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2010/03/11 クジラ肉裁判:第5回公判「もし有罪判決となれば国際人権規約違反」―国際人権法専門家が証言

プレスリリース - 2010-03-11
クジラ肉裁判:第5回公判 「もし有罪判決となれば国際人権規約違反」 ―― 国際人権法専門家が証言

2010年3月11日

デレク・フォルホーフ教授

【3月11日 青森】 グリーンピース・ジャパンの佐藤潤一と鈴木徹に関するクジラ肉裁判(注1)の第5回公判が青森地方裁判所で開かれました。本日の審理内容はベルギー、ヘント大学(メディア法、国際人権法)のデレク・フォルホーフ教授に対する証人尋問でした。

フォルホーフ教授は、国際人権(自由権)規約や、同規約の解釈に重要な影響を示すヨーロッパ人権裁判所の判例を示した上で、青森地裁がクジラ肉裁判の判決を下す前に考慮すべき点として下記の7点を挙げ、佐藤と鈴木を有罪とするのは国際人権規約に違反するとの結論を述べました。

  1. この事件は、公共の利益に寄与する情報(税金投入事業における不正)を明らかにしようとしたものであり、市民は公共の利益に関わる詳しい情報を知る権利がある。
  2. 佐藤と鈴木がとった証拠確保の行為に代わる、より有効な手段がなかった。
  3. 重要な複数の裏づけ材料を得たうえで、問題となっているクジラ肉の箱は、さらに調査捕鯨船団関係者の横領を確定する非常に重要な証拠だった。
  4. 二人の証拠確保行為による心理的・物理的な損害は小さい。
  5. クジラ肉入りの箱の確保は、メディアや市民に広く公表し不正を告発するためであって、クジラ肉を自分のものにするという意思はなかった(不法領得の意思がなかった)。
  6. クジラ肉横領が疑われる個人の名を伏せるなどして、調査活動とその後の公表を誠実に行った。
  7. 今回の裁判の判決が、今後の調査報道や調査活動を行うジャーナリスト、NGO、および市民を威嚇し、委縮させるような結果とならないよう考慮すべき。調査報道や調査活動の委縮は、長期的に見ると民主主義にマイナスとなる。

さらに裁判後の記者会見でフォルホーフ教授は、このたびの佐藤と鈴木の逮捕・勾留について国連人権理事会の恣意的拘禁に関するワーキンググループ(作業部会)が示した意見に言及し、国連人権規約を批准する日本国の政府や司法機関は同作業部会の厳しい意見を無視できないだろうと語りました。

(注1) クジラ肉裁判:2008年、グリーンピース・ジャパンの職員、佐藤潤一と鈴木徹が調査捕鯨におけるクジラ肉の横領疑惑を追及する中で、公的機関に告発するために横流しの証拠としてダンボール箱入りのクジラ肉を確保したことにより、同年7月11日に窃盗・建造物侵入罪で青森地裁に起訴された事件の裁判。

お問い合わせ:
グリーンピース・ジャパン 広報: 村上京子
グリーンピース・インターナショナル Communications: Greg McNevin