皆さんこんにちは。
アメリカのオバマ大統領が、「ミツバチ、その他花粉媒介生物の健康を促進する連邦レベルの戦略の策定」を命じる大統領令を出してから半年。その後アメリカでどんな動きがあるか、3回に分けてお伝えします。
今回は、アメリカの連邦議員(下院議員)60人が、環境保護庁に対して花粉を媒介する生物を守るよう求めた書簡についてです。
オバマ大統領は今年の6月、アメリカの各部門が協力してネオニコチノイドの問題に対処する特別委員会を立ち上げ、行動計画を作るよう求める大統領令を出していました。(注1)
この大統領令では、アメリカ環境保護庁が、花粉媒介者の健全性へ与える農薬の影響を調べる役割を負うことになっていました。
これをうけて、9月30日、アメリカでは連邦議会議員60人は、
「ネオニコチノイド系農薬がミツバチや蝶、鳥類などに悪影響を与えているという科学的証拠がある」
「アメリカで、花粉媒介生物としてリストアップされている40種類の生物が、減少あるいは危機的な状態にある」
として、農作物生産でネオニコチノイド系農薬の使用を禁止または制限するよう求める書簡(注2)をアメリカ環境保護庁長官に送りました。
60人の連邦議員が名を連ねたこの要請文では環境保護庁に対し、次のようなことを求めています(抜粋)。
・ハチが好む作物や生花へのネオニコチノイド系農薬の使用を制限または一時停止すること。
・農薬登録にあたって、ハチへの影響について総合的に(急性、慢性毒性や、死なないレベルでどんな影響があるかなど)調査したデータを提出させること。
・ネオニコチノイド農薬のラベルを、今よりハチへの害を明確に記すこと、ネオニコチノイド農薬でコーティングされた種についても同様に明記すること
・ネオニコチノイド系農薬で種子処理をすることでどのような影響が生じるか、調査すること
・(個人が購入するような)市販のネオニコチノイド系農薬にも使用制限をすること
実は、アメリカでは今年の7月に、ネオニコチノイド系農薬が、幅広い種類の生物に悪影響を及ぼすおそれがあるとして、国立野生生物保護区での使用を2016年までに禁止すると、米国魚類野生生物局が発表しています(これについては後日のブログで取り上げる予定です)。
こうした動きを背景に、今回の環境保護局への書簡では、
「魚類野生生物局の先例に倣って、(環境保護庁も)この問題に早く効果的に対応すること」
「農家であるかどうかにかかわらず、市販のネオニコ系農薬の使用を制限する必要がある」
といったことも要請されています。
日本の国会でも、ミツバチ保護のために頑張ってくれる国会議員が増えるといいですね。
新しく選出される国会議員に、市民の関心が高いことを示し、「ネオニコやめてほしい」という声を大きくしていくために、下のバナーをクリックして、ぜひ署名に参加してください。
(注1)アメリカ 大統領令についての関連ブログはこちら
(注2)アメリカ連邦議会下院議員60人から環境保護庁への手紙へのリンクはこちら
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