人の目の届きにくいところで引き起こされる環境破壊。その現場へ行って、そこで起きている事実をつぶさに記録し、世界へ発信することによって問題解決に結びつける――。「目撃者」となることは、グリーンピースの活動の重要な手段のひとつです。そのためにグリーンピースは船を3隻持ち、どの船もつねに地球上の環境破壊の現場へ向かい、活動しています。そして必ず写真家とビデオグラファーが船に同乗します。



今回の北極調査には、核燃料(MOX)輸送船を追って日本の福島にも行ったことのある英国出身のニック・コビン(Nick
Cobbing)が写真家として参加しています。もう15年にわたりグリーンピースとともに活動している彼は、エスペランサ号から飛び立つヘリコプターの中から身を乗り出したり、甲板のクレーンに吊られてクレーン操縦者に指示を出しながらシャッターを切り続けるのも慣れたものです。



ニックは昨年7月から3ヶ月にわたってエスペランサ号が行った北極調査にも同行し、グリーンランドの5つの氷河を科学者8人と調査して回りました。グリーンピースのスタッフと科学者がカヌーに乗って、氷河上の川(氷河の上を融解水が川のように流れるもの)の深さを測る調査の様子を上空のヘリコプターから撮影した写真は、2010年世界報道写真大賞の自然の部で第二位を受賞しました。

「写真家としてグリーンピースの活動に参加することは、歴史的にも社会的にも意義のある、信じられないような経験を味わうこと」と、目を輝かせながら語ってくれました。