2016/05/27 グリーンピース声明:G7伊勢志摩サミット首脳宣言・ 気候変動/エネルギーを受けて

プレスリリース - 2016-05-27
国際環境NGOグリーンピースは、G7伊勢志摩サミットの首脳宣言(注)を受けて、下記の声明を発表しました。

G7伊勢志摩サミットの首脳宣言は、直面する気候変動の緊急性を反映していないばかりか、パリ協定後の世界の動きと一致していません。これは、他のG7諸国がパリ協定の求める行動を取ろうとしているにもかかわらず、議長国である日本が足を引っ張っている明らかな証拠でしょう。 

昨年、G7ドイツ・エルマウサミットにて、気温上昇を2度未満に抑えて温室効果ガスの排出量をゼロにするために2050年までにエネルギー部門の変革を図り、今世紀中に世界経済の脱炭素化を実現するために各国が責任を果たすことを約束しました。G7諸国によるこの約束は、脱炭素化は不可避で変革はすでに始まっているという重要なシグナルを世界の投資家と化石燃料産業に送りました。その後世界各国は、気温上昇を1.5度に抑える目標を持って行動することにパリで合意しました。G7諸国は今回のサミットで、この合意はつまり、遅くても2050年までに自然エネルギー100%の社会を実現することだと認識することで応えるべきでした。

グリーンピース・インターナショナル(本部)事務局長のジェニファー・モーガンは「G7伊勢志摩首脳宣言は気候変動対策には不十分です。今年のパリ協定批准に関してのG7諸国の協力は喜ばしいですが、気候変動がもたらす危機について時期や方法など具体的に踏み込んだ、もっと野心的な対応をG7首脳には期待していました。各国の気候変動のコミットメントへの初回評価は2018年に行われます。グリーンピースは、G7諸国に100%自然エネルギー社会実現への計画をそれまでに策定することを求めます。気候変動に関する現行の公約の早期実行を約束することは望ましいですが、公約はすぐにさらなる野心的なものへと強化されなければなりません」と訴えました。

一方、G7各国首脳が、原子力発電が温室効果ガスの削減に大きく貢献すると提案したことは残念です。原発は気候変動の危機を救う答えにはなりません。グリーンピース・ジャパン プログラム部副部長の高田久代は「この提案は、日本政府と他の原発推進国が自国の思惑のために含めたものでしょう。しかし、原発は二度と日本のエネルギーミックスの主要部分を占めることはありません。安倍首相は自身の短絡的な公約実現のために、気候変動の危機を口実に利用し、時代遅れで危険な技術を推し進めようとしているのです」と批判しました。

さらにモーガンは、「日本は、各国首脳が気候変動の取組みにリーダーシップを約束する場であるG7サミットで議長国を務めながら、その一方で国内と海外の両方で石炭火力発電所の建設を賞賛していることに困惑を覚えざるをえません。このように二つの逆の立場を同時に持つことは、根本的に矛盾しています。次の政治的に重要な時期は、今年9月に中国で開かれるG20サミットです。このもっとも難しい政治的問題に正面から取り組み、官民の投資が気温上昇を1.5度に抑えるパリ協定のビジョンと相入れるようG20各国をリードできるかどうかは、議長国の中国にかかっています」と強調しました。本日グリーンピースは、ブリーフィングペーパー「2030 年エネルギーミックスの現実度チェック:破綻する日本の原子力発電」を発表し、日本政府が温室効果ガス削減目標の根拠としている2030年エネルギーミックスは非現実的であると指摘しました。

注)G7 伊勢志摩首脳宣言首脳宣言

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