■ 福井県民の約7割が「再稼働に不安」

どう考えても、大飯原発の再稼働は時期尚早だ。

3月中に大飯原発の再稼働を決めたいと考える野田政権だが、その判断には「地元の理解」を前提とすると強調してきた。しかし、野田政権が「地元」と主張する日本の原発銀座を抱える福井県ですら、「現時点での政治判断は性急過ぎる」と考える人が74.1%、「再稼働に不安」と考える人が68.1%にも上ることが明らかになった。

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、大飯原子力発電所の再稼働について今週にも政治判断の段階にうつる可能性があることをうけて、環境広告会社サステナの協力のもと福井県民517名を対象にインターネット意識調査を急きょ実施した。

調査結果 (3月16日~18日、福井県民517名対象、PDF)

「現時点で大飯原発を再稼働することについてあなたはどう思いますか?」の問いに、「不安を感じる」「どちらかといえば不安を感じる」との返答の合計が68.1%。それに対して、「どちらかといえば安心している」「すっかり安心している」との回答は21.1%にすぎず、7割弱の福井県民が再稼働に不安を抱いていることが分かる。

■ 政治判断「性急過ぎる」が74.1%、防災対策「不十分」が76.6% 

この調査では、野田政権の「政治判断」についても考えを聞いた。その結果、「現段階での政治判断は性急過ぎる」と答えた人の合計は74.1%にものぼった。

さらに、「原発事故が福井県で起きた場合を想定した、放射性物質対策や避難計画など、現在の県の防災対策についてあなたはどう思いますか?」の問いに対し、「まったく不十分」が51.3%、「少し不十分」が26.3%でその合計は76.6%で、防災対策について8割近くの県民が不十分であると感じていることがわかる。

■ 「地元の理解」は「福井県外も含む」が33.7%で最多

藤村修官房長官は3月16日の会見で、大飯原発に近い滋賀県について、「再稼働の条件として了解を得る地元ではない」という見解を示している。しかし、今回の調査で福井県民の多くが滋賀県、京都府など広い範囲までを地元として考えるべきだと認識していることもわかった。

■ 3月中の政治判断で自滅する野田政権

これらのデータを見れば、野田政権が主張する「地元の理解」と現実の間に大きな溝があることがわかる。この結果は、私たちグリーンピースが2月より福井に事務所を設けて活動し感じる状況と一致しており、福井県の西川知事も同様の空気を感じているだろう。

野田政権が「日本の原発を支えてきた福井県」として「地元の理解」を簡単に得られると考えているのであれば、大きな間違いだ。

福井県議会で、西川県知事は何度も「安全を最優先する」と国への条件を繰り返してきた。安易に妥協したと思われれば知事の政治生命にも影響する。

野田政権が、「3月中の再稼働決断」と考えているのであれば、自滅するだろう。

 

このブログは、事務局長の佐藤潤一が書いています。

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