「稼働原発ゼロ」のこどもの日 次世代のエネルギーを考える日に

 

本日55日、「こどもの日」の未明、日本にある商業用原発50基がすべて停止します。グリーンピースは、すべての原発の稼働が停止し、原発由来の電力が日本から消えるこの「こどもの日」を、次世代のエネルギー政策を真剣に考える日とすべきだと提案します。 

日本は福島第一原子力発電所事故という未曾有の原発事故を経験しました。事故の収束にはほど遠い状態であることを考えれば、その原因である原発を停止することは当然です。ましてや事故の原因が究明されていないばかりか、4月にスタートする予定だった原子力規制庁もその設置が遅れており、緊急時の住民避難体制なども見直されていません。このような状況で、原発の再稼働に向けた動きがあるのは論外です。

稼働原発ゼロは、新たな挑戦のスタートです。その挑戦は、長期、中期、短期という視点で、日本のエネルギー政策を次世代のために築き直すことです。

まずは、短期的に原発ゼロのままこの夏を乗り切る方法を準備しなければいけません。本来であれば1年前から準備しておくべきことでしたが、電力会社と政府や自治体が電力の需給予測を透明性をもって公開して精査するとともに、経済や社会のさまざまなセクターがアイデアと技術を持ち寄り、原発ゼロでこの夏を乗りきる仕組みを早急に実施し、省エネと節電分野における日本の能力を発揮すべきだと考えます。

(自然エネルギー革命、グリーンピースの考える5つのステップ 2012年2月15日発表)

さらに、夏のピークを乗り越えた後、地球規模の視点でエネルギー政策を見つめ直すことも必要です。原発事故を経験していない国々にとって、エネルギー問題の焦点は原発をどうするかよりも気候変動にどう対処するかであることに変わりありません。夏を乗り越えた後には、いかに二酸化炭素の排出量を減らしていけるかが問われます。天然ガス火力を転換期の主流エネルギー源としながらも、自然エネルギーの爆発的な普及が求められます。

脱原発を当然として、夏の電力ピークを乗り切り、さらに二酸化炭素排出量削減の国際公約を順守する、これが「次世代に残すべきエネルギー政策」として私たちに求められている条件です。

グリーンピースは、この「稼働原発ゼロ」の「こどもの日」に、人間にも環境にもやさしいエネルギーを次世代に引き継げるよう活動していく決意を新たにし、スタッフ一同取り組んでまいります。

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グリーンピース・ジャパン 事務局長 佐藤潤一