海洋生態系問題担当の花岡和佳男です。
1キロあたり10,000ベクレルを超える海藻
グリーンピースの調査船「虹の戦士号」(オランダ船籍、555トン)は結局最後まで、日本政府から領海内に入船する許可が下りることがありませんでした。領海外(沖合22キロより外)での調査を行いましたが、福島第一原発から50キロ離れた沖合で浮遊していた海藻アカモク(ホンダワラ科)などから、1㎏あたり10,000ベクレルを超える、高レベルの放射能汚染を確認しました。
もちろん、福島第一原子力発電所から流出する放射性物質の、周辺海域の生態系や漁業に与える影響を知るには、領海外だけの調査では明らかに不十分です。
「虹の戦士号」と同時に行っていた沿岸海域での調査でも高濃度
グリーンピースは虹の戦士号によるサンプリングに並行して、福島第一原子力発電所の南北に延びる沿岸でも、魚類、貝類、海藻類などのサンプリングを実施。採取したサンプルの、放射能汚染の影響を分析しています。
このサンプルは、地域の漁業関係者などが漁港付近で採取し、現地でグリーンピースが譲り受けたものです。地域の漁業関係者は、政府や東京電力からの放射能被害における損害補償の話の進展もなく、漁業再開の見当もつかないままの、不安な日々を過ごしています。収入源である漁業を奪われ、漁協から借金をして食いつないでいる方々もいらっしゃいます。漁業再開に向けてより詳細な海洋調査を求めている一方、漁連や県の方針に逆らうこともできず、苛立ちを隠せない様子でした。
分析調査の結果、特に福島第一原子力発電所の南約30㎞から65kmの場所に位置する久ノ浜(ひさのはま)、四倉(よつくら)、江名(えな)、勿来(なこそ)などの漁港で採取されたアカモク、コンブ、フクロノリなどの海藻サンプルから、1㎏あたり10,000ベクレルを超える、高濃度の放射性物質が検出されました。
この調査における暫定結果を、本日発表しました。
プレスリリース
沖合での海洋調査(調査船「虹の戦士号」での調査)による海藻類の結果
沿岸からの海洋調査による海藻類の結果
日本政府に緊急要請 「いますぐに海藻の調査を」
また併せて、日本政府に対して以下3点を求める要請書を提出しました。
1. 太平洋沿岸域における海藻類の放射性物質調査の実施と結果発表
2. 1の調査が終了し、漁業関係者や消費者の安全性が確認されるまでの間、海藻類収穫の一時中止
3. 海藻類収穫の一時中止により漁業関係者が受ける被害の全額補償
このたび緊急発表した暫定結果は一部の海藻類に限ったものですが、その他の海藻類、魚類、貝類などのサンプルの分析を含めた詳細な調査結果の発表は、来週に行う予定です。