こんにちは。核・エネルギー担当の鈴木かずえです。

「原子力損害賠償紛争審査会(以下原賠審)」というのは、原発事故による損害の賠償の指針を作っているところで、事務局は文部科学省、委員は、会長含み、大学教授などの専門家がつとめています。
被ばくを防ぐため、福島のみなさんには避難の権利がある、と主張してきたグリーンピースも、原賠審に注目し、「自主避難へ賠償を」と働きかけてきたところです。

昨年6月からすでに原賠審での自主避難者への賠償問題に取り組んでいたFoE Japan、福島老朽原発を考える会、福島のみなさんなどとともに、委員のみなさんに意見をお送りしたり、審査会前にアピール行動を呼びかけて行ったり、傍聴を広く呼びかけたりしてきました


8月に出された損害範囲などに関する中間指針では、自主避難への賠償は含まれませんでしたが、自主避難を補償の対象にすることと、その基準を継続して議論していくことが確認されました。
その後、実際に自主避難された方、残らざるを得なかった方などの意見陳述もありました。
そして、12月6日に中間指針の追補として、自主避難への賠償が認められました。

中間指針追補概要

-賠償の対象地域(いずれも福島県)
県北・県中・いわき・相双の23市町村

-賠償の対象者と金額
子ども・妊婦 一律40万円(2011年12月まで。以降の賠償は継続議論)
上記以外の避難者・残留者 一律8万円(事故当初の損害として)

-対象者以外も、事情に応じて賠償の対象と認められ得る。


追補には、大きく3つの問題点があります。

一、賠償の合理性を「恐怖や不安」だけに求めている
被ばくの軽減のための避難の合理性についての議論を避け、賠償の根拠を「通常時より相当程度高い放射線量による放射線被曝への恐怖や不安を抱くことに
一定の合理性」としています。

二、対象地域を県北・県中・いわき・相双23市町村に限定
たとえば、チェルノブイリ周辺国であれば、通常の値に追加して年1ミリ以上の被ばくを受ける地域は「自主移住地域」とされ、避難費用の補償、住宅の提供を受けることができます。チェルノブイリの教訓を真摯に受け止めるなら、
少なくとも福島県全域を対象とすべきと考えます。

三、金額が実際の避難費用とかけ離れている
引っ越し費用と比べても、金額は少額です。また、自主避難された方には、父親を残しての母子避難などで家計が二重となった方、元の住居のローンも払い終わっていないのに避難先の家賃も払わなければならないない方もたくさんいらっしゃいます。
実費については個別に東京電力に請求できるとしていますが、東電が応じるかどうかは不透明です。(応じるようにしなければなりません)


今後ですが、原賠審においては、対象者の拡大、期間の延長、東電に賠償請求にきちんと応じさせることが重要と思います。
また、国会においてはもうすぐ「福島復興再生特別措置法」案が話し合われます。
この特別措置法には「児童等の被ばく放射能濃度の低減」が含まれています。
ぜひ、みなさんの選挙区の国会議員さんに、ほんとうに子どもたちの被ばくの低減につながる法律をつくりましょうと、はたらきかけてください。
「子どもたちの被ばくの低減についてどうお考えですか?」と聞くだけでもいいのです。

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