選挙も終わり、政権も変わり、いよいよ「天下り」と「利権」のショーケースである捕鯨問題にも政治のメスが入ることでしょう。

民主党のマニフェストには「5つの約束」として、「ムダづかい――国の総予算207兆円を全面組み替え。 税金のムダづかいと天下りを根絶します」と書かれています。そして各論の中には、「国が行う契約を適正化する」として「随意契約、指名競争入札を実施する場合には、徹底的な情報公開を義務付ける」ことが明言されています(天下りについては佐藤のブログにも取り上げられているようです)。

新政権がこういう基本的な約束を守るだけで、水産庁が行う調査捕鯨の闇に光が当てられ、とくに南極海クジラ保護区での捕鯨は中止せざるをえなくなるでしょう。いくら旗を振ってもクジラ肉の需要が伸びず、惰性だけで続いていて、国民の税金の無駄遣いが積み重ねられ、関係者たちも本気では商業捕鯨の再開なんて考えていない調査捕鯨の見直しは、気候変動防止のために2020年までに温室効果ガスを25%削減するという約束以上に、新政権の明快なメッセージになるでしょう。国内に対しては、これまで利権にくるまれていた人たちの襟を正させ、国民に対して新政権の毅然とした姿勢を示すことができるし、国外に対しても「われわれはこれまでの政党とは違う」というはっきりとしたメッセージを打ち出し、国際社会の中での信頼度を高めることができるはずです。

先月はオランダに渡り、今月はオーストラリアに飛んで、世界中に私たちが経験している「不条理な捕鯨」と「不条理な裁判」について直接伝えているのですが、世界中でほんとうに大勢の人たちが私たちの裁判に注目していることを肌で感じることができます。

政府のスキャンダルを暴いた人間が政府によってバッシングされる――こんなことは世界の人たちの「感覚」としてはとても容認できないのだ、という姿勢に触れ、大きな自信をもらって帰ってきています。

先日、水面下で地元工作が進んでいた公共ギャンブル施設計画が明るみに出て、住民の迅速な反対運動により、情報発覚から48時間以内に白紙撤回させたという出来事がありました。「どうせ時代なんて変わらない」と思いがちな現代にあって、「いや、みんなでNOを突きつければ世界は変わる」という自信を住民が取り戻したすばらしい出来事でした。ここでも問題の本質は、計画そのものの是非よりも、住民の知らないあいだに密室で話が進んでいたことです。

今回の選挙は国民が「NOを突きつけた結果」ですから、新政権が本当の支持を得るのはこれからにかかっています。日本と世界が注目しています。