ママうみ座談会 家族や子どもたちのために、私たちが動いた理由。

ママうみ座談会 第1回「きっかけは子どもを守る。ただそれだけ」

 

参加者プロフィール

上條祐美さん
神奈川県在住 2児のママ
ママうみ実行委員ママ代表

私たち大人は原発を受け入れてきた責任があり、親として何もしないわけにはいかず、今後も子孫に負の遺産を残していくのだから、せめて遺伝子を残す世代には可能な限り安全な食べものを食べてほしいという思いでいっぱいです。

田島剛さん
埼玉県在住 2児のパパ
ママうみ実行委員パパ代表
ボスジム ジャパン 代表

食べる物には限りなく放射性物質が含まれていない方が良い。本来これがどの親も考える当たり前の事だと思います。
子どもを守れるのは親しかいません。親がハッキリと声を上げ、子どもたちの希望ある未来を守らなければならないと私は思います。

加藤万季さん
埼玉県在住 3児のママ

3.11後、「5年後10年後子どもたちが健やかに育つ会・越谷」を立ち上げ活動を始め、市長らと会談を持ち放射能への対策を提言するなど活動を広げています。
現在越谷市ではその提言を元に給食の放射能検査、汚染マップ作成、通学路や学校屋上の計測除染など対応が進んでいます。

新井忍さん
埼玉県在住 3児のママ
内部被ばくを考える市民研究会・事務局
アロマアドバイザー・サプリメントアドバイザー

健康関連に携わっていたため、原発事故の危険性はすぐに察知しました。
一時避難、給食拒否など、子どもを守ることをしていたが、メルトダウンの発覚を機に、自分の子どもだけを守っている場合じゃないと動き出しました。

崎田美奈子さん
埼玉県在住 2児のママ
5年後10年後子どもたちが健やかに育つ会・越谷で事務局長

事故後、あまり危機感を持っていなかったが、友人の影響を受けて考えるようになりました。
家族で釣りをするので、今後の海への放射能汚染の広がりに関心を寄せています。

花岡和佳男
埼玉県在住 1児のパパ
グリーンピース・ジャパン
海洋生態系担当

フロリダ州工科大学で海洋環境学専攻。
マナティーやウミガメの保護に取り組んだのち、2007年グリーンピースの海洋生態系問題を担当。
過剰漁業問題に対する活動や、放射能汚染の海洋や魚介類への影響調査活動の指揮を執り、政府や主要スーパーなどとの交渉を担当しています。

 

東京電力福島第一原発事故から1年半以上が過ぎましたが、自分、そして子どもたちの食生活や健康を脅かす放射能汚染の不安はぬぐえません。

このままでいいの? 子どもたちを守りたい。

ただ、その思いで立ち上がり、グリーンピースのママうみ実行委員会メンバーに。

無理に何かをやるのではなく、自分のペースで出来ることを実践している方々にお集まりいただき、熱いトークがはじまります。

5歳の男の子のパパでもあるグリーンピースで海洋生態系を担当している花岡和佳男がナビゲートします。

ママうみ座談会 第1回
「きっかけは子どもを守る。ただそれだけ」

2012年10月11日

花岡: みなさんが、行動する消費者になったきっかけはなんですか?

上條さん: やっぱり、3.11を機に、さまざまな価値観がひっくり返りましたね。

加藤さん:私も原発事故をきっかけに、行政や学校のやり方に疑問を持ちはじめました。

田島さん: 自分は、子どもを守りたい。 ただ、ただそれだけの思いで動き出しました。

新井さん: 私も一番は子どもたちが心配で。

花岡: 僕も自分の子どもが心配で、幼稚園に行って、園庭の放射線量を測ったりしました。

崎田さん: 私は最初全然興味がなかったんですけど、詳しい周りの友だちから刺激をうけました。

田島さん: メルトダウンしてから、調べれば調べるほど、テレビの言っていることはおかしいと思ったし、危機管理の常識はリスクの高い方に取るものだと思いますね。

新井さん: 私も、放射性物質をゼロにしたいって気持だけで、いろいろ動いています。

花岡: 具体的に何かしていますか?

新井さん: スーパーで買い物をしても、国産って書いてあって、どこの地域かがわからないんです。だから、行くたびに「この国産はどこですか」って聞くようになりました。

花岡: スーパーの対応はどうでした?

新井さん: よく見ると消費者の目に入らない位置に小さく書いてあって、店員に何度も聞いていたらそのうちに、県名で表示されるようになりました。

上條さん: 私もそれ近所のスーパーで続けてます。でも、いつまでたっても変わらない。

新井さん: 東北産の表示は小さく、長野産の表示が大きかったのは寂しかっただけど、消費者の声で、動くんだなって実感しました。

花岡: スーパーを変える最も強い影響力を持っているのは、お店にお金を払い利益をもたらす私たち消費者なんですよね。

上條さん: 本当にそう思います!

花岡: 昨年グリーンピースが消費者と一緒に行った、放射性物質の自主検査を求めた活動では、消費者の耳に声を傾けてくれたイオンが放射性物質「ゼロ」目標の取り組みを開始しましたね。

新井さん: スーパー側はいかにして売るか、消費者がこういうものが欲しいという声をあげることで変えることができるのかなって、思います。

花岡: そうですね。今後も、放射性物質調査の強化と、生産履歴、トレーサビリティーがわかる流通システムの構築に取り組む必要があると思っています。

上條さん: それ、必要ですよね。たまに箱の産地と、表示の産地が違ったりするし。

新井さん: 私聞いちゃう、それ!

崎田さん: そうそう、スーパーはどこのだれが作って、どこから来たのかわからない。ゆるゆる。スーパーの信頼だけで買ってる部分もあるかな。

田島さん: うちの近くのスーパーなんて、ピーマンの置いてある棚では、福岡の隣が福島など、配置が紛らわしいですね。

崎田さん: あと、「太平洋など」っていう表示とか、ひどいよね。

上條さん: 「など」って、太平洋広すぎだよね。

田島さん: 自分も、これをみたときには、本当にびっくりした。

花岡: ほかにも、「佐賀県など」もありますよね。佐賀と、どこなんだよって!表示が曖昧だと逆に不安になってますます商品に手が伸びない…

崎田さん: OKストアは西のものは赤い表示、東のものは青い表示に分かれて、若いママがみんな赤い表示を探して買っていきますね。

上條さん: どこで獲れた魚なのかを知りたいですよ。ラベルしっかりして欲しいです。

花岡: ラベル表示に関しても、僕らは政府に働きかけを続けていました。その結果、昨年10月に東日本太平洋沖を7つに分けた水域名を使って表示するよう業界団体に通知を出しましたね。多くのスーパーはこの通知に従っていますが、回転寿司店ではこのような表示はいまだに見かけないですね。

上條さん: 私も回転ずしなど外に食べに行くと店員さんにまず産地を聞くようにしています。たいてい店長に聞きに行った店員は、中からなかなか出てこないんですけどね。

加藤さん: 店長が知らないから、本部に問い合わせをしてもらったりとかね。

上條さん: でも原発事故が起きて、食に対して敏感になっている時期なんだから、自分のお店で出している食品については把握していて欲しいって思う。

崎田さん: みんなすごい! 逆に私は直接聞けないかな。 だからメールで問い合わせをしてる。

上條さん: 私は言いすぎなのかも(笑)。

花岡: きちんと文章に残してという意味でも、メールや手紙で聞くのはいいことですね。この「ママうみ実行委員会」では、ママやパパたちがスーパーや回転寿司店に連絡をとって、各社の取り組みについての回答を得て、それをウェブサイトで公開して、比較しています。

上條さん: 私、ママうみ実行委員のママ代表なんですけど、こういった取り組みは、普段のお買い物やお店選びにも役立ちます。

新井さん: ほんとに。買う時にもっと情報があれば、安心して選べるのにね。

花岡: そうですね。スーパーや回転寿司店などは、消費者がどのような商品やサービスを求めているかをいかに把握し、その需要に適う商品やサービスをいかに消費者に提供するかで、競合他社と差別化を図り業界で生き延びていくことができるわけです。消費者の声に耳を傾け食品の安全性や持続性の確保を追求することがその最良の方法であることを、スーパーや回転寿司店などに伝えないとですね。

それでは次回は、実際に企業に私たち消費者が何を求めているかを伝え、食品の安全性や持続性の確保に関する企業の方針や取り組みについて聞いてみましょう。

(ママうみ座談会は、毎週木曜更新です。)

photo: © GREENPEACE/Kazuya Hokari

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