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2008/07/02 佐藤潤一の7月1日意見陳述全文

プレスリリース - 2008-07-02
佐藤潤一の7月1日意見陳述全文

佐藤 潤一

今回の件についてなぜこのようなことを行ったか、個人的なバックグラウンドを含めて説明させていただきます。

妻と2歳の子どもがいます。
休日には子どもを近くの高尾山に連れて行くのが趣味です。
自然を愛しているからです。
自然を愛しているから環境保護団体グリーンピースに入りました。
自然を愛するようになったのは、アメリカのコロラド州ロッキー山脈に住んでいたのがきっかけです。自然の雄大さとそこに住む人々、自然とともにどういうふうに生きていくのかを考えるようになりました。
自然と人間との交わりを経験して、それを子どもたちにも伝えたいと思うようになりました。
自然を守ることが素晴らしい、心地よいことだと思いました。
息子にもそのように感じてほしいと思いました。
自然保護に興味を持ったのは、人が普通に自然を愛するのと同じ気持ちからでした。ただ、その気持ちには強いものがあり、そのような仕事につきたいと思いました。
アメリカから帰ると、日本にはなかなかそのような仕事はありませんでした。
英会話の教師をしていたとき、いろいろな人と話をして、自然保護をやっていきたいと強く思うようになりました。

グリーンピースが職員を募集していたので、それがグリーンピースとの出会いでした。入った当初は、国際的な団体で、国連での高いステイタスがあるといったようなことしか知りませんでした。やがて、国際性、プロフェッショナリズムなどに対して心が動かされました。

当初、有害物質問題を担当しました。ゴミの削減、ペットボトルビールの発売中止、子どものおもちゃに使われる塩化ビニールなどの問題を取り上げて、それらの活動を通して一定の成果を上げました。

しかし、活動を通して、グリーンピースは非常に誤解されているということも分りました。国会議員、市会議員、一般の人々と話していると、よく過激な団体じゃないのかと聞かれます。その後で、話してみると違ったんだねと言われます。その誤解の元は大まかに言うと、捕鯨問題です。

捕鯨は国内では、日本について外国から文句を言われたくないという気持ちや、西洋の団体に日本の文化に対する批判的なことは言われたくないという気持ち、そして西洋と日本の意見の違いなどが問題点だと考えました。そして、グリーンピースへの誤解を解きたいと思いました。だから捕鯨問題に関わったのです。調査捕鯨を知れば知るほど、水産庁の天下り官僚が行っている実態がわかりました。20年間に100億円の税金を使っているにもかかわらず、まともな科学的論文も出ていない。知れば知るほど、グリーンピース職員としても、また一納税者としても憤りを感じます。国内問題として取り上げたいと思うようになりました。

そうしたなかで、鯨肉横領の内部告発者(日新丸の元船員)から情報を得て、調査を開始しました。日新丸の船員が鯨肉横流しをしているという情報を明らかにしていくということが、調査捕鯨をやるべきかやめるべきかの議論を先へ進めるための貴重な材料だと思いました。

この情報について、最初は信頼できるという確信はありませんでした。 しかし、一つひとつ調べているうちに、情報が正しいとわかり、大きな不正だと確信しました。日新丸から荷物が出てきて、運送会社に運ばれ、それを目前にしたときに、これはなんとか明らかにしたいという気持ちが高ぶったのは確かです。

箱を持ち出してそれを確保しようとしたのは、私と鈴木に責任があると思っています。やはり広く一般の人々に証拠として見てもらいたい、鯨肉を確保して証拠としたいと強く思いました。その調査に行きすぎた点があるという批判があることは重々感じています。それについて反省すべきことは反省するつもりです。

この反省を生かして、鯨肉横領について明らかにしていきたいと思います。私と星川による告発を受理して本格捜査を進めていた東京地検の担当者は、何回も真剣に話を聞いてくれました。不起訴という処分になりましたが、船員個人の横領として片づけず、組織的な横領行為として、日本鯨類研究所と共同船舶を含めた捜査をやり直していただきたいというのが、私の真摯な思いです。今後も一納税者として、横領鯨肉の問題が明らかになることを願っています。