●オバマ政権の目玉政策の一つは核廃絶だ。核問題専門サイトとして定評のある「核情報」の田窪雅文さんが、この政策の基礎となっている米政界4人の重鎮(キッシンジャー元国務長官+シュルツ元国務長官+ペリー元国防長官+ナン元上院軍事委員会委員長)の提言をもとに、オバマの米国と「核兵器のない世界」への見通しをパンフレット『核兵器全廃への新たな潮流――注目すべき米国政界重鎮の4人の証言』(原水爆禁止日本国民会議)にまとめた。米国の核の傘に頼る日本が、むしろ核廃絶のブレーキを踏んでしまう本末転倒は避けたい。申し込みは下記から(頒価500円)。
http://www.kakujoho.net/

●長めにとった正月休みの後半、日帰りで伊豆へ出かけたら、まったく偶然でアンドリュー・ワイエス(Andrew Wyeth)の展覧会に出くわした。現代アメリカを代表する具象画家で、80年代に一世を風靡したハイパーリアリズムにも影響を与えた、瞬間を切り取る緻密な描写力は鬼気迫るほどだ。日本でいうと田中一村(たなか・いっそん)の世界に近いかもしれない。

1970年代に「海からの風」や「クリスティーナの世界」などの代表作を通じてその魅力(魔力?)に捕らわれたきり、心にしまっておいただけでとくに深追いしたわけではないが、伊豆ではじめて何枚かの現物に触れられたのはうれしかった。思わぬ収穫は、会場に置いてあった画集で水彩画家としての顔に出会ったこと。1930年代から、水墨画にも通じる異彩を放っている。帰宅してすぐ、もう古本でしか手に入らないその画集を取り寄せた。「ヘルガ」シリーズのモデルとなった隣人女性とのゴシップや、ブッシュ大統領から国民的芸術家として表彰された詳細は知らないけれど、自然の、そして自然と密接な暮らしの“奥”を描き出す稀有な才能だと思う。

 ところが、それから数日して訃報が新聞に載った。なんだかワイエスが夢枕に立ったような気分だ。ワイエスも田中一村も、かなりの作品がネット検索で見られるので、ぜひ!