato