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2008/07/07 グリーンピースはG8に求める――気候変動と食糧危機を免れる実効力のある行動を!

プレスリリース - 2008-07-07
グリーンピースはG8に求める――気候変動と食糧危機を免れる実効力のある行動を!

2008年7月7日

2008年7月7日 G8の取材拠点となる国際メディアセンター(IMC)。センター内に設けられた初のNGO専用スペースにはグリーンピースのG8チームも滞在しています。

7月7日から9日まで北海道洞爺湖で開かれるG8サミットに集まった各国首脳たちには、温室効果ガスの排出削減目標を設定して気候変動と闘い、現在の食糧問題を引き起こしている諸要因を取り上げることで、この食糧危機を終結する責任があります。食糧問題の諸要因には、工業的な生産システムによる近代農法、気候変動の影響による生産量の減少、不公平な輸出入取引、持続不可能なバイオ燃料需要の急増などが挙げられます。

グリーンピースは、現在世界で行われている生産方式を大幅に変えなければ、エネルギー問題も食料問題も解決しないと考えます。温室効果ガスの削減には、自然エネルギーとエネルギー効率向上が問題解決の鍵を握っており、「クリーン・コール・テクノロジー」(注1)や高コストで危険な原子力は解決策にはなりません。これら二つの技術は、気候変動対策に緊急に必要な排出削減にはまったく役に立たないのです。

「G8の各国首脳は気候変動に対し、ただちに行動を起こすべきだ。温室効果ガス排出削減目標を設定し、エネルギー[r]eボリューション(注2)に投資すること。つまり、エネルギー源を自然エネルギーに求め、エネルギー効率の向上を徹底することが、G8首脳が打ち出すべき石油価格高騰への回答であり、それにより最終的に気候変動に挑むことができるのだ」と、グリーンピース・インターナショナルの気候変動政策担当ダニエル・ミットラーは訴えています。

グリーンピースはG8各国首脳に、以下の点について合意するよう求めます。

  • 世界の平均気温の上昇を工業化以前のレベルから2℃未満に、それもなるべく低く抑えること。
  • 世界の二酸化炭素排出は2015年をピークとし、その後、減少へと転じさせて、2050年までに1990年比で50%以上削減すること。
  • 先進工業国は自ら率先して、2020年までに1990年比で30%削減、2050年までに80~90%削減を目標とすること。
  • 日本は信頼されるサミット議長国として、2020年までに25~40%削減を独自に掲げること。
  • 生物多様性を保全し、危険な気候変動を回避するには、原生林の保護が必須であると認識すること。

食糧危機の解決に、一つの正しい答えがあるわけではありません。食糧危機が複合的要因によって引き起こされたものであることを理解したうえで、問題解決に取り組むことが急務です。気候変動のもとでは、食の安全を脅す単一栽培や化学肥料に頼った農法、遺伝子組み換え農法ではなく、生物の多様性を重要視した農法を推進していくべきです。

「G8では気候変動のもとで適応でき、生産力を高め、良質な食物が得られるような環境を保護していける農法開発への事業投資を話し合うべきです。もし私たちが土壌をただの土くれとみなし、水を有毒な化学農薬などで汚染し続け、収量が在来種のものより低く、悪天候下では育たない 遺伝子組み換え作物の栽培を続けるなら、現在の食糧危機は解決しません」と、グリーンピース・ジャパン遺伝子組み換え担当の棚橋さちよは語ります。

食糧問題を解決するため、グリーンピースはG8各国首脳に、以下の点について合意するよう求めます。

  • 生態系を保護し、気候変動にも適応できる農業や農法の研究開発のための公共事業投資を増やす
  • 遺伝子組み換え作物のための助成金や補助金の廃止と、種子の特許化を禁止する
  • とくに毒性が高い化学農薬の使用を大幅に削減し(最終的には禁止)、環境破壊の原因となる農業補助金を撤廃する
  • 国内食料生産力を高める貿易協定を結ぶ
  • 交通運輸用バイオ燃料の比率の引き上げを義務づける決定を撤回する

注1:クリーン・コール・テクノロジー(CCT):環境に対する負荷を軽減するために石炭を効率的に利用するとされる技術のこと。そのような技術が存在しないことから、グリーンピースはCCTに時間と資金を投じることに反対している。
注2:気候変動を避けるために現在のエネルギー政策の大変革(revolution)とエネルギーの使い方の飛躍的な進化(evolution)が同時に必要であることから、グリーンピースはその両方をとって「エネルギー[r]eボリューション」と名づけ、世界に持続可能なエネルギー政策を呼びかけている。2007年には世界のエネルギーシナリオ『エネルギー[r]eボリューション』を発表し、2008年G8エネルギー大臣会合前日の6月6日、2050年までに日本は電力の60%以上を自然エネルギーでまかなえることを示す報告書『エネルギー[r]eボリューション――日本の持続可能なエネルギーアウトルック』を発表している。
プレスリリース

参考資料:
気候変動問題
「ブッシュ主導の『主要排出国会合』(MEM):展望なき温暖化対策 」〔PDFファイル 25.3 KB〕
「G8 と 気候変動 ―これまで、そして今後」〔PDFファイル 27.6 KB〕
遺伝子組み換え問題
食糧問題の解決策
クール・ファーミングの要旨〔PDFファイル 2.50 MB〕
食料安全保障と気候変動:答えは生物多様性〔PDFファイル 3.57 MB〕

お問い合わせ:
洞爺湖サミット国際メディアセンター内
ダニエル・ミットラー
(グリーンピース・インターナショナル・気候変動政策担当)
べス・ハーツフェルド
(グリーンピース・インターナショナル広報担当)
鈴木真奈美(グリーンピース・ジャパン気候変動問題担当)

特定非営利活動法人 グリーンピース・ジャパン
広報担当        城川桂子