週1ぐらいで更新したいのだが、忙しくてたまってしまったので、今回はちょっと雑多な盛り合わせ。このかん、メキシコのモンテレー市で開催中の「世界文化フォーラム」(ユニセフ後援)に参加し、メキシコとフランスのグリーンピース支部事務局長とともに持続可能性に関するパネル討議を行った。学生連合が企画したこのパネルには、モンテレー工科大学の大ホールを埋める2,000人の聴衆が集まり、グリーンピースの人気が先進国だけでないことを裏づけた。グリーンピース・メキシコの事務局長は、去年まで環境省の高官だった女性だ。


●オーストラリア政府が、南極海での日本の“調査捕鯨”を強く牽制する子ども向けのビデオ(日本語字幕つき)を流している。
http://jp.youtube.com/DeptEnvironment


“調査捕鯨”の主な対象であるミンククジラ(765~935頭)のほか、2シーズン前に捕殺されはじめた絶滅危惧種のナガスクジラが、この年末にスタートする次のシーズンからは一気に50頭に増やされるのに加えて、絶滅危急種のザトウクジラも新たに50頭、捕殺の対象になる。とくにザトウクジラに手をつけることが、もともと圧倒的に反捕鯨のオーストラリアやニュージーランドの世論にとって、火に油を注ぐのは目に見えていた。日本でもそうだが、オーストラリアを含む世界各地で、ザトウクジラはホエールウォッチングの人気者として、人間と鯨類の共生を象徴する存在だ。日本政府がいくら「人気があるかどうかなど水産資源としての価値に無関係」と強弁しても、目と鼻の先の南極海で、自然保護のシンボルのようなザトウクジラを殺されるオーストラリアやニュージーランドの人びとは、心穏やかではないだろう。たかがシンボル、されどシンボル――クジラに水産資源価値しか認めない水産庁は、意図的にザトウクジラのシンボル価値抹殺を狙っているのか。



いっぽう、9月13日に国連総会で「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択された。30年にわたる世界的な努力が実り、先住民族が国際法の主体として正式に認知されたのだ。日本は最終的に賛成票を投じたにもかかわらず、町村外相(当時)は翌14日、国内のアイヌ民族を先住民族と認めないと述べた。日本政府のこの立場は一貫している(下記、鈴木宗男衆議院議員の質問主意書に対する政府答弁書参照)。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/
html/shitsumon/b168024.htm



ところが、同じ日本政府は国際捕鯨委員会(IWC)の総会で、日本国内4か所の沿岸捕鯨を国際的に認められた「原住民生存捕鯨」と同列に扱い、捕獲を許可すべきだと主張する。「原住民生存捕鯨」は、濃淡の差こそあれ各国が先住民に対する迫害の反省に立って設定した枠組みだ。それを日本は、アイヌを自国の先住民族として公式承認することさえしないまま、他国の先住民に与えられた権利だけ、国内の非先住民に認めろという。一事が万事、日本の捕鯨外交は支離滅裂で駄々っ子の域を出ない。


“調査捕鯨”の深刻さは、消えた年金やインド洋給油イラク流用と同レベルの偽装と屁理屈が国際社会でも通用すると勘違いし、しかも裸の王様のように虚勢を張っている点。政府と御用学者の言い分を鵜呑みにして、問題を国民の目から隠し続けるマスコミの責任は大きい。税金を使った国営捕鯨船団が、はるばる南極海で上限1035頭ものクジラを殺すことを、9割以上の日本人は知らない。


●ピースボートが声をかけて、国内外から1万人を結集しようと準備中の「9条世界会議」(2008年5月4~6日@幕張メッセ)。私は早くから呼びかけ人に加わり、グリーンピース・ジャパンとしてもできる限りの協力を惜しまないつもりだが、プログラムの分科会にあたる自主企画の募集がはじまった(英文での募集開始は11月上旬)。海外ゲストを招く場合には補助金(上限あり)も出るので、ふるってご応募を!
http://whynot9.jp/ (9条世界会議トップ)
http://whynot9.jp/action/applyguide.html (自主企画募集)


●“目配せも罪になる”共謀罪法案は、グリーンピース・ジャパンも含めた幅広い国民的抵抗により政府・与党側を手詰まり状態に追い込んできた。しかし、来年のG8に向けて「テロ」や「テロリスト」と呼べばなんでも取り締まれる態勢が強まるのは必至だ。それに対抗する重要なシンポジウム「どこまで強まる? 外国人管理 ~“テロ対策”と日本版US-VISIT~」が、パラノイア的な国家管理で先を行く米国から自由人権協会のバリー・スタインハード氏を迎えて、10月27日(土、午後2~5時)在日本韓国YMCA 9階ホールで開かれる。
http://secure.amnesty.or.jp/cgi-local/news.cgi?vew=8 


●つい先日、史上最小面積を記録した北極圏の氷の状態が見られるサイト(毎日更新)。冬を前に、少しずつ氷が回復しはじめているようだ。でも、来年の夏は……

http://www.ijis.iarc.uaf.edu/cgi-bin/seaice-monitor.cgi?lang=j