写真:海岸から川内原発を臨む © Masaya Noda / Greenpeace

 

「では、一応そういうことで・・・決定したいと思いますが・・」

まるで恒例行事か何かを仮決めするような口調で決定されたのは、九州電力の川内原発再稼働最終プロセスである「川内原発の保安規定の変更の認可」でした。

みなさんこんにちは。マモさんことエネルギー担当関口です。

写真:原子力規制委員会の入っている建物を背に

今日のマモさんはややトーン低めです。まるで予定調和のように、いかにもあっさりと、発再稼働認可のための最終手続きが進んじゃう現場を目の当たりにしてきたものですから。

先週、5月27日に認可が決定されたこの保安規定案というのは、電力会社にとって原発再稼働のために超えなくてはいけない3つのハードルの最後の一つで、重大事故対策やそのための施設や管理について審査するものです。

 

写真:原子力規制委員会で認可を決定をあっさりと確認する田中委員長

 

認可とは!

原子炉の規制に関する法律には、「原子力規制委員会は保安規定が・・・災害の防止上十分でないと認めるときは、・・・認可をしてはならない」とあります。

今回認可が降りたということは、つまり原子力規制委員会は、九州電力が提出した川内原発保安規定案の内容は、災害を防止するために十分な内容だと言っているわけです。

写真:配布資料 九州電力 瓜生社長あて認可文

「災害を防止するのに十分な保安規定ですよ!と規制委員会がお墨付きをあげたのに、マモさん、なんでトーン低いの?」

と、思うでしょ? 私たちグリーンピースが専門家の協力を得て発行したレポートでは「災害を防止するために十分」とはとても言えない内容が指摘されているのに、規制する委員会がオッケーにしちゃってるわけで、そのまま進むのは本当に不安で不安で仕方ないのです。

 

とても不安な地震対策‼︎

たとえば、4/28 発表の『川内原発における耐震性評価の問題:国際基準と日本基準』では、南海トラフを含む遠方の震源の影響は検討しないまま再稼働手続が進んでいて、そのせいで過去の原発事故で大きな被害につながったような 性質の揺れ*への対策が甘くなると指摘しています。小笠原沖ではつい数日前に最大規模の地震が起きましたが、この時高層ビルなどを長く大きく揺らしたような種類の揺れです。震源がかなり深いところだったため、地震規模の割には大きな被害が出ませんでした。でも、そういった地震が起きているという現実こそ、もっとシビアに見るべきですよね?ちなみに2003年の十勝沖地震ではこの種類の揺れの影響で石油コンビナート火災が起きています。

*専門用語で低振動数(長周期)地震動と言います。

写真:外国人記者クラブにて地震動の問題について記者会見をする佐藤氏

 

とても不安な噴火対応‼︎

それから、2/26 発表の『川内原発と火山灰のリスク』では、九州電力が「VEI 6(火山爆発指数 6=噴煙の高さ25km以上の巨大噴火)以下の噴火は川内原発には影響ない」としていることや、火山灰の原発への影響がかなり低く見積もられていることが明らかにされています。レポートの著者ラージ博士によれば、現存の記録から類推しても30cm以上の火山灰が積もる可能性は十分あるとのこと。(ちなみに静岡大学で火山を専門に研究する小山教授は、1mは積もりうるとしています。)そして、仮に川内原発に火山灰が30cm以上積もった時に、崩壊する恐れのある建物のひとつは、使用済み核燃料を保管している建物なのです。そんな火山灰、九州電力の見積もりによれば、積もる量は最大でも15cmだというのです。

 

写真:桜島の火山灰 © Masaya Noda / Greenpeace

 

とても不安な火山モニタリング‼︎

5/21の桜島噴火や先週5/29に噴火した口永良部島など、火山活動への心配を大きくするようなことが続いています。噴火時期を予測することの難しさは火山学者も指摘していますが、九州電力は「モニタリングで予測できる。ドルイットさんがそう言っている」ので大丈夫だとしています。実は、このドルイットさん自身は、「自分の研究がエーゲ海のサントリーニ火山の事例についてであって、他の火山に当てはまるわけじゃない」的なことを言っているそうなのです。

しかもしかも、今回認可された保安規定をよく読むと「モニタリングについて必要な要因の配置や教育訓練の計画を策定し、実施すると定めている」から認可できる。と言っています。「すでにやっている」ではないところ、要注意です。

 

写真: © Masaya Noda / Greenpeace

 

昨年の11月、日本火山学会の原子力問題対応委員会が「火山噴火の予測には限界があり、原子力規制委員会は審査基準を見直すべきだ」という提言をまとめています。地震学者や原子力コンサルタント、元原発技術者など、専門知識と経験がある方々が具体的に事例を上げて現在の川内原発再稼働審査に警鐘を鳴らしています。こういった声をきちんと取り上げずに進めて、「想定外」はもう通じません。

写真: © Masaya Noda / Greenpeace

審査の最終段階を通過したからと言って、諦めるわけには参りません。最終段階に来てこんなに不安だらけな再稼働、なんとかして止めさせなきゃ!

どうぞ、一緒に声を上げてください!

 

6/7には福岡県で九州電力本店に私たちの声を届けるべく、『ストップ再稼働!6.7 3万人大集会in 福岡』が開催されます! 私マモさんも駆けつけます!ぜひ参加して、あるいは賛同人としてご参加ください!

http://bye-nukes.com/

 

グリーンピースでも、まだまだ「とめよう再稼働 オンライン署名」集めています。署名された方は、ぜひお仲間にシェアしてください!

 

私たちにできること、まだまだあります!

あー! 書いてたらメラメラ燃えてきた! みなさん、諦めずに希望をもって進みましょうね!

 

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